2025年2月28日金曜日

ベンハー

 



オリジナルは19世紀末あたりのベストセラー小説です。
風と共に去りぬと並ぶくらいの大衆的傑作。
ベンハーは、ユダヤ人の名門ですが、サブタイトルには「キリストの物語」とされますので、宗教的味付けが隠し味。
時代的に映画界が目をつけないはずがなく・・・

1907年版(まったく知らない)
1925年版(大ヒットだったらしいが未見)
1957年版(かの大傑作!戦車競争の凄さは後世様々にモチーフとされた)
2003年版(アニメ版らしいがよく知りません)
2016年版

最後は、制作費一億ドル(大した金額でもないが・・・)で、公開予定のはずが・・・
シネコンの予告映像にも関わらず、劇場公開見送りって、なんかスキャンダルとかクライシスでもない限り起こりえない
よくわかりませんが、興行的に当たらないって判断したのだと思いますが・・・多分正しい。
大枚叩いて配給権を買ったのに、DVDの発売だけだと大損でしょう。
確かにねえ・・・今更って気もしますし、役者に知名度もない。




何がスペクタクルのウリだか知りませんが、戦車競争だと、SWのボットレース以上にはならないから、いまさら
ガレー船同士の激闘ならば・・・ギリシャ海軍のように漕ぎ手が戦闘に参加するって派手さがないと受けないが史実は曲げられない。


当時のバトルシップの主エンジンは人力である。
ギリシア船を例に取れば、総乗員は二百名で、漕ぎ手は大半の170名。
連合艦隊として二百隻くらいを常備していたらしいので、ざっと四万人の配備。
狭隘な国土に少ない人口からすれば、
分業なんて贅沢は許されないから「多能工化」
漕ぎ手であり戦闘員(他方で、ローマやペルシアはエンジンは奴隷のお仕事だった)
当然にアテナイ市民とは言えプロレタリアのお仕事

古代ローマの国の背骨とはケントウリア。

重歩兵戦団であり、通常百人隊と言われる。
それに対して、古代ギリシャは海軍国であり、バトルシップのエンジンこそが国家の背骨である。
彼らの権益に配慮することこそが政体の基本であり、かかるが故に民主政が生まれた・・・とかの女史が喝破した。
歴史評価として正鵠を得ているかどうかは・・・・読み手が判断すればいいが、ポピュリズムと言えば聞こえが悪いが、大衆を無視して政治は成り立たない。

健全な中産階級を四半世紀に渡り、苛み傷みつけてきた政権はそろそろ痛いしっぺ返しが、、、


そんな事は別のネタですから、このお蔵映画は動画配信サイトでそのうちに見よう。
まあ、暇ならば、、、だが、UNEXTには、三作品揃い踏みだから、戦車競争だけを見比べるかな






2025年2月27日木曜日

明治波濤歌

 




山田風太郎の明治を舞台とする連作集。
主人公は勁草草莽ともいうべき人々。多くは大官顕紳になれたわけでもないし、一般的な通史の中では記憶に残ることも少ない。


吉岡艮太夫と榎本武揚

北村透谷、大井憲太郎と景山英子

樋口一葉と美登利(たけくらべのヒロイン)

成島柳北、川路利良

エリス(舞姫のヒロイン)に、ほんの少し森鴎外

川上音二郎と貞奴に何故か野口英世


どの作品にも、アレレという感じで有名人のカメオ出演が楽しい。明治期は必ずしも坂の上の雲みたいな晴れ晴れとした社会の青春期でもなかっただろうが、変革の時代はどこでも光もあれば陰もある。

片面だけをフィーチャーするのは間違いの元


個人的には、一葉ファンだから彼女が登場するのが一番好きだし、ミステリー仕立てでもある。

面白さでいえば、はちゃめちゃな音二郎だ。




2025年2月26日水曜日

ただいま海外逃亡中

 


