2025年2月15日土曜日

明治ミステリー

 


いつでも何処でも、刑事犯罪は起きる。


犯罪が発生し

捜査が始まり

容疑者を確保し

処断が終われば、、、一件落着なミステリー


しかし、室町時代以前は、社会風俗や文化が現在と違いすぎ違和感が先に立ち、江戸期はむしろミステリーよりも捕物の世界。

大正や昭和初期は、既に乱歩なんかが書き散らかしているから、いまさら、、、

という事で、、明治の開化期なんかが舞台装置として面白い。

山田風太郎氏の、明治断頭台や幻燈辻馬車なんかは、伝奇浪漫風味もあり、サクサク読めます。

ところが読むのはお手軽でも、書く方は参考文献を漁り読み込み、なかなか手間がかかるみたいで、、、



明治殺人法廷(芦辺拓)


彼の他の作品はろくに読んでいないから、力量の程はなんとも

しかし、この作品はまあまあいけます

ミステリーよりも時代設定の読み込みが読みどころ


自由民権運動過激派が跋扈し、権力の弾圧でなんとか表面的には平穏な「獅子の時代」

大阪市市内の質屋一家惨殺事件が発生

なんせ、旧刑法の時代ですから、推定有罪

孤軍奮闘する代言屋や、それをサポートする自由民権芸者に新聞記者、、、圧倒的に不利な公判。


この手の話は予定調和のハッピーエンドなんですが、色々実在の著名人が狂言回しを務めます。


手塚太郎検察官(最終的にどっかの高検長まで偉くなりました)

テミス神の代理人なんですが、無能で偏見まみれの裁判官を歯牙にもかけず、、、児島惟謙(この頃は大阪高等裁判所長官かな?)のバックアップもあったか、毅然と正義を全うするのです


この検察官の御子息はさしたる者とまでは言いにくいそうだが、孫は稀代の医師免許を持つ大漫画家。

そもそも、手塚家は蘭学医の家系ですから、、、、

小説のなかに、チョコっと孫の設定で手塚治虫さんが登場します。

読み飛ばしそうなくらいあっさりと(^^)

ちばてつやさんではなく、もう少し長命ならば、文化勲章受賞者のはずが、、、




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