2016年9月25日日曜日
テロワールキャンパス編
内田樹さんが何故にかの阪神間随一(関西人のこういう書き方は一般的には「日本一」の謙譲表現である)の超名門お嬢様女子学園の先生を
されていたのか知らないが、ちょい面白い裏話を書いている。
国庫補助削減、少子化、学校数の増大、家庭の教育予算の逼迫と教育機関の財政事情は悪化の一途であり、
特に女子専門校はさらに苦しい。
共学校に転じた女子大もあまたある。
寄付金もままならず、財テク運用するほどの基金も才覚もない。
万策尽き果て・・・・なんとか総研なるコンサルティング会社に「提言」をまとめるべく、支払った調査研究費がなんと20百万円。
高いとも安いともいいかねるが、つまるところ「内容次第」
教授会でその提案内容が披露されたが・・・・怒号罵声のあらし(苦笑)
曲がりなりにも教育者の肩書きを持つ以上、事のよしあしや是非くらいは判断できる。
まあ、そんなお馬鹿なコンサルティング会社に委託すること自体が世間知らずだと思うですが・・・
普通は、複数のコンサルティング会社に調査要件なりを提示し、一番まともそうな「提言」が出来そうな相手を見極めるのだが
そういう手順を踏んだのかどうかは定かではない。
提案の委細は定かではないが、
簡単に言えば、高級住宅地に再開発可能な現在のキャンパスを売却し、
三田か福知山か土地の安いところに全面移転し(東京で言えば、千葉か埼玉のはずれという感じ)・・・云々という土地含み益を当てにした再建策。
ちょっとでも事情を知るものは、学園創設時は神戸市内の山手当たりにキャンパスがあり、
その後、阪神間の某市内の小高くなだらかな山というか丘陵全体を買い取り移転し、スパニッシュミッションスタイルというべき「ヴォーリス建築」で
統一された典雅優美なキャンパス。
阪神モダニズムの芳華を今に伝えるものであり、そこにあるからこその美的価値。
まったく同じものができたとしても、人里はなれた猫バスも通らないような山奥では、全ての価値が毀損する。
そんなことも理解できないようなコンサルタントが世の中に存在すること自体が驚異としか言いようがない。
内田先生によれば、そのことを異口同音に力説しても、まったく理解できなかったらしい。
きっと、野暮と化け物しか住まない箱根の向こうが産地なんだ。
学風なり校風は、建物と教師がいれば出来るってモンでもなかろう。
京大学派の功績の多くは、百万遍の裏辺りの居酒屋の安酒のおかげとも言うし、
東京教育大だって、つくばに移転となった際に大騒動を起こしたではないか(これは先生たちがバイトに困るってことらしいが・・)
八王子の山すそや辺鄙な本庄で・・・白雲なびく駿河台とか都の西北なんちゃらの杜って歌っても、白けるだけだろう。
だから本部は死んでも動かさない。
テロワールとは、ワインや珈琲、お茶の生育だけに使われるものではない。
ちなみに、祖母の仕立てた一品ものの洋服のお直しだけをやる洋装店の南一江(「繕い断つ」のヒロイン)はここの卒業生だし、
かつては、ここの女学生のためだけの通学専用車両があったらしい(女性専用車両の歴史はここに始まるのです)
もっとも「なにわのエリカ様」もここのご出身らしいが、彼女って下からじゃないから・・・・(笑)
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