2021年1月12日火曜日

自由平等博愛

 


内田樹氏の文章を斜め読みしながら考えた。
彼氏曰く、かの大統領選挙とは「自由と平等の分裂」である。民主党は平等、共和党は自由を標榜する....とかなんとか

アメリカンはそう考えるのかもしれないが、大革命の理念...つまり近代的な価値観は三者を一体不可分と考える。この三拍子の順番は優劣ではなく、大革命の時間的経過におけるスローガンに過ぎない。


自由....他人に害を及ぼさない限り全てを成しうる権利であり、自然を原則とし、正義を規範とし、法を防御とする。

平等.... 法の元での生まれや身分による差別、地位や権力の世襲、極端な富の偏在は許されない。

友愛....社会や共同体への奉仕の義務

というのが、公式的な解釈なんですが、、、批評家からは酷評されている「NYの優しいロシア料理店」を観ながらアタシが思い浮かべた妄想

大革命のスローガンを言い換えたら「自助、公助、共助」になるんだわ!

業歴百年を超えるロシア料理店を舞台に

何処か達観した料理店のオーナー
DVから逃れてきた無一文の若い女とその子供
ロシア料理店の前科者のマネージャー
マネージャーの友人のストリートローヤー
ボランティアに精出す看護師
職を転々とする不器用な若者




ハートウォームなストーリーだし、どこが酷評されるのかよく判らない。深読みするに映画人の多くは民主党支持者なんですよ。
この映画では登場人物が自らの力で必死に生きようとし、その生きるよすがを貧しいながらも奉仕の精神が支える人々がいる。
自助と共助だけで公助は直裁的に登場しないながら、最後はささやかにハッピーエンド。
優れて共和党的とまでは言わなくとも民主党的ではない。
しかし、そんな党派性で折角の佳作をボロクソに貶すものではない...とキッパリ!








2021年1月11日月曜日

上善如水

 小器用にパリとかを舞台にヒトザルのささやかな営みをスケッチする腕前は、映画監督ならば、エリックロメールにしかず。

そしていまは、セドリッククラピッシュ。

ロメールほど小理屈が多くないから助かります。



しかしなあ...




なんだね、この詩情の欠落したオリジナルタイトル!

パリとくれば、、めぐりあい....みたいな単細胞的な言語力も如何とは思うが、あまりにも湿度がなさ過ぎる。フランス語文法を披瀝するほどの学力はないが、むしろ心理学的な概念のようだと思われます。


直訳すれば「ふたつのワタシ」

アカデミックには「自我」というべきかしら


主役はアラサーの男女二人

隣り合わせの安っぽいアパートの最上階に住むが面識はない。それぞれにこころに悩みを抱えて、セラピストに毎週通っている。

安いサラリーだと思いますが、費用が大変だろうなあ....とつまらない心配をします。


セラピーがやたらと登場するのがアメリカン。

フランス人は自我が強固に確立している民族

らしくて、無縁だと思い込んでいたが、昨今はそうでもないみたい。


二重螺旋の恋人なる傑作もセラピーが重要なモチーフだった。




オトコが飼っていたネコが逃げ出し、オンナが世話して、お互いにセラピー効果で自我を取り戻したところで、猫の取り持つ縁なんて展開ではなかった。


しかし、セラピストの腕よりもアニマルセラピー効果ではないか?って気もします。


で、タイトルに戻るのですが、二つの自我って....


男女ふたり

それぞれの内面と外面の自分


どっちかな?

2021年1月10日日曜日

17のカラーホイール

 





大企業の集まるオフィス街では、このバッジをつけて闊歩している連中がいるらしい。

Sustainable Development Goals

持続可能な開発目標のシンボルらしいが.....
どの目標も「ごもっとも!」としか言いようがなくて、惰日記の素材としては歯応えがありすぎるというかなさ過ぎる。

とりあえずランキング結果がありましたが、この手のはなしは欧州...とりわけ北欧が上位にくるように設計されている。
あとベスト5には、ドイツとフランスが入っていますが、、どうなんでしょう?
翻って倭国は....


....

