2026年10月14日水曜日

玉鬘十帖

 



絵画が一番分かりやすい。
教会や貴族がパトロンの時代は宗教画や歴史画。ブルジョアジーが台頭してくれば、写生の風景画で、サイズもクルマのトランクに収納できるように、、、


源氏物語の主たる読者は上流国民だった。更に中流国民へ浸透して、、、藤原孝標娘は受領階級の子女だが、強烈な源氏オタク。

なんせ「帝のお妃さまになるよりも、源氏全巻が欲しい」とまで(^^)


従い、主たる登場人物は上流貴族関係者ばかりで、地下人なんかは皆目。中流も多くは遠景に過ぎない。

その中で異彩を放つのが玉鬘の君

父は三位中将でしたから上流のカテゴリだが、後身をなくしてからの下層までの没落は気の毒な程。

母(夕顔)は頭中将(左大臣家のあと取り)の愛人となり玉鬘を産むが正妻の妬心を恐れ身を隠し、ヒカル君と知り合うも六条御息所(と言われています)の生霊に祟られて命をおとす。

けだし、佳人薄命

夕顔の乳母を頼りに、玉鬘ははるばる筑紫の国まで流離するが、落ちぶれても貴種の末裔はオトコたちの羨望の的。身の危険からまたまた逃亡の旅の果て、、、旧知のヒカル君の身内に出会い、庇護を受けるようになるという波瀾万丈の展開。


ロリータコンプレックスな傾向のヒカル君だが、愛人にするのは、寛容なオンナながら賢夫人の紫の上の目が怖いので、、、遠くに離れていた「隠し子」のふれこみで、深窓の令嬢として囲い込む。

蛹から脱皮した蝶の如く美しくなった玉鬘の君

最高の花嫁ですから言い寄るオトコには事欠かず、しかし、他人にくれてやるにはあまりにも惜しいし、、、

ヒカル君の煩悶は、玉鬘に対するセクハラやオトコたちへの意地悪やら、なんとも屈曲した言動に現れる。


とどのつまり、一番無骨な黒髭大将が射止める(というか客観的には不同意性交にしか見えないが)

しかし、まめオトコですから玉鬘の君を大事にしヒカル君の後ろ盾もあり、最終的には太政大臣にまで昇進した。

黒髭亡き後も玉鬘の子女もそれなりに偉くなり、娘は帝のお妃にまで、、、オンナ家長として苦労しつつも一門を統率し、最後は出家し、安らかで幸せな晩年、、、だったようです。



源氏全巻のなかで、異彩なスピンオフ版を思わせる玉鬘十帖。読者層の変化にも敏感に対応し、、、ストーリーテラーとしてのレディムラサキの才能が充分に発揮されています。

そんなつくりですから、才ある現代作家は誰も玉鬘版源氏なんかを書こうとはしない。出回っているのはAIの支援を受けた無名作家版だけ



2026年10月13日火曜日

本当の食料自給率

 



食料自給率の定義を質問された国会議員候補(女性)が絶句立ち往生して赤っ恥かいた話題は、今後とも揶揄中傷のネタになるだろうが、、、今使われている定義の虚構性に鑑み「そんな質問は答えるに値しない」とでも嘯けばよかったんですよ。

そんな程度でも、当選して、、、最近政務官だか副大臣になったらしい(^^)
少なくとも、食料自給率と食料国産率は違う事くらいは知っておくべきだ。

一般にカロリーベースの自給率は三割から四割と言われますが、厳密に突き詰めればそんなものでは済まない(三割から四割の日本人が食うに困らない事を意味しない)
堺屋太一氏の「油断」において、既に石油の途絶による日本農業の崩壊が描かれています。軽油で動く農機具無くして、更に言えば輸入原料に依存する農薬が無ければ、95%強と言われる米の自給率はあっという間に絶望的な数字になる。

さらに言えば、、、マンパワー

具体的な数字を持ち合わせていないので、感覚的だが、そもそも第一次産業を支える将来的に日本国民がいるのかしら?

