2014年10月8日水曜日
サンデル教授よりも遥かに「白熱授業」
真っ当な映画で、世界最長のタイトルは「マラー・サド」
オリジナルタイトルを、原題で気取って書けば・・・
The Persecution and Assassination of Jean-Paul Marat
as Performed by the Inmates of the Asylum of Charenton
Under the Direction of the Marquis de Sade
そんなクイズもどき話題で、後世に名を成すのであれば、ピーター・ブルックも苦笑いでしょう。
倭国では輸入版のDVDしか手に入らない。
敬して遠ざけられています。
オリジナルは演劇であるが(別に映画でもいいが・・・)
演劇が成り立つためには「黙した一人のヒトザルが空虚な空間に佇み、
もう一人のヒトザルが眺める・・・」だけでいい。
彼の言葉によれば「何もない空間」さえあればいい。
演劇を構成する多様なエレメントが生むものは「退廃」である。
なんか「前衛」って凄いのですが、前衛もいつかは後衛に堕するが、彼は朽ち果てることにない前衛である。
シンプルな舞台装置の前に、シャラントン精神病院の患者たちの演技(治療目的)を
貴人・貴婦人たちが「見学」するという設定で、
シャルロット・コルデーによりマラー暗殺のエピソードが演じられる。
有名な史実であり、サドがこの精神病院に収監されていたことも事実であるが、
マラー暗殺劇を執筆したかどうか・・・どうも虚構らしい。
演劇が「虚実皮膜の間」に成り立つとは近松の明言であるが、
ピーター・ブルックは「タイトロープ」という言葉を使う。
喜劇と悲劇は一本のロープの上の右左・・・
何もない空間
呆けた顔をした演者が数名
袖で、興味津々と眺める観客
それらをスクリーンを前にまじろぎもしない観衆
ステージ物に当たり外れなしとはよく言ったもの
しかし、映画館で見たのは相当前
ATGだったと思います(パンフレットはどうしたことか買い忘れています)
今一度スクリーンで見れないものか(涙)
一本のドキュメンタリー「世界一受けたいお稽古」
演出家ピーター・ブルックのたぐい稀な創造の秘密が感じ取れるかもって感じで、
いそいそと映画館へ・・・
なんとなんと・・・
上映館は全国でたった三館(信じがたいことに関西で二館)
封切り日に新幹線は西へ・・・(苦笑)
初回、同じ空気を吸ったのは六名だけ(席数は百席程度です)
まあいいや。
前衛とは少数のエリートの証
観客のいない映画館の観客にあることは自尊心をくすぐる。
しかし、凄いお稽古(授業)です。
大衆的通俗的なサンデル教授とは大違い
一流になるためのお稽古とはかくも深遠で哲学的なのか・・・
ちなみにこの映画ですが、
ドイツ国では、一流大企業やブンデスリーグのエリートクラブの研修ビデオに
使われているそうです。
このDVDをテキストに使うようなレベルの会社になりたい。
IT社長として珍しく忸怩たる思いを感じさせました。
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