2015年2月22日日曜日
繕い裁つ・・・・
かつてZUKAの大劇場にベルばら(池田理代子作)が翻案上映されると噂が出た時の
ファンの動揺・・・・
たかがマンガが・・・
時代は変わった。
エンターテイメント系の小説が映画素材になることはあっても、
純文学系・・・言ってみれば「芥川賞作品」にはまずお声がかからない。
やせ細った歪み骨格な私小説風では、食指が動かないし、
昨今は心理の襞や葛藤を巧みに描いてくれるコミックに事欠かない。
いまや文芸の大空位時代であり、小説がふたたび君臨することは期待しがたく
むしろ、コミックの時代なのかも・・・
けだし「クールジャパン」なのです。
繕い裁つ人
作者の池辺葵さんは存じ上げない。
作画が匠とも思えないが、そこはかとない味わいを感じないものでもない。
ヒロインは、南市江
祖母(志乃)の洋裁店を切り盛りしているが、仕事の大半は、祖母の仕立て品のお直し
古くからの顧客が三々五々井戸端会議風に訪れては、仕立て物を頼んでいく。
市江の新作は、友人の洋装店で販売されるが、一品物。
それに目をつけたデパート(原作は丸福百貨店)のバイヤー
ブランド化をシツコク勧めるが、ファッションへの姿勢の違いは、永久に交わらない
平行線。
しかし、異化同化作用のなせる技・・・いつしか
この辺のオンナとオトコの機微
名女優の中谷美紀さんは問題ないのですが、三浦百恵さんのご長男には荷が重い。
監督もよくお分かりのようで、原作にはない車椅子の女性(実はバイヤーの妹)が
登場する。
市江は、彼女のウエディングドレスを誂えるという冒険に挑むのです。
このウエディングドレスを美しく着こなした女性を演じるのが・・・黒木華
・・・本当に安心して見れられるなあ
原作は、時代も場所も不明
別に阪神間(神戸)である必要はないし、117から20年たった今である必然でもない
監督が、関西屈指のお嬢様女子大のご出身というだけで、そういう背景設定をしたんでしょう。
そういえば、南市江は「神戸女子学院大学」出身という原作にない設定です。
母校の図書館もロケシーンに登場したらしい。
一品物を仕立て、一生涯お直しをしながら着こなすっていうソフィケイティッドな
スタイルは、阪神間の山の手には似つかわしい。
この映画の最高のシーンは・・・
かつての多くの顧客が、志乃の仕立てた一品物を身にまとい、南志乃の野辺送りに参列するシーン
これが、脚本家と監督の創作によるものであれば、日本映画界の未来も安泰ですが・・・
残念ながら、原作にも登場します。
しかし、コミックのコマ割りよりもはるかに美しく映像化されていたことだけは付言しておきましょう(笑)
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