禁錮八年の確定判決らしいが、この作品を「正しく理解」すれば、この程度の有期刑どころじゃ済まないって思いますよ。

ポスターと惹句を読めば、、、ウィキのAIが生成したあらすじだと



スリリングなホームドラマにみえますが、これは極めて痛切な神権体制国家批判です。


倭國には馴染まない寓意だが、アブラハムの宗教では、イチジクはアブラハムの民や神殿の姿を意味し、葉ばかりで実のないイチジクはかたちだけで内実を伴わない事をも示唆している(らしい)

イランイスラム共和国は一応は三権分立体制であるが、三権の上にイスラム宗教家が君臨する神権国家である。憲法や法律よりもイスラムの教義が上位。


ビジャブを着用しなかった事で女子学生が思想警察に圧殺された。それをきっかけとして反体制運動が巻き起こり、政権は鎮圧に躍起になる、、、、中で起きた家庭の悲劇。

実直な、実直であるが故に、イスラム原理主義そのものが化体した暴君となった家長は悲劇的に命を落とし、家族は瓦解した。


二時間半の長丁場ながら、長さを感じさせない圧迫感と緊張感。

オスカー国際長編映画賞ノミネート作品(イラン代表でなくドイツ代表です)ですが、受賞してもおかしくはない秀作。、、、多少何を言えば、映像芸術性に欠けるし、徹底的なリアリズムって訳でもない。

まあ、競争相手次第だ


2025年2月25日火曜日

「チベット」の飛び地

 



世界中には「飛び地」なるものがある。
厳密な定義はさておき、地方自治体(市区町村)の一部が他の地方自治体に囲繞されているエリアを言う。
例えば、近畿のチベット県のさらに辺境の北山村は、周囲全てが三重県と奈良県なんだがそのチベット県の一部として未だに、、多分未来も存在するかな?

歴史的経緯からの必然でそうなった訳だが、いまやその意味はない。
全村まるまるって稀有の例だが、市町村の一が飛び地になっている例は全国に沢山有ります。


タマネギくさい和泉ナンバーエリアには、岸和田市とか貝塚市とかアレコレがある。
ある岸和田市の住人が貝塚市エリアにお引越し...ところが公的書類の住所表記を見るに、自宅は岸和田市!
つまり、飛び地だった。

従って未だに貝塚市議会や市長選挙の投票権はない。行政サービスや手続も岸和田市が対応することになる。
学区がどうなのかまでは知らないが、なんとも不便なもんだから、岸和田市は貝塚市に有償事務委託を余儀なくされている.....

紆余曲折の果て、今は貝塚市に編入された筈です。
岸和田市としてみれば、多少なりとも人口が減ることは地方交付税交付額に影響しますから許し難いはず....アタシが市長ならば「買い取れ!」と言うところだが、、、、


まあ、このあたりはぐちゃぐちゃなんですよ

2025年2月24日月曜日

転売防止

 


東京2020の際に、不正転売防止を目的に「不正転売防止法」が制定され、各条例でのダフ行為禁止でカバー出来ない穴を塞いだ筈だが、、、ザル法というか構成要件該当性のハードルが高い。


実のところ主催者が本気で不正転売を撲滅する気にならない以上、倭國は転売ヤー天国。

立件例はありますが、あの程度じゃ応報にならない。



まず全てのコンサートやスポーツイベントがこの規制の網にかかるわけではなく「特定興行」だけが対象である。


有償譲渡禁止が明示されていること

興行の場所日時座席が指定されていること

購入者や入場者の確認可能な措置を講じていること


かような「特定興行」はドーム公演くらいで、大半の興行はこの法律では処罰できないし、迷惑防止条例はネット取引に網はかけられない。

だったら、、、転売ヤーが濡れ手で粟がつかめないようにする方が気がきいているという逆転の発想は如何でしょうか?



全て(あるいは何割か)のチケットをオークション(あるいは逆オークション)方式で販売する。

主催者の超過利潤は善良なファンのチケット代金を廉価にする事の原資に充当する(無論本人確認可能な仕組....顔認証でもなんでもいいから担保する)


本当は、全てオークション方式と逆オークション方式で販売して、超過利潤は慈善事業(子ども食堂運営費とか遺児育英資金等)に寄付したいが、、、、


物議かますかなあ?

一番愉しいのは犯罪収益の上前をはねること

それに、ダフ行為抑止の法益ってなんなんだ?

