2016年4月25日月曜日
ノルディック・ノワール
北欧と北ヨーロッパは同じ定義なのか違うのか判然としない・・・というか判然とさせないままその言葉を使っている。
歴史的及び文化的に共通項でくくられるというのであれば、
いわゆる「スカンディナビア諸国」に加えてデンマークとアイスランドまでが含まれそうだ。
奇しくも、彼らの国旗は等しく「スカンディナビアクロス」をモチーフとする。
シネマの世界では、彼らは歴史的にも先進国であった。
残念なことに、トーキーになった際に言語的に少数派であったがゆえに、映画市場的には辺境になった。
しかし、「美=芸術」は辺境に花咲くのであり、数うちゃ当たるってものではない。
かつては
ドライヤー
ベルイマン という北欧的神秘な画風が世界を席巻し、
いまなお「無人島に持って行きたいような作品」が、映画製作の底面積の狭さとは無関係に次々に生み出される。
ハリウッドでリメイクされる数がその証明である。
ミレニアム → ドラゴン・タトゥーの女
ぼくのエリ → モールス
なんかが、すぐに思い出されるが、特段リメイクされなくとも、
濃密で神秘的な空気を背景にした美的に洗練された作品が思い出したように倭国のスクリーンに
密やかにかかるのです。
獣は月夜に夢を見る
陰鬱な美しさの恐怖とでもいうのか・・・実に面白いのです。
倭国においては「狼(オオカミ)=大神」。
畏怖されるべき存在であり、悪意を持って語られるべき存在ではない。
クラッシクローマ建国伝説に登場するオオカミさんは、建国の母ともいうべき存在であるが、
その後「アンチ・カトリック」的なる邪悪なものとして排撃されるようになった。
満月の夜に狼に変身し、倒すにはシルバーブリットしかない・・・ってところが優れて映画的である。
残念なことに狼男は、吸血鬼の風下に立つことが多く(例:アンダーグランド)、
単独では作品的にもそう多くはないし、センターをはったとしても、まずもって「好意的」に描かれることはない。
加えて、このアファーマティブな時代にも関わらず「狼オンナ」は・・・・寡聞にして聞いたことがない。
その超珍しい事例なのです。
寓意としてはわかりやすい。
ある種の異種結婚異聞、思春期変身映画、オトナへの通過儀礼譚・・・・・・
通常この分野はノルディックミステリーというが、あえて「ノルディック‥ノワール」を言ってみたい。
幸せ度高順位国家群の「ダークサイド」って意味で使っています。
日照時間は短いし、鬱病だか過度のアルコール依存だか理由は知りませんが、自殺率が高いとされる。
高収入と高福祉だけでもヒトザルは幸せになれない。
けだしわがままな存在である。
0 件のコメント:
コメントを投稿