2018年3月5日月曜日
権力者の犯罪(マークフェルト)
優秀な師と利発な生徒のマンツーマンレッスンの極みが、
韓非子
始皇帝
の帝王学あるいは統治学の一年余りの講義。
古籍に書かれている程度の知識しかないが、ここに法治主義が始まる。
正義と秩序は「正しい」法の支配により担保される。
しかし、正しい意味で法治主義が支配した事例は少ない。
有り体に言えば「法律運用の下の平等」であり、
権力者や権力者の親族、お友達であっても法の網をかいくぐることは許されない。
これを許す事を人治主義という。
お隣の大国を人治の国と揶揄するのはいいが、
翻って国史を思い浮かべればいい。
法治主義の処断が完遂されたのは、佐賀の乱での大久保利通
くらいなものだ。
酷吏とはけだし彼のこと。
まあ、嫌われます(だから清水谷公園あたりで暗殺された)
今日のお題は、ウォーターゲート事件。
負けるはずのない大統領選挙を有利にするだけでもなさそうな
謀略事件。
なんともヘボな犯罪者たち。
この程度でもCIAの工作員が務まるらしい(^^)
いまどき、ディープスロートを主役に映画化とはねえ
ロシアゲートなんかを念頭に置くと背景が分かりやすい。
企画自体、大統領選挙中のことだそうですから一夜漬じゃない。
話の展開が似ているのは嫌な気分。
最高権力者とは言え「犯罪者」として所払いの憂き目を見た
ところが、アメリカン法治主義。
正確に言えば、あの大統領は辞任しました。
議会で弾劾されてはいません(上院の決議前辞任)
連邦裁判所に起訴されてもいませんが、
次の大統領は、全ての免責恩赦を与えています。
つまり権力は、実質的に犯罪者と断定したし、
それを受け入れたニクソンも自白したようなもの。
潔白なら拒否すればよかったのです。
この主人公のFBI副長官が自分の身を守る手段は
何もない。
発覚すれば、国家機密漏洩で一発犯罪者!
報道の自由なんて美名を隠れ蓑にするペンゴロは楽です。
しかしながら、彼が何故そこまで...の理解は簡単ではない。
法治主義が最高の価値だと考えたのか
正義と秩序を守る最後の砦であるFBIを守る為か
出世できない腹いせなのか
家庭的な葛藤からの自爆行為かも
あるいは....これらの全てであり、どれでもない
複雑な傑作
だから、オスカーにノミネートされない。
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