大阪能楽会館の二階席は「マス席」である。
古式ゆかしく、お座布団が四枚。
大きさにして、1.5メーター四方。
いまどきの体格の方が正座して舞台鑑賞は甚だ苦痛である。
能楽、歌舞伎、相撲の興行においては、基本土間に座って観客は対峙する。
一方、グローブ座(英国本場の方ですよ)では、
二階の舞台を取り巻くように設計された周辺桟敷を別にすれば、
観客の多くは立ってシェイクスピア劇を鑑賞したらしい。
座る文化、立つ文化・・・って比較論はさておき、
倭国のそれらは、興行である以前に「神事」であり、
神事は、正座し、かしこまるのが当然なのです。
芝居小屋に座席(椅子席)ができたのは、明治時代の新演劇(新劇)登場以来とのこと
その後、椅子席の席巻で「座り鑑賞する文化」は、廃れる一方である。
大相撲のマス席と歌舞伎座の桟敷席はそれなりに認知度がありますが、
数も限定的になりました。
しかし、能楽堂も、桟敷席を残す古典的な形式がまだ残っています。
残念というか、蝸牛庵の拠点能楽堂は、なぜか椅子席ばかりです。
それに、桟敷があっても折角の座席をあえて避ける方が多い。
混雑していれば別ですが、別に座敷だからといってかしこまる必要はない。
歌舞伎の桟敷なんぞは飲食の場でも有り、能楽も程度問題では許されてもいい。
椅子に腰掛けるのと違って、座るということは、ある意味で自由自在融通無碍なの
今度、渋谷松濤の観世能楽堂が銀座にお引越しですが、
ちゃんと桟敷席を作ってくれることを願っています。
----
そういえば、思い出しました。
京都のハズレに「迦陵頻窟」って名前の施設があるのです。
多分、日本で唯一の「お座布団に座ってピアノ演奏会を楽しむ」音楽堂です。
0 件のコメント:
コメントを投稿