漱石は漢詩や俳諧も達者だが、明治の文人としての当然の嗜みである。
だから...
I love you なる英文和訳の正解は
ねえ、君ってさあ...月がとっても青いね
熊本高校の生徒さんからは嫌われたのもけだしである...
って、何度も引用したくなる。
晩唐の頃の詩人杜牧の「清明」を俳句にすれば...こんな感じになる。
うろ覚えだから細部はあやしいが、気分はでているはずだ。
清明時節雨紛紛
路上行人欲断魂
借問酒屋何処有
牧童遥指杏花村
清明の時節 雨紛紛
路上の行人 魂を断たんと欲す
借問す 酒屋は何れの処にか有る
牧童遥かに指さす 杏花の村
李文亮肺炎のおかげで、今年の春はなかったようなもの
歳々年々花あい似たり..とは言え、
テセウスの舟とおなじで、今年の花と来年の花はやはり違うのだ。
来年があるかどうかも、実はわからない。
だから...年年歳歳人同じならず、が対句になる。
夏ともなったが、すこしだけ春の気分を...
やっと、今野敏の「隠蔽捜査 清明」が図書館から届いた。
休館のおかげで季節はずれになったが、犯罪捜査には四季も昼夜も無関係
杜牧の春爛漫のイメージな警察小説でもない。
所轄署長に左遷されたキャリア官僚が、
神奈川県警刑事部長に復帰。
事件は東京と神奈川が入り組んだ町田界隈で発生
不法入国の民主化運動家の殺人
本部同士のいがみ合いや公安部との軋轢やチャイナのエスピオナージュが絡まる割に
清明のように爽やかに事件は落着
警察小説って余韻と勘違いした後味の悪さが
持ち味だが、これは全く違う作者の新境地!
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