結局「深刻な課題」があるようですが、そんな事は言われなくとも深刻に考えている。
逆に「達成」と評価された「あまねく良質な教育」なんですが、猥褻教師が野放しでイジメが横行するのが良質だそうな....つまり「聖職」はそんなものというのが世界の常識?

誰がどんな評価基準でランキングを作ったのかよく分からない。
むしろ、ISOとかとおなじでまことしやかに御宣託を垂れるエヴァンゲリストが横行して法外なコンサルタントフィーを懐中にいれているとか。
けだし「正義はカネになる」

誇らしげにバッジ付けてますが、とんでもない重い十字架を背負わされているってこと。
バッジのお値段も....適正なのかどうかは



わかりませんが、バッジ付けてます!ってことが
17の目標への取り組みの証明ではなく、具体的な活動なり成果が必要なのはいわずもがななんだが、、、

口先だけだと、西洋の投資家は株式や債券を売り払います!....と脅かされてそのきになるのでは「持続可能な企業活動」にはならない




2021年1月9日土曜日

人魚の眠る家

 理科系ミステリー作家。

好きってほどの事はないが

白夜行
新参者  ....だけは名作だと思う。

タイトルロールの作品は、活字で読もうとは思わないが、アマゾンプライムサーフィンの途中で...捕まってしまった(苦笑)


幼い娘が事故で脳死状態となる。
死を受け入れられない夫婦は特殊な人工呼吸器システムでの「昏睡状態での生育」を行うが、異様な生の様相は周囲を不安定な状態に追い詰めていく....



原作はわかりませんが、大衆娯楽らしい映画のハッピーエンドは、、、安心はするがそれ以上のものはない、つまり単なる娯楽だし、考証も甘い。
アタシとして多少スリリングだったのは「刑法上の死の定義」に関わるシーンだけ。


人を殺して死にいたらしめば殺人罪

死の状態の人を毀損すれば死体損壊罪

死の状態でない人を傷つけても正当事由(外科手術を含む)があれば、傷害罪に問われない。


臓器移植の世界では「脳死」を死と定義します。

脳死の定義も色々あるようですが、臓器移植法では脳全体の不可逆的な機能喪失とされます。

しかし刑法の世界では伝統的に三徴候説...呼吸停止、心停止、瞳孔散大と言われますが、今時ですから人工呼吸器をつければ不可逆的喪失にはならないし、瞳孔散大は脳幹機能喪失と同じらしく、つまりは心停止が「死の定義」と、最高裁判例はありませんが、実務上はそう解釈されています。

社会的な合意形成のないシリアスで微妙な設例には立ち入りたくないのは誰しも同じ。


この映画では娘の死を受け入れたくない母親は、家族との対立から激昂し、百十番!

駆けつけた警官を前にして、包丁を娘に突きつけ


....今ここで娘を刺せば、アタシは殺人罪に問われるのですか!

問われないのですか?


制服警官も迷惑しますが、、、実際にそうなれば(殺人罪で起訴されれば)実に興味深い事になったのですがねえ。


アタシが代理人ならば...まずは心身喪失で責任能力なしで無罪主張って、あまりに当たり前かな(^.^)

あとは、殺意の存否とか、社会通念的にはすでに死体だとか、せいぜい戸籍法の届出違反に過ぎないとか.....

そもそも可罰性がなく、検察による起訴権濫用も言うかな


多分ですが、検察は起訴猶予にするかも

検察審査会への不起訴不当の審査申立も...ないはずだ。




2021年1月8日金曜日

Dolchstoßlegende....売国奴の接吻

 



我々は負けたわけではない
背後からの匕首に刺されたのだ



怒鳴る度が知性主義ならば、その支持層が知性主義ならば、このドイツ語を口にしたに違いない。
口にはしないが、声高に主張していることは同じ




努力が足りなくて負けましたと「一億総懺悔」するしおらしい倭人とはえらいちがいです。WW1でのドイツの敗北は、背後からのコミュニストやユダヤ人の裏切りによるものだ!