反社の資金源になるらしいが、そんなシノギはしれてます。

プレミアムを納得して転売が為されているだけで、普通の商行為と何が違う

暴利を貪る事を賤しく、単に右から左へ商品を転がすだけの商人を「賎商、賤しき者是商人」と貶めるが、値段は需給で決まる。これはinvisible God hand

仮に、この地球がゴールドで出来ていれば、一握の汚泥の為にヒトザルは殺しあうに決まっている。






2025年2月23日日曜日

承認欲求

 



彼に「おおいなる女装、、、じゃなくて助走」なる、パロディ的な作品がある。
芥川賞だか直木賞を欲しくてたまらない主人公が、何度も撃墜された腹いせに、雑誌編集者や選者を片っ端から血祭りにあげる、、、というプロット。
まるで、太宰治がモデルみたいなおはなし。
太宰は芥川賞が欲しくてたまらず、佐藤春夫に土下座的な懇願レターを書いたり、こき下ろした川端康成には罵声を浴びせたり、、、なんとも子どもじみた(^^)


万年芥川賞候補レコードは六回。何人かおられますが、、、受賞しなくて文名が上がる方はあがるし、そうでない方も。

川上宗薫は五回ですが、官能作家に転身(宇能鴻一郎は芥川賞作家ですが、同じく転身)受賞の有無に関わらず末路は同じ。

芥川賞候補でしかないハルキさんがノーベル賞受賞となれば、、、そう言えば、川端康成も候補だけだ。

筒井康隆も三度候補になりながらとうとう受賞は叶わなかった。

やっぱり、シネマもそうだが、SF系の宮中席次は末席

しかし、後年様々な「冠文学賞」ホルダーとなり、知らなかったが、紫綬褒章や日本芸術院の恩師賞の栄に輝く大作家に成り上がった。

文藝の世界では、ヒエラルヒーのトップクラスに位置するってことだ。

本人曰く、とれなかったから偉くなれた



この直木賞作家の小説が一部で話題らしい。版元は文藝春秋社。

買うような作家とは思っていないから、公設貸本屋さんに閲覧依頼を出したが、、、忘れた頃に案内があるだろう。

2025年2月22日土曜日

無題

 




ハイクオリティな情報誌の記事の斜視的なご紹介です。
政治、経済、国際情勢のよみには定評がありますが、投資予測は、、、どうだったかなあ?

投資のプロは、ドメインをかように分類し、分散なり集中を考えるのか!ってところがまずキモ

多少説明をすれば、


リートは不動産

コモディティは国際市況商品

フィクストインカムは確定利付債権、、、あとは略


まず、S&P500のPERが20を越え、マグニフィセント7が30ともなれば、、、更に駆け上がるかも知れないが、過去百年のパフォーマンスからすれば、大型株より中小型株が優位(だと書いてます)だから、ちょっと立ち止まって考えるべきかなあ?ってことらしい


新興国やコモディティは、あまりパッとしません。

欧州を組み込んだ国際分散投資って、言葉が美しいだけみたい(^^)


そう思って、この表をしばし睨みつけているのですが、ゴールドっていつの時代も安定感がある。

金利が付かないのが難点だが、金リース取引を仕組めば多少は、、、、

そして消費税が上がれば上がるほど売値が高くなる。

森永さんが、食料品の税率0%とかを主張されてましたが、じゃあメリハリをつけて金地金なんかは20%とか^_^さ


債権については言及しません。

債権に重きを置くバリュー投資なんて時代遅れだし、そもそもパフォーマンスが面白くも何ともない^_^

2025年2月21日金曜日

国際ロマンス詐欺

 




去るものも来るものも拒まないアタシ、、、


しかし、詐欺師って頭の良さからムショでは尊敬され、一方で性的な犯罪者は過酷な運命にあうらしい。

至極もっとも話し

以下長文ですが、毎回、相手はかわるのですが、テンプレート例がこれ


.....

