2015年7月27日月曜日
白鳥の歌なんか見たくもない。
この世のものは、堅牢な大伽藍だって精緻なシステムだっていつかは・・・
その終末を美しく表現すれば・・・「神々の黄昏」
ワーグナーの楽劇
ヴィスコンティの「ゲルマン三部作の最終盤」
ゴルゴ13のある作品名
いずれもが、荘重・壮大な崩壊劇であり、その先に廃墟美の幻視を見る。
言葉の出典は北欧神話に由来する。
満を持しての登場が、ロシア人巨匠(らしい)監督の遺作・・・「神々のたそがれ」
原作は、ロシアのSF小説 HARD TO BE A GOD
語感からすれば「神様稼業ってつらいわ」かな?
人類と宇宙人との交流譚というのは、ありげなストーリーですが、ちょっとヒネリがきつくって
800年程度進化したヒトザルが、暗黒中世のような地球人そっくりな時空を訪れるって設定。
焚書坑儒に明け暮れる未開の「そっくり地球」で、神の振る舞いをする「ホンモノ地球人」
その交流の果てにあるものは・・って展開が、残忍・猥雑・不潔なモノクロ画面一杯に三時間弱
カラーでなくてよかった(苦笑)
高名な極私的映画愛好家は、こぞって「絶賛」しますが、
あのキューブリックの「2001年宇宙の旅」の時のように
なんだかよくわからないけど褒めとこう・・・って感じです。
監督は過去は共産主義政権から映画製作を許されず、
結果、寡作であり、この作品は15年の歳月をかけた遺作という触れ込み。
死者に鞭打たないのが倭人の美徳。
死ねばブスでも「美人なんとか」って大衆週刊誌の見出し
製作国がロシアですから、ロシアのアカデミー賞(そんなものがあったのか?!)で
主要な賞を複数獲得しています・・・が、西側の映画祭では見向きもされない。
各地の単館を転々と上映行脚中ですが、怖いもの見たさのマニアがそれなりに押しかけているようです。
目覚めない愚昧な連中を啓蒙し指導してやるって感じの上から目線風は、
一時期の左翼運動家にありがちな風景。
最近は、市民運動家を標榜するが、手口ですが、本質はプロ活動家です。
エリートが大衆を指導するのが革命であり、
大衆だけでは暴動一揆に過ぎないって豪語したのはレーニンでした。
確かに、歴史は有象無象の民衆だけでは動かないが、
動かないことを承知のうえで、歴史は人民のあくなく闘争でありなんって態度が気に食わない。
この映画にもそんな臭いがするところあり、気に召さない。
もう一度じっくり見れば、多少印象が変わるかもしれないが、あらためては見たくはない。
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