2020年9月3日木曜日
陸海軍現役大臣制
凡そ政党は私利私益により離合し、
私利私益の他に国家になし
明治の枢密院顧問官野村靖氏の言葉。
なんとも政党危険思想ですが、一端の真理を含むし、
一世紀前の喝破が未だに命脈を保つことが...なんともやるせない。
私的団体に過ぎない政党が政治を動かしているにも関わらず
さまざまな憲法に政党が規定される例は珍しい...と思う。
倭国憲法はもとより合衆国憲法にも明文規定はありません。
ドイツ基本法(21条)には歴史的な背景があり「特定政党違憲条項」が
設けられています。
明治憲法施行後、反権力的政党が国家安寧の妨げになる危惧から
様々な対策を講じられたが、統治の仕組みからして全否定は
出来ないし、御用政党は所詮不人気。
そこで知恵を絞ったのが、今日のお題
後年、統帥部の気に入らない内閣瓦解の手段に使われたが、
それは後知恵。
本来は「反権力的政党」対策だった。
つまり、現役武官は政党員にはなれないし、
陸海軍大臣の実質任命権は統帥部に帰属することになる。
政党内閣であっても軍令はもとより軍政も政党内閣から超然たる
存在になってしまった。
明治の偉人たちも予想もしなかった統帥部の暴走...
国を滅ぼしたきっかけは、チョットした政党対策にあったのです。
文民統制の価値なんてリアリティのないはなしなんですが、
歴史的には大変重要な事項なんだわ。
現役憲法では、総理大臣の要件は国会議員であり文民であること。
しかし「文民」の解釈はさまざま。
文民の対義語は軍人だから、軍人は総理大臣にはなれない...
までは異論はないが、自衛隊員は軍人か?
仮に軍人だとして、除隊すれば総理大臣になれるのか?
自衛隊は軍隊だし、性格上「国防軍」と言うのが正鵠を得る。
元自衛官の国会議員は相当数いますし、
複数の国務大臣経験者もいます。
軍歴もリーダーの資質にあるべきかも知れないし
過去の職歴をもって欠格事項にするのもねえ....
因みに、国務大臣も文民が要件だし、
国会議員の兼職禁止規定から現役自衛隊員は国会議員には
なれません。
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