兄弟として、日本を貧しい人々や幼い子供たちにとってより良い場所にするために、あなたと一緒に働けることを嬉しく思います。

何も心配する必要はありません。お金は自宅に届けられます。

この5億円が委託箱に入っていることを知っておいてほしい。

亡くなった夫が亡くなる前に、夫と私はオーストラリアの運送会社へ行き、このお金を安全な委託箱に預けました。

私たちはこのお金を祖国日本の貧しい人々を助けるために使うつもりですが、残念ながら私は夫を亡くしました。

私は彼にこの願いを叶えると約束しました。

しかし、今の生活は私にとって有利ではありません


だからこそ私はあなたに連絡しました、そしてそれは私をあなたに導いた運命だと信じています。配送業者がご自宅までお届けいたしますのでご安心ください。

私が望んでいるのは、私に代わって運送会社から箱を受け取るのを手伝ってほしいことだけです。

どうか、このお金をあなたの周りの貧しい人々を助けるための慈善活動に使ってください。

私はあなたを信じています。

わかりますか?

....


相手にしなければそれまで。

しかし多少なりとも、戯れてやれば、他に被害が及ばない、、、って事での暇つぶしだ。

多少変な倭語だからまあ想像がつきます。


五億円の一割位を、手数料でもらえるらしい。

でも「後払い」、、、って罠(^^)


先払いで、その1%くらいでいいからアマゾンのギフトポイントで送ってよ、、、、しかし、うんともすんとも(^^)


対人接触のないネット詐欺師は、アタマすら良くない、、、はずだが、その阿保に騙される馬鹿がいるのが信じられない。

しかし、最後まで騙されているフリもかなりしんどかったわ

2025年2月20日木曜日

ミュンヘン 九月5日

 


1972年と言えば、、、アタシは何をやっていたのだろうか?

九月の初めだというのに、寒村陋屋界隈で能天気にオリンピックのテレビ中継を毎夜毎夜見てたみたいだ。

体操ニッポンの躍進やらバレーボールでの東欧のどっかの国との激闘とか、、、


申し訳ないが、余りにも極東の島国ではリアリティが感じられず感情移入の出来ない悲劇なもので、、、

PLO傘下のテロ組織「ブラックセプテンバー」がイスラム選手団を襲撃、西ドイツの強攻策でテロメンバーは全員掃蕩したものの、同選手等で十名以上の犠牲者が出るという最悪の結果に終わった。


世界初のテロルのABCによるライブ中継(まだディレイでの中継という慣習はなかった)

いまなら報道規制が先だろうし、西ドイツ警察の不手際や失態もなかったかも知れない。

シナリオのないぶっつけ本番の報道の圧倒的な臨場感、緊迫感

実に素晴らしいドキュメンタリータッチの作品だし、地味な役者(はやい話が知らない俳優)ばかりである事が、より本物らしく見せている。

唯一知っているのは、通訳の若い女性(結構大活躍)役のドイツ人女優だけ。


事件後、ミュンヘン解除で追悼式が開催されたらしいが、アタシの記憶にはない。

そもそもテロ事件のさなかでも競技は予定通り行われていた。

しかし憎悪が抑えきれないイスラエルのモサドは直ちに報復テロにうってでた。

この辺りは「ミュンヘン」なる映画(スピルバーグ監督)に詳しい。

小屋で見た記憶があるが、、、単にその記憶だけで報復を昰とするとも懐疑的とも、よく覚えていない。



配役を見れば、この映像の右端は、かのダニエルクレイグ(007役者)のようです。


2025年2月19日水曜日

スマートレシート

 




たまにしか行かないが、阪神間セレブ御用達のスーパーマーケットでは、会員アプリ登録をすれば、細やかなポイントが付与されて、紙レシートの代わりに一年分のお買い物データがスマホで確認できる。


このスーパーマーケットだけのシステムか?と思いきや、プラットホームとしてPOSを導入している各社に提供する体制にはなっているが、、、導入企業の数は限定的みたいだし、実際に顧客が利用している雰囲気もない。


無駄なDXってこと?

