2025年11月6日木曜日

おもてなしの、、、ココロ

 



鎌倉にある美酒乱星ひとつのお料理屋さん
元はといえば、この能(鉢の木)にちなんだのでしょう。
狭い自宅の一角で、こころを込めて作ったおにぎりが大人気でいまや、隆々たる大料亭。
初心の「おもてなし」のこころをいまだに持っている、、、そうです。


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主人公(シテ)佐野源左衛門常世は一族に領地を横領された没落鎌倉御家人
妻と二人暮らしながら、どうやって生計を立てているのかよくわかりません。

場所は、、、不詳(群馬か栃木あたり)

大雪のある夕刻のこと、旅の修行者が、一夜を乞います。
なんのおもてなしも出来ないがってことで・・・
ささやかになけなしの「粟飯」を振る舞います。
稗粟なんて、貧困の象徴ですが、貧しいがゆえのそのおもてなしがさぞかし修行僧には嬉しく心にしみたことでしょう。


夜がふけるにつき、だんだん寒くなりますが、暖を取る薪にも往生しています。
そこで、主は、秘蔵の鉢の木(梅、桜、松)を切り、暖をすすめるのです。
見ず知らずとはいえ、客人をもてなすとはこういうこと
豪華な飲食物や温かいベッドルームではなく・・・
富者の万灯より貧者の一灯のほうが値打ちがある意味合いとはまさにこれのこと。
けだし「おもてなし」とはそういうものなのです。

しかし、落ちぶれても鎌倉御家人の矜持はわすれず、
いざ鎌倉ともなれば・・・

ちぎれたりとはいえ この具足
錆びたりとはいえ この長刀
痩せたりとはいえ この馬

一番に馳せ参じるって意地を語るところが痛々しいまでに清々しい


翌朝、後ろ髪を引かれる思いで修行者は立ち去るのですが、
しばらくして鎌倉から、全員参集の号令が・・・
やっとのことで着到した主人公は、御前の前に呼び出されますが・・・

そこにいたのは、政権の最高権力者である執権北条時頼
旅の修行者は、世を忍ぶ仮の姿(まるで水戸のご老公さまみたい、、、)
時頼は、主人公の偽りなき矜持の高さを褒め、
横領された領地を取り戻したことを告げるのです。

佐野の庄三十か村って言いますから相当なものが帰ってきました。粟飯一膳の御礼にしては豪気ですねえ
合わせて、秘蔵の盆栽を切ってまで暖を提供してくれたおもてなしの心に免じ梅、桜、松にちなむ荘園三箇所を恩賞(ご褒美)とするのでした。



意気揚々と土地の権利証を懐に故郷に帰る常世の晴れ姿で・・・カーテンコール(いささか長いのですが、名曲です)

歌舞伎、落語、講談にもこの演目があるそうですが、残念ながらアタシは鑑賞した事がない


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