エビデンスは知りませんし、嘘も百回言えば本当になるし、百回も言えば短期間ならば大衆を騙すのは訳ない....ファシストの常套手段と言われますが、この辺りは、右も左も手口は同じ。むしろプロパガンダは左の得意技。真ん中だって根拠もなく同じことを繰り返す手合いは同じアナのタヌキかキツネだと思っても間違いはない。


過日の「我が友ヒトラー」の最後のセリフ


ヒトラー......(クルップ氏に向かって)


そうです、政治は中道を行かなければなりません



しかし、大衆とて馬鹿扱いするものではない。

衆愚とも言うから賢くはないかもしれないが、フェイクだって何か感じ入るものがあるから、信じたいと思う何かがあるから「信用」するのです。

サクラの虚偽答弁は、百回を越えたらしいが...主権者は納得したのかなあ...アタシには判らない。



まあそんなことよりも、この表現は修辞力にかけるのよ。イタリアンに限らず、藝術的なセンスがあればこう言ったはずに違いない...というのが、今日の副題





 Questo è il bacio di Tosca!


イタリアンオペラの傑作「トスカ」の有名なシーン

恋人の助命を嘆願するトスカに邪恋に狂う警察キャリアは舌舐めずりしながら迫り...あわや落花狼藉

そこに隠しもったナイフの一振り


...ざまないわ!これがトスカの接吻よ


だからネトウヨ系とかは似非芸術愛好家なんですよ





2021年1月7日木曜日

怒鳴る度の「功績」

 


いまさらドンデン返しはなかろうし、仮にあったとしても、彼の「功績」に影響はしない。

誰だって程度の差こそあれ功罪は半ばするもんだ。彼の失政は誰彼なく言挙げしますから、天邪鬼なアタシは、トランピリアンではないが、讃えるところはほめちぎろう!


・中共の悪の化身の実相を世界に知らしめた事

19世紀よりアメリカンは理由は定かではないが中国に乙女心めいた憧憬や恋情があり、馬鹿馬鹿しいまでの媚をうってきた。
パールバックは「大地」でノーベル文学賞に輝き、エドガースノーは毛沢東賛美本を書き...読み返せば赤面するだろう。
いつか我々の価値観を共有してくれるという淡い期待は幻想あるいは妄想でしかなかった。

アメリカンのみならず世界がそれを共有した四年間。



・アメリカは幻想民主主義国だと明らかになった事


戦後民主主義はアメリカンが彼らの観念的理想論を基づき人工的に創り出されたものであり、所詮は共同幻想だったと総括せざるを得ない。幻想たる所以は我々の民度の低さなり勝ち取るために流した血量だと思っていたが、実のところアメリカン自体もが近代的な価値観とは多くの部分で無縁だと言うことのようだ。

少なくとも七千万人が....


反知性主義

差別主義

非平等主義.....とかなんとか理性とはほど遠いものを支持している。

もはや「建前の綺麗事」をとりつくろう仮面夫婦をかなぐり捨てたってことです。





さあこれからどうするんでしょう。

ネコのうちはなんとかなったのでしょうが、いまや猛虎です。故事に倣えば、連衡合縦ってうまくいかないし、割れた茶碗は元には戻らない。


そういえば、トランピアンの弁護士が、ニューネバダ州とニューカリフォルニア州設立の準備書面を最高裁判所に提出したそうな。

つまり青州の赤い部分だけを分離して新しい州を作るって案。

さすがに最高裁判所判事は不受理としたようです。

2021年1月6日水曜日

サド侯爵夫人

 


昭和期の最高傑作と言われる三島由紀夫の戯曲。
読まずともWikiで充分....なんですが、ネタは原作者の単行本の後書きやお芝居のプログラムの解説文で、つまりは剽窃や孫引き
凄く読み込んだ力作「解説」と錯覚したアタシが愚かだった。
三島由紀夫ってサービス精神旺盛なんですなあ...いまさらアタシ如きが駄文に書くことは何もない。


しかし、折角書き始めたんだから....
この戯曲には、肝心のサド侯爵は舞台には登場しないのがまずもって名作たる所以。サド侯爵の複雑な心理にまとわるエレメントがそれぞれの登場人物に化体したかのように惑星めいて回遊する。
曰く....