企業にとって、顧客にとってのメリットってイマイチピンとこない。利用が進めば等比級数的に活用範囲が広がりそうな気がしなくはないが、、、






2025年2月18日火曜日

先払いか後払いか

 




なんか世間様には、信じられないことだとビックリし、それにまた反応するヒトザルがいる。
なんとなれば、関西の電車は「後払い」で、関東とかだと「先払い」
歴史的に言えば、初めて自動改札システムを作ったのが京都の先端企業で、艱難辛苦の上やっと成功
関東に持ち込もうとしたが、そこで初めて支払手順の差異に気がつき、さらに苦労の連続・・・


金銭債権(債務)の支払い方の原理原則は・・・「貰いは先、払いは後!」
これはあったりまえじゃんか。
何かにつけて倭人はお人好しってことがよくわかります。
とは言うものの・・・・


かなり前ですが、年金事務所とやらに足を運びました。
なんせ自慢にならんが、年金知識は白痴とまでは言わないが、痴愚魯鈍のレベル
年金おばさんが懇切丁寧に説明していただくと目から鱗ですよ。

今月がお誕生日で65歳ですか(そんな事は言われなくとも・・・)
基礎年金部分の受給資格がありますよ(・・・だから来たんじゃないか)
お誕生日月の翌月分からの支給です(まあそれはそうかもなあ・・・)
支給は二ヶ月分まとめてその翌月15日になります(なんだって!後払いかよ。こっちの立場だと後貰い・・・)
11月がお誕生日ですから12月からの支給ですので2月15日が支給日です(・・・無収入が75日もってお国は酷いなあ)
二階建て部分は・・・支給されません(・・・)
そのお年でも相当な収入がおありですもんねえ(・・・本人の甲斐性なんだからほっといて頂戴)


貰うものが後払いってそういう経験は可能な限り排除して来ましたからショックは大きい・・・というのは言葉の綾(笑)
しかし、釈然としません。
ということで、想起するのは半世紀くらい前
今はどうなったかは知りませんが、最初の奉公先の製造会社では・・・・



月例給与と交通費は先貰いだった(現物支給が原型ですので交通費は当然そうなる)
賞与一時金と時間外勤務手当は後貰い(金額査定上そうしかならない)
出張旅費も近距離はともかくも基本は先貰い(金額予想が出来なければ堂々と仮払い申請!)

一方で、自分での払いは後払い・・・つまりクレジットカード払いに決めてました。
債権債務管理のリスク排除の要諦はこれに如かず。
貸し倒れの山で潰れかけた企業の立て直しの一翼を担った者としての金言である。


それはさておき、当時の会社はN月の給与はN月の20日に支給されました。
下旬分は全くの見込み払い。従って「先貰い」です。
当時、銀行の窓口が25日になると混雑するのを不審げに眺めていましたが、
先払い・・・かどうかは知りませんが支給日の世間標準がその日だったようで、20日払いって労働者には優遇
しかし、そういう事を当たり前って思うのが世間知らずというもので、もしかすれば「後払い」の方が多かったのかもしれません。
その製造会社も現場の所謂ブルーカラーは「後払い」だと知ったのは相当後になってから。
N月の給与はN+1月の20日に支給される。
その後、身分制度改革で支給基準が統合され、ある月だけ彼らは二ヶ月分の給与を一挙にもらったのですよ!


未だに釈然としません。
年金って施しじゃないのですよ。
自分が拠出したものを返して貰うだけなんだから・・・
やっぱり、一旦出してしまったものを取り返すのは難しいってことですなあ。

2025年2月17日月曜日

過去の罪を背負う事はなくても未来への責任は、、、、

 


重たい話だなあ。

ホロコーストの最終責任は、ヒトラーだろうが「さまざまなヒトラー」がいたこともまた事実。

その全てをナチス一派に押し付けたのが、ドイツの贖罪と清算だと厳しく指弾する声があります。

多分正しい。


見て見ぬふりしたアーリアンに罪はないのか

同胞を密告したユダヤ人に罪はないのか


ヒロインのジャスシンガーを目指すステラは、両親の絶滅収容所送りを回避するため、我が身を守る為、ゲシュタポのイヌとなり、ベルリン市内に隠れ住むユダヤ人を千人近く、、、同情すれば「緊急避難」だわなあ。