寒村陋屋界隈でも米作労働者は老人ばかりだし、、、とりわけ北海道が酷いらしい。

18才人口の半分は大学に行く。ブランド大学でそれなりの学力を身につけるならまだしも、、、いまや「ブルーカラーミリオネア」の時代。

普通科の授業料無償化なんて愚策そのもので、農業や工業とか実学、、、職業訓練的な学科だけを無償化すれば良かったのですよ。

カッコいいホワイトカラーの仕事の大半はAIがやってくれますが、我が家の庭園の管理をできるほどAIは賢くない。



2026年10月10日土曜日

窯変源氏、、、、藤壺編

 



大河小説だから本流も支流もあるが、本流だけだとストーリーが脆弱になる。本流に関係の浅い

宇治十帖

遠景に過ぎないヒロインのエピソードの割愛

そして、玉鬘十帖

なんかを割愛すれば、ストーリーはスッキリするが、スリムしすぎて味わいが浅くなる。

オンナだって「プチぽっちゃり」が一番だというだろう。

支流を適当に本流に絡ませる、、、いまから千年も前にレディムラサキは、、、、さすがに天才な宮中住み込みのキャリアウーマンです。


この大河小説自体が、さまざまなスピンオフ的な作品の集合体ですから、わざわざ派生作品を読まなくても、、、

実際にロクデモナイものばかりみたい。


ドラマティックな六条御息所版には興味があるが、林某女の作品だと食指がすすまない。

内館女史の弘徽殿の女御(十二単を着た悪魔)は、怪作というしかなく、、、、

そういえば、丸谷才一さんに「輝く日の宮」があったはずだ。

桐壺の次の帖で、藤壺とヒカルくんの恋物語、、というと美しいが、露骨には実父である帝の妻との不倫劇。

同じようなはなしは、業平と藤原高子の駆け落ち騒動にもありますし、業平は官位剥奪宮中追放の憂き目となった。


丸谷さんの見立ては「帖はあったが差し支え有りで廃版」

パトロンの判断だから致し方なく、、、しかし、黙って従う程素直ではないレディムラサキ。

朧月夜との密通劇から須磨明石退去のエピソードに差し替えたのでしょう。

帝の妻を寝とれば大罪ですが、恋人を拐かした程度なら許される、、、これにはパトロンの道長も苦笑するしかなかった。



2026年10月9日金曜日

ノーベル文学賞2026

 




元々信用も信頼もしていない文学賞

だって、、、

トルストイ

プルースト

ジョイス

に栄誉を与えなかったのですよ(代表例です)

彼らのいない20世紀文学なんて考えられない。


今回も、、、「ナンチャラで知られる」と言われても、誰が知っているんだい?


しかし驚愕するのは「地域持ち回り」はなんとなく知ってはいたが、加えて「男女のたすき掛け」

これぞ究極のアファーマティブアクションプログラムだ!


ハルキさんは今年も落選

この傾向が続くのであれば、ハルキさんが有力になるのは最短で「三年後」

物故者は対象外ですから、健康に留意され気長にお待ちください。

本当にあった話の話

 



口コミで静かにヒットはしない、、、と思うが、本当は映画通がアート系のミニシアターに押しかけるはずだと製作陣は期待したんだろう、、、


芸達者な豪華な俳優陣

愛人が居ての夫殺しって唆ります

なによりも、バックステージものに外れなし


先ず鴻池留衣さんの原作を読むべきだったかなあ?

脚本はかなり改変している雰囲気ですから、その辺りの予備知識がないと、メタ構造の作品は理解しにくい。


キャプションでは「実際にあった事件」というが、そんな連続殺人事件は聞いた事がないし、連続殺人というが殺されたのは一人だけ(?)

虚構の中で「実際にあった」と言っているだけ

その虚構の物語を実際に舞台の役者が演じようとしている。その演じている様が作りものの映像となり、それを生身の観客が観ている。


芸といふものは実と虚との皮膜の間にあるもの也。

虚にして虚にあらず、実にして実にあらず、

この間に慰(なぐさみ)が有もの也


とは、近松の芸論

平たく言えば、実(現実)ばかりじゃ退屈になるし、虚(つくりもの)まみれはどっしらけ。

観客を唸らせる(感動させる)には、虚実が判然としない境界の中にある「芸」だということ。


しかし、いつまでもどこまでも判然としない曖昧模糊の状態のママには限界がある。

アタシの忍耐は途中で切れてしまった。

もう一度観たら、印象が変わる可能性は高いが、、、そこまで感情移入するものでもない。









2026年10月8日木曜日

それからの源氏物語

 



