倉敷あたりで戦われた一ノ谷と屋島の幕間みたいなこの合戦の知名度は低い。
大将が、源範頼対平行盛
義経同様頼朝の異母弟であるが、華々しい戦歴には乏しい。
しかし義経よりは気配りが出来るが、猜疑心の強い兄貴に
最後は暗殺された。
片や清盛の次男の孫だが、武将というより歌人
壇ノ浦で戦死したとも、そのまま行方不明とも...
結果的には、頼朝股肱之臣たる佐々木盛綱の活躍で、
源氏方の辛勝。
その勝因の背景を素材としたのが、能の藤戸
長くもなく、ドラマティックで、シテ・ワキともに見せ場のある
素人弟子向きの人気曲なのです。
しかしこのエピソードが史実かどうかは微妙。
吾妻鏡には当然書いていないだろうし、平家物語にも
異本にあるだけ。
最高軍事機密を若い漁夫から入手した盛綱は、
独り占めを目論み、漁夫を暗殺。
首尾よく戦功を立て恩賞に与るが、
漁夫の老母登場
その罪をとがめ嘆き...盛綱も隠しきれずに白状し、
今後の生活支援や回向をする事で宥めすかす。
その夜の回向の場
漁夫の霊魂が現れ、恨み辛みを述べたてる...
最後はお約束とおりの予定調和。
なんちゃって、ワキの見せ場は、漁夫暗殺の顛末を
講談調に語る長丁場。
高踏藝術ですから、神田松之丞みたいにド派手にならないように
ドラマティックに...(^.^)
でも、主役はシテです。
オマケは、行盛の勅撰和歌集収録の和歌
新勅撰集なるあまり評判のよくない和歌集。
定家の編纂
ながれての名だにもとまれゆく水の
あはれはかなき身はきえぬとも
0 件のコメント:
コメントを投稿