2017年6月2日金曜日
あなたの人生の物語
原作のイメージを著しく改変することは映画化の常。
優れて哲学的とも言えるSF小説(邦題が日記のタイトル)がファーストコンタクト分野のSF映画になってしまった。
大衆芸術にありがちな人類対エイリアンの存亡を賭けた激闘・・・にならなかったのは、ひとえに予算の縛り(笑)
制作費はたった50百万ドル。
激闘シーンをふんだんに盛り込めばざっと倍以上が必要でしょう。
なんちゃって「ばかうけ」そっくりな宇宙船が何処からともなく12機もやって来たのです。
戦術的にも成功して、興行的にはまずまずのようだし、オスカー作品賞ノミネートし、なんかテクニカルな賞はゲットしました。
この監督は結構才人ですねえ。
なかなか複雑な造りでして、原作の時間論みたいな子難しいストーリー展開はそのまま尊重し、
壮大に見えそうなエイリアンの到着(オリジナルタイトルはアライバル)とコミュニケーションの物語を絡めます。
ヒトザルは時系列の時間意識しか有しないが、時系列のない時間意識も並存しうる・・・って、それがどうした(笑)
その二つの時間意識に沿って並列的に物語は進行します。
後者の分かりやすいストーリーは時系列ですが、言語学者であるヒロインと癌で若くして亡くなる娘の原作の核心部分は
前者の時間意識で映像化され、夫々がクロスオーバーしながら、
その交点の重要部分をエイリアンとコミュニケーションを取ろうとする
チームの理論物理学者(実は夫なのですよ!)が担う・・・・
娘を失った傷心の言語学者が、エイリアンとのコミュニケーション対策チームに招聘され・・・と
思っていたが、実際は後先が逆だった。
でも、本当にそうかしら?
二つの時間軸の存在を前提とすれば・・・とかなんとか、結構難解なのですよ。
今年のオスカー作品賞ノミネートランキングではマンチェスターバイザシーと・・・首の差くらい。
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