よくよく考えれば、レディムラサキの狡猾な意図だかどうかは分からないが、肝心な山場を書いていない。

藤壺中宮や六条御息所との馴れ初めとか、唐突におはなしが終了する宇治十帖のさらなる展開とか、、、


お節介な誰かさんでなくてもスピンオフというか偽書を書いたりしたくなる。

ヒカルくんの12歳から17歳の多感な時期を書いた帖がないことはさておき、ヒカルの晩年と尻切れトンボな宇治十帖の続編について、、、偽書である「雲隠六帖」の波瀾万丈な展開は実に面白いのです。


なにぶんに大河小説ですから、大抵は須磨明石あたりの帖で挫折するようですが、本当に面白いのは、前半の「花から花へ」ってなオンナ遍歴ではなく、後半の二股愛やら不倫やらのどろどろソープオペラまみれ。

簡単に説明できないくらい複雑な関係で、コレに比べれば芸能界相姦図の方がまだ清廉。

その辺りを、レディムラサキの実作と偽書をマージしてストーリーを展開してみるに、、、、



薫大将はヒカルの妻(女三の宮)が頭中将の息子(柏木)と不倫して出来た息子で性格は優柔不断。

薫と匂宮(ヒカルの外孫)はヒカルと頭中将みたいなライバルにして親友

本命は別なもんだから、薫は当てがわれた宇治の姫君(中君)を女衒宜しく匂宮に差し出す。後に匂宮は即位し中君は中宮にまで出世した。

逃した魚が惜しくなり、薫は改めて中君に言い寄り不倫の果てにさらに、、、

ややこしい因果ばなしですが


帝の妻(藤壺)と不倫したオトコ(ヒカル)が不倫されて出来た子供(薫)が帝(匂宮)の妻と不倫をして子供を産む、、、


多少時間軸を戻して、中君を失った薫は三女(浮舟)に手を出す。首尾はよかったが、モタモタしているうちに匂宮に寝取られてしまう。典型的な三角関係でその清算はオンナの入水

そして浮舟は発心し、薫をふり切り出家、、、で正典の方は終わるが、、、

偽書ではあっけらかんと浮舟は、現世に帰ってきて薫と結婚、、時は流れて数多い登場人物は鬼籍に入り、二人は仲良く出家で大円団。



なりふり構わず書いてしまえば、書かれていないこと、、、余白がある事で、この大河小説の素晴らしさが担保されてるってよくわかります。




2026年10月5日月曜日

ディスクロージャーデイ

 


実は「ディスクロージャーデイ」の予備知識はあまりなかった。

たた、お気に入りのエミリーブラントがヒロインだからってだけ



おおむかしに見逃したようなので動画配信サイトで斜め見したのが「SUPER8」

 映画オタクな少年たちが8ミリ撮影で、とんでもないものを映像に記録してしまった事は微かな記憶。

プロットや造形、話の展開からして、かのスピルバーグの名作へのオマージュであることは、段々に明らかになる。

そんなこんなな延長線上のSF映画のひとつだと、、、、でも「ウソだろう」


これは、優れてポリティカルスリラーです。

機密を秘匿し、あまつさえ秘匿や防御の主体を政府や軍ではなく非政府機関に担架させ、情報公開義務の縛りを回避する狡猾さ。

漏洩した最高機密の行方を巡るスリリングな展開の果てに、KCのローカル局が緊急特番。瞬く間に緊迫する国際紛争ニュースを全米から全世界へ、、、、でもアジア圏で報道をリーディングしたのは日本国のメディアではなかった(まあ当然でしょう)

地球外生命体とのコンタクトの前では、人類同士の小競り合いなんか瑣末なもので、敵味方に分かれて対峙する兵隊も銃を置き同じスマホ画面と睨めっこ(^^)


