似て非なるもの
違いはあれこれあるものの....その違いを真剣に覚えようとまではあんまり、、、
いずれがあやめかきつばた云々とまで言われますし、漢字で菖蒲と書けば、しょうぶともあやめとも
しょうぶは「尚武とも勝負」が連想され宮廷貴族が好むようなものではないし、かきつばたは伊勢物語東下りの段ばかりが有名なだけ。
結果的にあやめが一番の歌題
しかし、あやめの姿形を愛でているのではなく掛け言葉としての便利さにより.......
ほととぎすなくや
五月のあやめぐさ
あやめも知らぬ戀もするかな(古今 読み人知らず)
あやめも知らずとは分別のないとか筋の通らないというニュアンス。人妻とのドロドロとかJKに溺れるなんかを想像してもいいが、初夏に不如帰がなき菖蒲が咲きほこる風景なんだから、もうすこし清冽感ある恋を思い浮かぶるほうがいい。
さほどのことはないが「あやめも知らぬ戀」の嚆矢となった和歌ですから、後世さまざまな本歌取りの作品を生み出した。
うちしめり
あやめぞかをる
ほととぎす鳴くや五月の雨の夕暮れ(新古今 良経)
あやめ知らずな戀歌が瑞々しくも爽やかな季節詠にばけてしまった。
まどろっこしい詠嘆調の元歌よりもこちらの方が好きだ。
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