2025年10月18日土曜日

しら珠の数珠屋町とはいづかたぞ

 



古い街の地名は本来はゆかしく美しい。
行政の効率性だかなんだか、分かりにくいからとかって変えましょうなんて文化破壊も甚だしい。
西新宿よりも角筈の方がいいと、一定の歴史造詣があるとそう思うはずです。
日本中どこでも、中央区とか北区....

とりわけ神戸市は、由緒ある「生田と葺合」を合併して中央区だもん、、哀しみを通り越して涙も出ない。


東向島より玉の井
山王より飛田
愛隣地区より釜ヶ崎
清川より山谷

なんかはさておき


タイトルは、山川登美子の絶唱です。
下の句は、「中京こえて 人にとはまし」
この歌のキモは「しら珠の」にある。
数珠に対する枕詞的な使い方が素晴らしいし、彼女自身を彷彿とさせる。
登美子のことを「しろ(ら)百合の君」を呼んだ男がいたが、「白珠の」ほうが香しいし、だっから見る目ないから別のオンナに走ったのよ(まあ、山川の短歌には白百合をうたったのもありますがね)

若狭の名家(・・だと思います)出身
大阪のミッションスクール(梅花)で英語を学ぶ
晶子との鉄幹をめぐるドロドロ愛に疲れ果て帰郷し
嫁ぐがほどなく夫は死去
上京し、ポン女で再び英語を学ぶ
結核発病、京都で療養するが、夭折(享年31歳)

幸いの薄い哀しく短い生涯でした。
後世に残したものは、みずみずしいいくつの歌(後年歌集として編纂されました)
歌業は晶子のほうが上とされるが、それは質よりも量かもしれません。
妖艶もいいが、清冽も捨てがたい。


おまけですが、、、寺山修司さんの初期歌集(田園に死す)から


大工町 寺町米町 仏町 老母買ふ町あらずやつばめよ


少し陰惨なのですが、舞台が津軽の地ですから

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