しかし、ソ連抑留から帰国した彼女は、ナチス協力者として裁判にかけられる。


判決は禁錮十年、但し抑留期間を未決勾留と見做し、即日釈放(まあ、、、大岡裁きかな)


実話のようです。

ステラみたいなユダヤ人は数多いたはずだし、絶滅収容所でユダヤ人を虐待しガス室おくりの実務的な汚れ仕事をやったカポなる職種に就いたのもユダヤ人。



名題の一節は、記憶が曖昧だが、想起の文化(アライダアスマン教授)の中にあったような、違うかもしれない、、、でもなんにせよかなり表現は違うし、そして、その意味合いもかなり我流解釈しています。



昔の世代の行為に責任をとるつもりはない

しかし、過去を想起し将来に対して同じような過ちをさせない事には誠心誠意.....


2025年2月16日日曜日

筒井康隆の「敵」....承前

 




オリジナルの小説を読み終わり、映画版とあれこれ対比しながらの楽しい独酌。


文庫版の解説(川本三郎さん)によれば、老人文学の傑作らしいが、文学というよりも、虫瞰的な私小説だ。古希を過ぎた独居老人の静謐にした端正律儀な日常のアレコレを章立てしてアレコレ書き綴る。

毎日が判を押したように、、いやいやそれでも毎日のように事件は起きる。



憎からざるアラサーの教え子が稀にやってきて終電ちかくまで。近所のバーでバイトする仏文科の女学生も

触れなば落ちん雰囲氣だし、二十年前に死別した色白美人の妻はいまでも夢に出てくる。そう、?アラサーも女学生も現実だか虚構か儀助の妄想か、虚実はだんだん判然としなくなる。



映画版は、小説のエピソードを換骨奪胎しながらそれとなく盛り込んでいる。

違いは、、、エンディング

儀助は、毎日の家計簿から将来の赤字累計額と貯金額の慚減を予測し、その時の自裁の仕方をアレコレ考えている、、、それもまた楽しい

小説では、春雨の昼下がりに雨垂れの微かな音が消えれば儀助の心臓の鼓動が止まる時....風に終わるのだが、映画版では、遺言状の開示である。



どっちがいいかの判断は人それぞれ。

なんともいい難い。

リアリズム的に始まった物語はシュールになり、またリアリズムに戻っていく。

三人のオンナはシュールの世界にしか登場しない。


ヒトザルは昔のオンナを思い出さなくなると、、、余命がヤバいって事らしい(^^)

2025年2月15日土曜日

明治ミステリー

 


いつでも何処でも、刑事犯罪は起きる。


犯罪が発生し

捜査が始まり

容疑者を確保し

処断が終われば、、、一件落着なミステリー


しかし、室町時代以前は、社会風俗や文化が現在と違いすぎ違和感が先に立ち、江戸期はむしろミステリーよりも捕物の世界。

大正や昭和初期は、既に乱歩なんかが書き散らかしているから、いまさら、、、

という事で、、明治の開化期なんかが舞台装置として面白い。

山田風太郎氏の、明治断頭台や幻燈辻馬車なんかは、伝奇浪漫風味もあり、サクサク読めます。

ところが読むのはお手軽でも、書く方は参考文献を漁り読み込み、なかなか手間がかかるみたいで、、、



明治殺人法廷(芦辺拓)


彼の他の作品はろくに読んでいないから、力量の程はなんとも

しかし、この作品はまあまあいけます

ミステリーよりも時代設定の読み込みが読みどころ


自由民権運動過激派が跋扈し、権力の弾圧でなんとか表面的には平穏な「獅子の時代」

大阪市市内の質屋一家惨殺事件が発生

なんせ、旧刑法の時代ですから、推定有罪

孤軍奮闘する代言屋や、それをサポートする自由民権芸者に新聞記者、、、圧倒的に不利な公判。


この手の話は予定調和のハッピーエンドなんですが、色々実在の著名人が狂言回しを務めます。


手塚太郎検察官(最終的にどっかの高検長まで偉くなりました)

