2016年1月12日火曜日
梅一輪の箙かな
梅一輪ほどの暖かさ・・・・とは、エレガントなものいい。
江戸時代の俳人、嵐雪の一句。
春告花といえば、梅に如かず。
ファッションの世界でも「梅春もの」ってあるのです。
デザイナーの教養が問われるのですが、先程の名句にちなめば、これは冬もので
なければならない。
微かにはるのかほりを漂わすのが正しい。
しかし、多くは春ものファッションのしつらえ・・・なもんだから、あまり売れない。
昨年のように、夏から一足飛びに冬になる気象の揺らぎが原因でもあるが・・・
典雅に梅を愛でる一刻なんか、今年はあるだろうか?
漫画喫茶で前田慶次のコミックを見るともなくながめていると・・・
皆々晴れやかな装いの殿の御前。
地味な黒装束な慶次郎。
眉をひそめる一同の中、泰然と殿に対峙し、平伏
さすれば、衿肩にさしたる一輪の白い花
憎いですねえ(笑)
何の花だかまでは記憶にないが、さくらよりも梅の方が似つかわしい。
奇をてらった茶人好みの振る舞いですから、決して主君からは
心底褒められはしない。
小憎らしいとか内心馬鹿にしよって・・・って心におりがたまる。
実話かどうか定かではないし、誰かの真似をしたってありあり。
まあ、適宜適切な本歌取りというのは、知性主義の表れですから、怒る方が、そのレベルが
わかるってものです。
多分ですが、梅一輪をその場の機転で身にまとう・・・というのは、
源平生田の戦いでの、梶原源太景季のエピソードに因む。
戦闘の過程で自分の旗印を失い、さて、如何なるものかってさいに・・・
所は生田なりけり
時も昔の春の
梅の花盛りなり
ひと枝手折りて箙にさせば
もとよりみやびたる若武者に あいおう若木の花かずら
かくれば箙の花も源太も 我先駆かけん先駆かけんとの
心の花も梅も 散りかかって面白や
箙・・・矢を入れる道具に梅一輪をさし、奮戦し、味方敵とも感嘆したと、
戦記本には書かれている。
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