2025年11月7日金曜日

難度の高い台詞

 



今時は知らないが、舞台女優魂がかき立てられるセンターのヒロインとは

リジー(恭しき娼婦)
ブランチ(欲望という名の...)
ラネーフスカヤ(さくらの園)
ジュリエット(ロミジュリ)

この天邪鬼がジュリエットなんて口にすれば、笑止ですが、、。
でも、リジーやブランチと違う意味で難役だと思うのですよ。
バルコニーの有名なシーンなんか原作通りに演じると
大抵は平坦陳腐で笑いたくなる。
だから老獪なゼフィレッリ版の映画は、
恋の告白なんか早々にベッドインにヌード公開でサラリと、、、実に上手い。
オリビアハッセーの演技力から考えれば最良の演出。


あの誰でも知っている有名なジュリエットの台詞

O Romeo, Romeo!
Wherefore art thou Romeo?

以下略しますが、略した部分は結構長くてコンテンツに含蓄があるものの、、、凡女優でもど忘れやとちりさえしなければなんとかなります。
問題はこの二行

太地喜和子さんの文学座公演で、彼女は

両手を組み合わせて頬をつき、
か細い囁き声をだし
ロミオを四回(二回でなくて!)繰り返した

小田島雄志氏の訳本だったそうですが(その訳業も凄い)呪詛のようなあまりな万感の思いがアトリエ全体を覆い尽くし、氏は涙を禁じ得なかった、、とかなんかに書いてました。
映像を探しまくりましたが、残念ながら



ちなみに、映画のヒロインの最高難度の台詞はこれ
原節子は上京してきた戦死した夫の両親を一夜細やかにもてなし、しばらくして義母は急逝。
後の日の義父とのやりとり

....
わたくしずるいんです。
お父さまやお母さまが思ってらっしゃるほど、
いつもいつも昌二さんのことばかり考えてるわけじゃありません

でも、このごろ思い出さない日さえあるんです。
忘れてる日が多いんです。
わたくし、いつまでも
このままじゃいられないような気もするんです。
このままこうして一人でいたら、
いったいどうなるんだろうなんて
夜中にふと考えたりすることがあるんです。
一日一日が何事もなく過ぎてゆくのがとっても寂しいんです。

どこか心の隅で何かを待ってるんです
ずるいんです
.....

いくら無謀な映像作家でもリメイクしない理由が
この台詞回しの超難度にあります。
どってことないのですが、背面の深さなり暗い闇はもはや再現しようもない。

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