2015年8月14日金曜日
21世紀懇談会報告書を読む
有識者の精魂傾けた報告書よりも、政治家の口舌のほうが影響力が高いのはそれはその通りであるが、
この40ページ弱のレポートこそ、いまの日本の常識的な「歴史認識なり未来展望」だということである。
右左に「偏向」した異論は多々ありげであるが、鳥瞰図としての捕まえ方にはしごく社会通念的である。
満州事変以降を明確に「侵略」と定義するのですが・・・これはこれである種の「陥穽」
つまり、日清日露の戦いは「自衛」戦争であり、日韓「併合」も合法的な手続きで行われたという
意味ですので、歴史の歪曲とか不満を持つ向きがあっても不思議ではない。
戦後の各方面との和解の歴史の記述は実に興味深い。
心情的には「オトシマエには時効はない」のですが、それでは未来志向にならない。
ヒトザルとして、どこまで「理性」的になれるかである。
蒋介石言うところの「恨みを恩で返す」とは、いうなれば「許すが忘れない」ということ。
これは「水に流す」ってこととは本質が異なる。
かようなことこそが大人の態度なんですが、末端のネットゴロはいざ知らず、
一国の指導者やオピニオンリーダークラスが偏狭な強迫観念的心情にどっぷり浸かっている限り
なにを申しても理性に訴えることはできない。
無駄な努力ってことであるが・・・まあ、犬は吠えても歴史は進むって思うしかない。
また、戦後世界が不完全ながらも実現に向けて努力しようとした
平和
法の支配
自由民主主義
人権尊重
自由貿易体制
民族自決
途上国への経済発展への支援 ・・・・(以上は報告書原文の通り)
自明と思われるような価値観が揺らいでいる。
すなわち西洋的ではあるものの普遍的な価値観と相容れない勢力の台頭である。
その揺らぎを食い止める道が集団的自衛権の限定的な行使に道を開く・・・という流れかどうかなんとも言えないが、
多分ですが「談話」だとそういう文脈になるんでしょう。
ということをサイレントマイノリティとしておもいつつも「我が国がとるべき具体的施策」は、
本当に貧相だし、空理空論に近い。
とにかく言っておこう程度ならそれはそれで言葉の遊びとしてはありうる。
1.歴史に関する理解を深める
2.国際秩序を支える
3.平和と発展に貢献する
4.国を開く
現状の政権公約のスピーカーみたいなもので、注目も関心もない。
スローガンとしては反対しにくいものばかりですが、これだけは言っておこう。
歴史は勝者の玩具であり、敗者にはルサンチマンでしかない。
歴史は厳密な科学であるべきであるが、鵺のような政治の部分を色濃く持つ。
勝者と敗者が歴史認識を共有なんかできるわけはない。
歴史に関する理解を深める・・・とはそういうことである。
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