2019年7月30日火曜日
魔女の予言
大場健治氏のマクベス(研究社版)を読み始める。
個人蔵書は福田恆存さんの訳本だし、小田島雄二さんの版も読んだはず。
シェイクスピアの戯曲は...とりわけマクベスは韻律の塊ですから、
訳者泣かせだし、翻訳次第で似て非なるものになる。
散文はさておき原典と翻訳書は「別物」なのが韻文の世界。
新古今和歌を現代語訳するようなもので、
源氏は誰が訳しても源氏....というわけにはいかない。
で...実に素晴らしい!
シェイクスピア英語なんて辞書があっても読み解けないが、
言葉遊びとしては、謡曲を口ずさむような感覚。
当時の劇場は、能舞台さながらに、幕も大道具もない
演劇空間だったらしい。
なもんで気になって調べたが、
シェイクスピアを舞台にかける際には、
演出家が誰か
どの俳優がなんの役柄か
はクドイまでに解説がある。
比較の問題だが、テキスト解説が貧弱すぎる。
何故にこの人の訳文を使うのかって役者選択なみに重要。
このテキストで舞台をやるならば、千里の道も厭わない
ってことは、駄文のマクラ。
実は、三人の魔女の予言は伝説的な史実であるってこと
ダンカン王を暗殺してマクベスがスコットランド王位を
簒奪したのは11世紀の史実。
魔女の予言に後押しされ主君暗殺に手を染めるが、
その予言を一緒に聞いたのが同僚のバンクォー
予言ではマクベスの王位を継承するのはバンクォー家だとされる。
そこでマクベスはバンクォーの暗殺まで断行する...
バンクォー家の末裔がジェームズ一世
母上さまはあのエリザベスに処刑されたスコットランドのメアリーですが、
彼はエリザベス逝去ののちグレートブリテンの王となる。
この「伝説」を調べる為に読み始めたのですが...
わかったことは、ジェームズへの最高の阿諛追従が、
この予言を基にした掛け声!だということで、行幸のたびに
サクラ...なんだろうが大声で
スコットランド王ジェームズ!
イングランドオジェームズ!
グレートブリテン王ジェームズ!
出世魚みたいで...悪い気はしない。
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