2015年8月4日火曜日
もう一つの「アンネの日記」
ホロコーストを否定する論拠なるものは、およそ論理的なストーリーとも思えぬプロパガンダです。
そして、個別事象を捉えあげて・・・かしましく「捏造」を言挙げする向きもある。
アンネフランクは実在の人物か?
本当に密告者はいたのか?
この日記は本当に彼女の自筆か?
反ユダヤ的としか思えない捏造論は、払拭されたかに見えるが、
それはそれとしても、彼女の日記なるものは過度に持ち上げられているとしか思えない。
例えば「夜と霧」ならば、二十世紀の重要な書物の一冊だと諸手を上げて賛成しますが、
子供の稚拙な雑文にすぎないものを・・・・
瞳に涙いっぱいの感動の向きには申し訳ないが、英語版の拾い読みではそうとしか思えない。
アンネフランクの不幸な生涯を憶測し、涙するのであれば、
1945年のベルリン在住の女性たちの過酷な運命だって同様である。
ホロコーストが戦争犯罪ならば、赤軍兵士たちの所業も同様ではないか。
敗者の悪行は歴史が続く限り糾弾され、勝者の蛮行は意図的に無視される。
戦争加害者は、被害を訴える事自体が加害行為の上塗りと断罪するのは正当とは思えない。
しかし、一隅を垂らす「義の炎」ってないわけではなく・・・
1954年 アメリカで出版(それなりに売れたようです)
1959年 ドイツで出版(轟々たる非難があったという反響だけ伝えられている)
2008年 日本でやっとこさ出版(NET検索では15千件程度しかヒットしませんから黙殺に近い)
2015年 存在に気がついてアマゾンで購入(即日配送にはほど遠かったなあ・・)
ベルリン在住の女性に「その当時のこと」を聞くのはタブーってことくらいは昔から知ってはいた。
戦争に性犯罪が付き物ってことは、ハシシタがことさらに言うまでのことでもない。
公設の慰安所を運営することが「犯罪」であれば、
一般人が毒牙にかかることを放置することはそれ以上の「不作為の犯罪」以外のなにものでもない。
ベルリン終戦日記-ある女性の記録(白水社刊)
読み終わって・・・もう一つの「夜と霧」というほうが正確かもしれない。
テイストは相当に違いますが、心理学者の目線との違いだろうと思います。
作者は「不詳」とされるが、ジャーナリストだったようで、各国に取材旅行に出かけており、
ロシア語も多少は喋れたらしいが、それが幸いしたかどうかは微妙である。
ナチ協力者だったとも言われるが、よくわかりません。
狼の群れの中で生き残る羊には、それなりの知恵と振る舞いが必要であり、
生きんがために行ったことを、時空を隔てたグリーンゾーンから論評する事は公平ではない。
どういう意図だか、2008年にこの日記が映画化されているらしい。
岩波ホールあたりが取り上げそうであるが、日本で公開されたとは聞いていない。
多分、その程度の出来栄えなんだろう
なんとなんと・・・「夜と霧」の映画化計画もすすんでいるそうな・・・
あまり見たいとも思わない。
アンネの日記の映画版も見てません。
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