2017年6月4日日曜日
あらためて大和三山伝説
日本百名山に選ばれているのかどうかは知らないが、セットだと素晴らしい風景を描き出すし、
万葉の時代からの「伝説」も今に伝わる。
香久山は 畝傍を雄し(愛し)と 耳梨と 相あらそひき
神代より かくにあるらし 古昔も 然かにあれこそ
うつせみも 妻を あらそふらしき
三角関係の痴情のもつれは神代の時代からって・・・まあわかりやすい歌(天智天皇御製ということになっています)なのですが、
問題は「雄しあるいは愛し」の部分。
万葉仮名では「雄男志」と書きます。
漢字本来の語義を尊重する場合と単に音だけを借りてくる場合がありますので、字面だけで・・・「雄々しい」って断定できるかどうかは微妙である。
つまり、
畝傍は「男」である。二人の女(香久山と耳成)が取り合いをするということになる。
しかし、畝傍は「女」であり、二人の男が争うって構図も考えられるし、作者の名前を思い浮かべれば・・・
通説がどっちかは知りませんが、ドロドロ劇期待ならば、前者です(笑)
万葉集によく登場するこの類の説話からすれば、後者ってことになります。
お能のテーマにもなりげなお話しで、有名どころでは「求塚」
万葉集にも登場します。
菟原処女伝説ですが、別に上総国でも間々の手古奈伝説ってあるのです。
これは、どっちも男二人に女一人版
他方ではすばり「三山」
観世流では、復古曲ということですが、なかなかの人気曲でたびたび演じられます。
しかしながら、どう思ったのか・・・
香久山:男
畝傍山:女(桜子)
耳成山:女(桂子)
という組み合わせになっています。
男は、最初は二人とも同じように愛していたのですが、そのうちに「華やかさ」に心奪われ、哀れ捨てられた桂子は入水自殺。
本当に表面の美しさにだけ迷う男ってどうしようもありませんねえ。
さて死霊となった桂子は、ウワナリ討ちで桜子に祟るってしつらえ。
失恋の痛手で悶々なんてことではなく、段ビラ振りかざすってのが珍しい(苦笑)
いくら謡本を読んでも、その辺の臨場感はやっぱりに舞台を見るに限る・・・がよくしたもので七月一日に「銀座SIX」の舞台にかかる。
桜子も一方的に打たれるだけじゃ無くて、結構反撃するみたいですから「優雅な女同士の喧嘩」ってこれは見ものだ。
実際は、桜の枝と桂の枝の打ち合いのようです。
秋の舞台の下見がてら東下りでも・・・・
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