テミス神の代理人なんですが、無能で偏見まみれの裁判官を歯牙にもかけず、、、児島惟謙(この頃は大阪高等裁判所長官かな?)のバックアップもあったか、毅然と正義を全うするのです


この検察官の御子息はさしたる者とまでは言いにくいそうだが、孫は稀代の医師免許を持つ大漫画家。

そもそも、手塚家は蘭学医の家系ですから、、、、

小説のなかに、チョコっと孫の設定で手塚治虫さんが登場します。

読み飛ばしそうなくらいあっさりと(^^)

ちばてつやさんではなく、もう少し長命ならば、文化勲章受賞者のはずが、、、




2025年2月14日金曜日

夜の梅

 



宮内庁御用達の羊羹屋さんの看板商品の商標

印籠杉箱入の大判ならば、たかが羊羹なのに大層なお値段ですが、小型ならばお手軽。


虎屋さんのウェブサイトによれば、三十六歌仙の凡河内躬恒の和歌(古今集)を引用しつつ、、、あれこれと

変に理が勝ちすぎて、、、というかロジックがキャベツなのよ


春の夜の闇はあやなし 

梅の花 

色こそ見えね 香やは隠るる


羊羹の色目が夜のあらわし、その闇の中に浮かぶ梅の花を小豆が見立てる


そんな和歌よりも、本歌取りなんですが、


色みえで

春にうつろふ 心かな

闇はあやなき 梅の匂いに(定家)


時代が違うし、技法の進化もあり、比較するのは気の毒なんだが、、、そもそもプロ歌人として力量に差がありすぎる。





なんにせよ、桜は「花見」だが、梅の花見は噴飯物。自宅の軒端の梅を眺めるのはさておき、、、わざわざ足を運んでまで、、、、



梅は夜に香りを愛でるもの。

桜や桃だって、薫りが、、、なんて底の浅い反論はするものじゃないし、アタシからの倍返し(^^)

桜は葉の薫りだし、桃の薫りに至っては、あれは桃の実の匂い。それに本当に美味しい前歯が欠けるくらいに硬い桃の実は知る人は少ない。


2025年2月13日木曜日

極私的なベストテン

 


ある映画祭の審査員やらの繋がりから派生した仲間による映画ベストテンの結果です。


評価者の数はざっくり70名くらい

ベストテンにテイクノートされた映画は延べ百数十本

年間公開本数が千作品内外から選ばれたのですから、それだけでも大したもの


採点競技ですから、審査員の構成やら、、、ゲームのルールで順番はなんとでもなります。

邦洋実写アニメ混合のバトルロイヤルの結果は?



順当に第一位は、オッペンハイマー。

ベストテンに選んだ審査員は26名。

あれだけの話題作なんだからこのメンバーなら、観ていないはないだろうし、観た上で選外にするのはかなり天邪鬼です。


第二位は、侍タイムスリッパー

僅差でキネ旬ベストワンをおさえたのは見識です。

夜明けの全ては未見なんです。そしてこの作品の監督の前作も未見。食わず嫌いじゃないつもりだが、かつてのオスカー賞のちかみちは「アルコール依存症役者」なんて伝説を思い出すもんで、、、言葉すぎますがアザトイ


落下の解剖学と関心領域は、いずれもザンドラヒューラーの主演作。甲乙つけ難いが、落下の解剖学を上にするのは眼が高い(アタシがそうだから)


ホールドオーバーズみたいな渋くて地味な映画を選ぶんだから、選者のレベルが分かります


ルックバックと青春ジャックは、観たことも聞いたこともありませんし、知っていても多分小屋には足を運ばないだろう。


ロボットドリームスは爆睡だし、エマストーン嫌いだから、哀れなるものたちは観てません(とキッパリ)


なお、、、アタシのベストテン作品は3本がこの中に入りました。


2025年2月12日水曜日

カエル男

 


乱作の作者がかなりな思い入れなりで書いた連作ホラーミステリー四部作
かような作家の愛読者って公言するにはかなり勇気いりますが、、、いわゆる「純文学」の大半は骨粗鬆症か自閉症の産物みたいなものだと揶揄するアタシだから、、、

