旧年に春立ちける日よめる
年の内に春は来にけり
ひととせを去年とやいはむ
今年とやいはむ(元方)
春立ちける日よめる
袖ひちてむすびし
水のこほれるを
春立つけふの風やとくらん(貫之)
暦学のこまかい知識がないが、閏月の関係で起こりうることくらいは知っている。
正岡子規が罵詈雑言を浴びせた「理が勝ちすぎた駄洒落」みたいな在原元方の和歌。
たまたま最初の勅撰集の春部の巻頭歌だったから風当たりがきつかった(^^)
実質は、この貫之の立春歌が初首みたいなもの
春の風が凍りを溶くって修辞は、特に新機軸でもない。
例えば、、、藤原高子の「鶯の凍れる涙」とか
しかし、この和歌の素晴らしさは、一年の時の移ろいを三十一文字に凝縮した事。
袖を濡らしながら両手で水を掬ったのは暑い夏の日。秋がすぎて厳寒には凍てついたが、その氷は春の暖かい風で溶けてしまうだろうなあ
さすがに、古今集や貫之をこれ以上もなくこき下ろした子規も、この和歌には難癖をつけていない、、、、と思います(^^)
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