2018年11月24日土曜日
奇々怪々な倭語の世界
外交官用語は難しい。
微妙な言い回しに込められた意思表示は、独特の世界である。
某紙に掲載されていた「分類表」・・・・実に面白い!
抗議の表明の際のランキング(意味合いの大きさ順)である。
1)断固非難
2)非難
3)極めて遺憾
4)遺憾
5)深く憂慮
6)憂慮
7)強く懸念
8)懸念
まず「非難」が最上位クラスなのは語感としても妥当であり、
懸念は「気にかかるなあ」って感触だから最下位まではいいとしても
「憂慮」より「遺憾」のほうが上位なのか?
遺憾とは「思い通りに事が運ばなくて残念だ」という意味で、
期待したようにならずに、心残りに思うこと。
残念に思うことというのが国語辞書的解釈。
しかし、外交現場では「・・は為されるべきではなかった」という見解の表明であり、
期待を裏切ったという非難の意味を込めるが、
拳を振り上げるには至らないって感覚らしい。
一方憂慮は「憂い慮る」ってことであり、
心配だ、不安だという意味合いである。
外交的には「実際に問題が顕在化し、十分な危機感を有している」という印象表明的な感覚が
期待を裏切った「遺憾」よりは下位ということなんでしょう。
もっともこのランキングは外務省用語体系であり、英語やチャイ語だとそれどれの語彙体系が
あるに違いない。
正しく対比させればいいが、意図的な意訳を行えば、国益を損ないかねない。
例えば「失望」という言葉・・・原語では「disappointed 」だとされる。
蝸牛庵の英語力だと細かい差異認識ができないので・・・
ある方の見解を引用すれば
懸念(concerned)よりもはるかに強い。
遺憾(regret)と比べても強い不快感を示す・・・ことらしい。
この方は外交の専門家ではないので、外交官的語感ではどうなるかという疑問は残るが
思うほど軽い意思表明ではなさそうです。
しかし、これは被虐的誤訳であり「心外」程度の語感だと主張する向き(ライト系全国紙)もある。
何が正しい・・・・
だから奇々怪々な和語の世界なのですよ・・・
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