貞淑
法と秩序
神あるいは信仰
肉欲・淫蕩
無邪気・無節操
民衆または革命

オンナしか登場しない舞台劇をオトコだけで演じる...蜷川好みですが、女優なんてものは19世紀以降の産物ですから特段奇天烈でもない。
しかし、オトコしか登場しない舞台劇をオンナだけで演じる例は知らない。
ヅカはオンナだけの世界だが、オトコ役のオンナがマウンティングするのが約束事らしいから、演じようがないということかな?
サド侯爵が「清く正しく美しい」わけはないが....その妻のルネ夫人って.....マルマルTAKARAZUKAテイストな貴婦人なのです。




密かに、この戯曲と対である「我が友ヒトラー」を女優だけで演じた時のキャスティングを思案するのが愉悦....近日中に公開するかな(^.^)


2021年1月5日火曜日

愉しい読書会

 


お友達なんかが集まり一冊の本を巡り語り合い呑み散らかす...まあ楽しいのでしょう。

小説家や書物、本屋が素材になる映画には事欠かない。読書会もテーマになりますが、アタシの記憶に残る作品は少ない。




ジィーンオースティンの読書会
ガーンジーン島の読書会の秘密
最近だと...またあなたとブッククラブで

読書会ってオンナのたしなみかねえ?
すぐれて女性映画なのですよ。
はやい話が井戸端会議を多少洗練させたようなもの。
オスザルならば居酒屋でトグロを巻くが、メスザルはそうはいかない。
倭国ではコロナ禍前は居酒屋女子会が子連れで大盛況だった。それを思えばまだマシだ。




オースティンの「高慢と偏見」は好きだが、読書会で語ろうとは思わない。
況や官能小説なんか....

初老の大女優四人の競演による読書会映画
それぞれに人生の秋を迎えて閉塞感
それをブレイクスルーする契機となったのが、ベストセラー「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」

アタシは読んだことはないし映画化もされたが歯牙にもかけない。女性に好まれる猥褻本って観念的でも哲学的でもなあ。だからサドの作品はオスザルしか読まない。


有閑マダムのアドベンチャーワールドでしかないが、
一千万ドル程度の製作費でその十倍は稼いでくれましたから、肩の凝らない平凡な作品ながら製作会社に孝行しました。
あんだけの女優集めれば、アタシだって監督やれます。何もしなければ勝手に演技してくれます。

2021年1月4日月曜日

テレンスマリックの最新作

 





アタシの後輩がテキサスのエルパソで奮闘中だが、州都オースチンがライブミュージックの聖地とは聞いた事がない。
単に知らないか、興味がないかだけの話だが、コロナ禍でライブハウスが壊滅的と聞けば、こころ波騒ぐ.....

テレンス・マリック
映画界最高の知性
ハーバードの哲学科首席卒でローズ奨学金でオックスフォードへ。
しかし哲学の博士課程で主任教授と激突し、学位をとらずに帰国し、映画界へ
手がけた作品は非常に少ないが....

天国の日々
シンレッドライン

映画史に残ると思いますが、よる歳なみというか円熟の極みか...
昨今は、哲学的内省に満ち満ちた思索作品ばかりて...はやい話が批評家泣かせ

映画って大衆娯楽なんだから、過度に自己満足の境地にひたられると迷惑なんだわ
愚作凡作ならば罵倒もするが....えも言われぬ陶酔感も味わえるし...ほんとに困るわ。
映画人に華麗な学歴は邪魔になる。


語るべき語彙もないから、Wikiの引用でお茶を濁します。
本作への賛否は激しく割れている。 

語りは最小限に留められているが、画面は実に美しい。良くも悪くも近年の作品に含まれている要素が反響しあっている。

近年の作品を『難解だ』と酷評することが批評家の間では流行しているが、本作こそ傑作であり、人生を変えるような作品と言ってもよい

ストーリーが支離滅裂だ。映画自体が観客の理解を拒んでいるようだ。特に意味もない個所を執拗に描写しようとする。しかも、奇妙なシーンだらけだ。気の抜けた何かが深みに達しようとしているようだ。観客は各シーンの余白の中に理解できるものを探そうとするだろうが、それは見つからないのである。


意見はさまざまだが、どれにも一定のうなずき感があります。