タイトルにニヤリとする御仁は・・・多分ワルだ(笑)
コリンウイルソンの「殺人の哲学」のある章のタイトル。
全体的には哲学的考察に乏しい猟奇記事集話なんですが、この章は実に素晴らしい。
実の所、この著作を角川文庫(・・だと思いますが)でむさぼり読んだ頃はジンを飲んだことがなかった。
っていうか、没落ジェントリーの末裔は酒を呑むようなゆとりすらなかった。
夜な夜な、場末の酒場に屯するようになったのは、最初の勤務先の本社勤務以降である。
まともなバーテン修行をしたマスターの店だった。
ゴードンのドライジンと明治屋のマイライム
トニックウォーターで割るようなヤワな飲み方はしないが、フレッシュライムが手に入らない時代。
正統的にジンとライムを三対一で割る。
当時の・・・今でもそうですが、ジンは安い。
飲み屋さんは小売の三倍程度がボトルキープの値段。
スペースに限りありますから、安酒置かれると困るんですが、そこはそれ、回転率が違う(笑)
そもそもは、大陸の薬用品だった。
蒸留技術の高度化で廉価大量に出回るようになった。
エゲレスの産業革命は、ワットの蒸気機関というエネルギー革命によるとされるが、さにあらず
安い賃金で長時間働く下層労働者の力の源泉は・・・けだしジンであった。
経営者は、液体のパン・・・ビールを飲み、労働者はジンを飲むのが18から19世紀のロンドンの街。
彼らの悲惨な生活風景を見るに・・・今風の下流老人とか貧困若者なんて戯画に見えます。
そんな時代を支えた安酒が・・・
今となっては堕落したセレブ階級の飲み物か・・・
ギムレットには早過ぎる・・・・
気取って原文で引用しようか
"I suppose it's a bit too early for a gimlet," he said.
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