2001年のオデッセイに登場したモノリスが手のひらサイズになり重要な役割をします。キューブリックは「人類進化のトリガー」として描き、今回も様々な役割を

エンディングでは「人類に対する重要なMSG」が伝えられ、、、るはずでしたが、

アンカーマン役のエミリーブラントの、、、Listen  だけで画面は暗転

わかりましたよ、自分で考えなさいってことだ。


https://youtu.be/ebns2uhHZMM?si=waZlZemVJRmRJz8x


そう言えば、あのお騒がせ大統領が、様々な機密情報を公開するとぶち上げています。

実際に開示はされているらしいが、衝撃的なものはなにもないもんでニュースにならない。多分だが「カモフラージュのカーテン」に隠されたまま非政府機関のどっかが隠し持っているに違いない。




2026年10月4日日曜日

リア

 



思いつき程度のウケ狙い用語ですが、なんでもだれでもを精神病理にしてくれる便利な似非専門用語?
意味するところを詳らかにしないが、、、

地位、権威、財力を失った中高年が変化した立場に思い至らず、相変わらず偉そうにふるまう見苦しいさま
或いは
偉そうにしても無視反撥嘲笑され怒り爆発し、更にみっともないさま

のことらしい。

要するに、キレる中高年(^.^)

身から出た錆なんだが、はた迷惑だし暴力沙汰にもなるから放置も出来ない。


シェイクスピアの悲劇のなかでも最高峰、、、と言われると得心。
しかし、黒澤翻案映画「乱」は更に悲劇的

高齢者には教訓的なエピソードですが、ヒトザルは体験からは多少は学ぶが、歴史や文芸からは学べない。

!
地位や財産をホイホイ渡しちゃダメなのよ。
耳障りの良い「世代間資産移転政策」なんかに騙されてはいけないって、優れて教訓的です。
何時迄も地位に連綿、、、なんて非難しますが、これは正しい行動だということ。

巧言令色に騙されるのはアホだし、阿諛追従は避けるに如かず。

大体は、末っ子が一番まともと決まっています
リア王の三姉妹もシンデレラのそれもまた然り。
そういえば、ブーフーウーもそうだ。
この映画の兄貴二人も邪悪ではないが、怠け者とか文句たれ。


シェイクスピア版リア王では優しい末娘は姉の手で死刑ですが、黒澤版リア王は更に悲惨

父は長男次男により追放、
三男に救われるが、三男は次男の手で殺され、父は狂死。
長男も次男の手で謀殺され、次男も早晩隣国の侵略で滅びます。


やっぱり「元就の三本の矢」は正しい。骨肉相争う愚は一族の滅亡を招くのです。

毛利元就のこのエピソード自体は虚構ですが、遺訓としては一族に長く継承され、この三つの家系(本家である毛利と吉川、小早川)は今に残り、、、良く知りませんが仲良しなんでしょう




2026年10月3日土曜日

不思議のモネ

 


睡蓮はさほど好きでもない、、、というか、持ち運びのできないサイズの絵画はリスク管理上難があるから視野外

「日傘をさす女」は大好きです。

印象派絵画の嚆矢である「印象・日の出」は、、、なんとも不思議な絵画という「印象」


浅学菲才なアタシは「日傘」のように連作でヴァージョンが複数あると思い込んでいた。Wikiの画像を観てそう思わない方がどうかしている。

さにあらず、たった一枚がパリのマルモッタン・モネ美術館にあります。

その理由は、印象派の技法に起因したり、修復のビフォーアフターとか、、、かなり煩雑だから略。

不埒な事に、複製画の見栄えの為に色変を平気でやる場合もあるとか

なんにせよ本物らしからぬ複製が横行していますから「本当のモネ」は本物を観るしかないが、来日はしばらくは期待出来ない。

ただ大塚国際美術館には原寸大の筆跡の凹凸も同じ陶板版がありますから、これで我慢するかな




モネと時間旅行


おフランスの芳雅がこれでもかってくらいの品位ある映画がいま小屋にかかっています。

フランス映画の上物はベルエポックの時代が舞台に如かず。

だから、アメリカンの小難しいユダヤ人監督のこの作品ばかりは気持ちよく小屋を後にできました。



字幕版の出来が悪いので、コチラを(^^)



ベタな邦題ですし、アート系ミニシアターにしかかからないから興収はしれてますが、記憶には残る名品

現在と、ヒロインの若い頃の時代とその母の時代。舞台はパリとノルマンディー。言葉通り時空を駆け抜ける映像空間


説明的すぎて面白さのわからない予告編


こっちはオシャレなオープニングシーン