2020年9月6日日曜日
最強の代役
METにとって、2014年4月5日はとんでもない一日だった。
出し物は「ラ・ボエーム」
プッチーニの傑作オペラで、パリのカルチェラタンの貧しい芸術家の
悲劇的な恋物語。
当日の朝の7時
ヒロインのミミ役のソプラノから連絡が...
風邪でお休みしたい
開演まで6時間なんですが、名門オペラハウスは危機管理にも長けてます。
前夜マダムバタバタを演じたC・オポライス(ラトビア出身のドラマティックソプラノ)を
急遽代役に...
さすがにお疲れのご様子でしたが、無事に歌いきりました。
プッチーニの悲劇オペラを連続上演って...
どうかと思うのですが、結果プッチーニを得意とするソプラノを
上手く起用できたというおはなし。
古典的な作品ならば、過去経験ありって演者を探すことは可能だが、
新作上演の瀬戸際で主演の天海祐希が心筋梗塞でダウン
やはりタバコの害みたいです。
普通ならば公演中止...なんですが、急遽宮沢えりを代役起用
たった三日でシナリオの一部改変、セリフ覚え、舞台稽古
無事に幕が上がりました。
やはり、大女優さまは凄いし、オンナをあげたってこのこと。
悲観的に考えて楽観的に行動...とは言え、
主演が倒れるようなトラブル対応はやはり厳しい。
その辺はどういうわけだか、能は上手くできている
後見という役割の人物が必ず登場します。
雑多な小間使いみたいなもので、役者の着付けの手伝い、
大道具、小道具の取り扱い、幕の開け閉め...
しかし、本来は上演中、役者に事故が生じたら、
たちまちに代役として演じる責務を負っています。
だからシテ役者と同等以上の技量を有するランクの能楽師が
務めることになっています。
残念というべきかどうかはともかく、後見が舞台にたった場面は
みたことがない。
悲観的に準備をしておくとはそういうこと。
代わりが見つかるということは人材豊富だということ
NBAでも「シックスマン」という言葉があり、
強いチームは六人目のスターターが必ずいると言われます。
あんまり我田引水的に言いたかないが、
あの世界は人物がいませんねえ...
いつでも代わりができる後継者を育てておくことも
リーダーの重要なお仕事です。
かつては「社長の仕事は次の社長を育てる事」と言ったものです。
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