チャンドラーは数冊のハードボイルド長編で歴史に残る。
The big sleep
Long goodbye
これらは20世紀の重要な(ランキングは下の方)小説にも名を連ねています。
しかし、作風の面白味は短編集にある。
早川書房版で、さしたる意図もなく買い求めたが...これがなんとも(^^)
チャンドラーは、五十を過ぎて始めての長編を上梓。
これが「大いなる眠り」
複雑なプロット、早い話がハードボイルドにありがちな起承転結の破綻なんですが、
細かい章立てが連続活劇風で、睡魔に襲われるに至らない。
短編集を拾い読むに「これって読んだみたいな...?」
売れない時代の日銭稼ぎにパルプフィクションをかきまくり、
それらの習作群を部品化して長編に仕立て直したという創作の秘密が
垣間見える。
単純なプロットを長編に膨らますと冗漫で読むに耐えないが
この方法だとそうはならない代わりに先のような様になる。
何度読み返しても加害者が判然としないとか。
映画化された際の邦題が
三つ数えろ
よくある拳銃を突きつけて、三つ数えるあいだに白状しろってアレです。
名タイトルと言われますが、どうかなあ
以前に、ムラカミの新訳タイトルをネタに駄文を書きました。
この作品は前例踏襲なのですが、
映画のタイトルを使おうとは...思わないですよね(^^)
ちなみに、big sleep と言う表現は情感たっぷりに
結末辺りに登場します。
三つ数えろという台詞は、読み落としがない限り原作には
出てこない。
三分待ってやる...はあります。
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