邦訳された際のタイトルは「高慢と偏見殺人事件」
確かに「ウィッカム氏の殺人」では読者を惹きつけるものはない。
高慢と偏見と聞けば、氏の名前を連想するかもしれないが、逆の可能性は低いと思う。
これは、ジェインオースティンのシェアードユニバースミステリーです。
オースティンの作品群、、、いずれも18から19世紀にかけてのジェントリー達のたわいない社交と婚活話がさしたる事件が起きるわけでもないが、不思議と退屈せずにページを繰る物語の主人公が一堂に会しての密室殺人事件のしつらえ。作者はヤングアダルト作家(倭風に言えばジュニア小説作家)ですから、若い男女が狂言回し、、、つまり名探偵。
作者の執筆動機が、先行するパスティーシュミステリーが気に入らなかったからと言うことで、、、これには、激しく同意します。
今回の被害者はウィッカム氏。詐欺師にして恐喝の常習者だし色魔でもある。
ハッキリ言ってしまえば、コロサレテトウゼン!
豪壮なアビー(邸宅)に集まった人々は須くウィッカム氏に恨みをもつ被害者であり殺害動機がある。
犯罪は憎むべくだが、被害者には同情しないし加害者には共感を覚えるって(^^)
ミステリーの常道として、犯人逮捕で事件は解決なんですが、それじゃ読者の期待に答えられないから、クリスティの「オリエント急行殺人事件」的な予定調和なエンディング。
邦訳は今年の刊行
作者はこのミステリー路線がお気に入りらしくこの若い男女探偵をセンターにして「高慢と偏見」ワールドのミステリーをあと何作も上梓しているようです。
書店の店員さんが、売りたい、買って欲しいって思うかどうかは微妙だ。
公設貸本屋さんで行列なしに借りる事が出来ましたから、人気レベルは想定の範囲
でも、面白いしつらえだし、オースティン全作(六作品)の総集編一気読みをやった気にもなります。アタシとしては好きな作品だが、登場人物が多すぎて再読しないと、、、まだアタマのなかに入らない。
0 件のコメント:
コメントを投稿