2018年9月15日土曜日

宝籤でグルメをしよう!




その夜....
奇蹟の一夜の晩餐メニューは以下のようなものであった。
晩餐会には一ダースの客人
お値段は当時の一万フラン
(献立はある方のネット記事のそのまま引用です)


1. ウミガメのコンソメスープ
アペリティフ:シェリー・アモンティリャード

2. ブリニのデミドフ風(キャビアとサワークリームの載ったパンケーキ)
シャンパン:ヴーヴ・グリコの1860年物

3. ウズラとフォアグラのパイ詰め石棺風 黒トリュフのソース
赤ワイン:クロ・ヴージョの1845年物

4. 季節の野菜サラダ

5. チーズの盛り合わせ(カンタル・フルダンベール、フルーオーベルジュ)

6. クグロフ型のサヴァラン ラム酒風味(焼き菓子)

7. フルーツの盛り合わせ(マスカットなど)

8. コーヒー

9. ディジェスティフ:フィーヌ・シャンパーニュ(コニャック)



当時のフランスはナポレオンによるジェルミナールフランなる兌換通貨を基軸としており、
制定当時の交換価値は

1フラン=約0.322グラム

だとすれば.........




倭国では、富籤は賭博罪を構成します。
従って特別法で違法性が阻却され、某銀行の利権となっています。


パリのカフェアングレの一ダースのフルコースのお値段は一万フランだったらしい。
ミズバベットには、貧しい寒村の村人達に至福の一刻に与えるに充分な金額であれば
それはいくらでも良かった。
彼女にとっての宝籤当選の価値とはそういうものなのです。
宝籤でグルメなんて....それは小市民的なささやかなものではない。


彼女がつくった晩餐料理がいかほどなものか想像に余りある。
あの時代、女性でパリの最高級レストランのシェフを張るには、
どれだけの苦労と努力を要したか、
また、パリコミューンの戦火を逃れてデンマークまで逃げ延びざるを得ない苛酷な人生。
正真正銘の政治難民なのです。
一家揃って革命側に参加し、敗残の中で夫と息子は虐殺されたのだろう
全てを失いパリ帰参も叶わず、生涯たった一度の「王侯貴族でなく民衆の為だけに
自分好みのワインと料理の晩餐会」を
アレンジしたい希望を叶えてくれた宝籤。
無神論者であっても、そこに神の恩寵を観るだろう。


バベットの晩餐会


この映画を安直なグルメ映画だと思って映画舘に足を運ぶ向きはいないはずだが
仮にいるならば、映画芸術にも料理にも無知なのです。

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