2016年9月26日月曜日
最近の恋文事情
原作のタイトルが「コレスポンデンス」
ここから、一般的にロマンティックな職業だとかコミュニケーションツールを予測するのは難しい。
単純に言えば「通信文」・・・それも商業用通信文を意味しますから、ロマンティックとはいいがたい。
それに、蝸牛庵なんかだと数理解析技法をイメージしてしまう・・・ありていに言えば「多変量解析」の一種。
こう書けばアカデミックですが、超単純化すれば「雨が降れば傘が売れる」って解を導き出す手法程度なのです(苦笑)
もっとも技術者の名誉のために言えば、実際はもっと多数の因子を複雑に解析をします。
さて「ある天文学者の恋文」が倭国公開時のタイトル
なんともねえ・・・「ある」なんて世界的な天文学者に対して失礼な表現だ。
さらに「恋文」って・・・ビデオレターや電子メールに恋の情感が伝わるのでしょうか?(もらったことないからわかりません)
王朝文化になぞらえば
文のかたち(普通恋文は結び文形式)
中身にふさわしい文を結んだ草木とか一枝
同様に紙の質や色合い
炊き染めた匂い
なんかって凝りに凝ったものであるが・・・現在のITツールにそこまでは期待できない。
送り手がいれば受け手がいる。
天文学者の講義の聴講生(博士課程)のようであり、親子ほども年が違う。
早い話が、教師と生徒の不倫ドラマ。
これを
ジェレミーアイアンズ(英国系の名優)
オリガキュリレンコ(ボンドガールあがり)
を演じるのですが、どうみても単なる不倫相手ならともかく博士号を取ろうとする天文学の学徒には見えない。
名監督の作品としては必ずしも上出来とはいいがたい。
お話の展開も、不治の病で天文学者が急死し悲嘆にくれるオリガのところにそれ以降も電子メールやビデオレターが届くって
不思議な(IT技術的には不思議でも何でもない)展開で、封印されていた過去が紐解かれていく。
死者からのMSGというしつらえは、相当に古い手口である。
しかし、天文学という学問からの視座だといささか様相がかわる。
秋の夜空にきらめくなんちゃ座
しかし、我々はいったい「いつの輝き」を見ているだ?
何光年も彼方の銀座系のどこか・・・・
つまり、二人の時間軸において「同じポジショニング」ではありえないという寓意を、たまたま天文学というフィールドの中で設定したってところがこの映画のキモ
フェルメールに「天文学者」というタイトルの作品がある。
多少数奇な運命で、ロスチャイルド(フランス)の所有物でしたが、ナチスに簒奪され、
その後返還はされたが相続税支払の際に物納となり(かの一族の財力やら考えると考え難いが・・)、
いまはルーブルにあるはずです。
あの絵画のモチーフをうまくあしらってくれれば、前作(鑑定士と顔のない依頼人)以上になったのに惜しいことです。
初日初回のオープニング。
一番小さいスクリーンですが、入りは六割くらい(尻上がりに動員が増えそうな映画でもなく興行的には苦しい)
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