でも別に推奨はしません。

中身の悍ましさは、自分で読んで(買わずに借りる事で充分)確認してください。

ここまでも、これでもか!って作家は類を見ない。


中山七里ワールドには、様々な主人公(個々の作品のセンター)が登場します。

それが、全員ではないが、かなりなオールスターズが登場するのがこの四部作



このシリーズのセンターは、触法少女あがりの統合失調症患者のピアノ講師。コンサートピアニストの域ではないが、その荒削りな演奏は魂を揺さぶり、同じ触法少年上がりのサカキバラまがいの辣腕弁護士とは少年院仲間だし、ピアノレッスン仲間には司法修習生あがりで後年のショパンコンクールファイナリストもいたし、埼玉県警の体力バカ刑事とも心が通い合う。



彼女は悪名高いシリアルキラーだが、解離性同一性障碍を患う。

ミステリーである以上、捜査関係者は警視庁、埼玉県警、千葉県警のそれぞれ個性的な刑事にまで及び、あとは法医学者や鑑定人まで、、、、

これだけの多様なメンツが織りなしてこそ「シェアードユニバース」に相応しい。




この連作のキーワードは刑法39条

ジンケンハ被告代理人の最後で最強の魔法の杖だが、使い方が難しい法律概念だし、被害者側からの批判も激しいセンシティブな分野。

本条文削除という強硬意見もあるが、これは刑法総則第七章全体を鳥瞰していない視野狭窄な暴論。精神鑑定は科学ではないというが、そんな事はアタシでなくとも裁判官は百も承知。だから鑑定書に拘束されず己の自由心象に従って判決を書く。

また、責任主義は近代刑法のプリンシプルではあるが世界基準ではないと宣う方がいますが、唐代やそれをうけた養老律令でも「幼若、老耄、衆愚が犯した犯罪処罰は軽減する」と定められている以上、自然法理に近い考え方であり、主張は勉強不足な的外れ。



物語自体は、最終的にはすべてが浄化される結末なんですが、肝心の「キーワード」の解は、当然ながら見つからない。

罰を排斥ないし軽減する要件は、この第七章が必要にして且つ充分なんですが、、、実は第四十条(条文は後述)はかなり前に削除されてます。

まことに珍しい事なのですが、障碍者団体の「切実な訴え」を立法府が考慮したってこと

そのひそみにならえば、39条廃止反対論者は、、、

サベツシテクレ!って言っているような(流石にこれは詭弁まがいな言いがかりだからアタシの真意ではない)



聾唖者、行為ハ之ヲ罰セス又ハ其刑ヲ軽減ス






2025年2月11日火曜日

春の喜び

 



春がやってきたよ!というにはまだ早いかなあ
そんなときには、、、

Just around the corner !


すぐそこに春が、、、って時の慣用表現

今時点はそんな感じだろう


しかし、捻くれ者とまではいわないが、斜視の歌人もいます。


茶人がもっとも重要視する「南方録」

利休伝来の茶道の秘伝書らしいが、真っ赤な偽書

利休の侘び茶の真髄をこの和歌が化体している、、、トカナントカ

武野紹鴎のいう、、、見渡せば 花も紅葉のに比べるとまだわかりやすい。


倒錯の美が大好きなアタシだが、なんか「ウエカラメセン」感が強くてあまりに好きになれない家隆の有名歌。でも、嫌いながら、百人一首収録のこれよりは遥かにまし



敢えて現代語訳風に披瀝しますが、あまりなまでに当たり前で、この歌人の本質が分からなくなるし、論評すらしたくない。



春がきたを素直に詠みたければ、志貴皇子の



天智天皇の皇子さまですが、母の身分が低くて皇位には手が届かないと達観し、政治とは一線をかくした文化人の生涯ながら、塞翁が馬とはこのこと。

彼の子供が白壁王(光仁天皇)として今に皇統を伝える。

もっとも、白壁王の即位は志貴皇子薨去の相当後のことであり、この和歌の喜び感はそんな「俗事」ではなく、純粋な春一直線であり、たぎり落ちるみなおとまで聴こえてきます。

俗事の喜びの歌ならば、アタシはこんなに買わないってキッパリ