2026年3月11日水曜日

木挽町のあだ討ち

 


永井紗耶子さん。

本作で、直木賞と山本周五郎賞を受賞。

新潮社刊行本ですから後者の受賞はわかりやすいが、ライバルの文藝春秋社の賞も同時に攫うとはなかなかのもの。実は映画化の前に松竹の新作歌舞伎としても上演されてます。

歌舞伎版のキャスティングをみるに、、、かなり映画版とは趣きが違うように見えますから、映画批評の前に先ずはオリジナルを読んでみよう。

どちらも二次創作物ですから、オリジナルに忠実だから良いというものじゃない。



以下は映画版をベースに、、、



時代は文化文政あたり

場所のメインは木挽町の森田座ですから、今の銀座の歌舞伎座

飛騨遠山藩(この才女が誤解したとは思えないが、正確には苗木藩という小藩で藩主が遠山某)の若侍が父の仇打ちを成就する美談なんですが、そんな話には必ず裏には何かがある。

実は、座付き狂言作家の筋書きに沿って一座の連中の振り付け通りに行われた仇討ち偽装

そのカラクリを解明していくのが同藩の元監察役で、その裏の意図には家老一味の特別背任罪の立件がからんでいる、、、


単純な人情時代劇じゃなくて、クリスティのミステリーテイストだし、お決まりのバックステージものでもあるという、、、脇役が生き生きしており、実に良く出来ています


この場でのトリックのバレバレはまずいのだが、、、、

オリジナルは終幕の「種明かしの場」を除けば人情時代劇そのもの。歌舞伎版は知りませんが同じような感じかも。

映画版は、映画「スティング」の裏側をオリエント急行殺人事件風に展開する、、、まあカタルシスだ!


素晴らしい



2026年3月10日火曜日

カルメン2026

 


苦笑したくなるようなキャッチコピー

毎年恒例の我が家のケメ子さまのお供なサマーオペラ鑑賞

METやオペラ座ならば、いそいそと出かけますが、ハーフパンツにサンダル履きでも咎められないすぐ近所の二千席強の大ホールで八公演


ワグナー系ならばともかくとして、こんな通俗メロドラマなんて

しかし大衆人気からすれば、

椿姫

マダムバタフライ

フィガロの結婚なんかを凌駕します。


先ずA席以外の販売なんですが嫌な予感、、、売れ行きが良すぎる

さて、A席の予約当日

座席指定か枚数指定のチョイスができるのだが、今回も毎度の通り前者で申し込んだのが間違いの元。


全く座席が取れない!

どうも座席の売れ方を見ていると、転売ヤーの暗躍が垣間見、、、としかおもえないが

そこまでのプラチナ公演かしらって?、、、閑古鳥に鳴かれるよりはまだまし。



このオペラの原作者はメリメ。

短めの中編で新潮文庫で立ち斜め読みしたことがある。精読するような代物じゃない。


スペインで出会った落魄れた山賊の身の上話の聞き書というスタイル。情熱的なメロドラマにリブートしたからエキゾチックさも相まって馬鹿当たりした。


映画素材にもなりやすく、ざっと二〇作品を越えますが、ほとんど観ていない。

たしかレイティングR18版もあったはずだし、フラメンコ版は、面白かった。






2026年3月9日月曜日

動画配信サイトの覇権

 



Netflixが大枚150億円で配信権を独占してしまったもんで、TV放映は不可能となり、、、どうしてもというなら、Netflixと契約するか、懐かしいラジオ中継に頼るか。


いまさら騒いだり嘆いたりする方が時代観がずれてます。世界規模のプロスポーツ観戦のスタンダードはすでに動画配信で、テレビはすでに駆逐されました。複雑な気持ちだけどWBCもその高い水準になったと誇るべきですよ。


しかしなあ、、、

1948年の反トラスト法を根拠とする判決で、ハリウッドスタジオシステムが誇る垂直結合(製作、配給、興行を一貫して行う)は違法とされ、、、時代の変化の中で多少は緩和されたが、既に動画配信サイトの攻勢の中で、主役の座は変わった。


動画配信サイトにもその心配がないではないとおもうが、いまんところ彼らが資金力に任せて製作配信するコンテンツを観たければ、膝を屈するしかない。

痩せ我慢でソッポを向きたいが、見逃したくない作品も多いし、、、、なにかにつけて規制は後追いだ。


最後の牙城は五輪だけ?

しかし.IOCだって高値をふっかけてくるから、CM収入では足が出る



2026年3月8日日曜日

2027統一地方選

 


.....

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そう言えば三年前も同じような、、、

築地の「反」日新聞社は、三年毎に同じような問題提起を行なっているが、単に警鐘だけですから本気度は希薄にみえます。


何が根本原因かはよく知らない。

田舎者だから政治意識が薄いのか、

やり甲斐が感じられない職業なのか、

薄謝だから旨みがないのか、、、、


別に地方議員なんていなくてもさしたる事はない。議員立法は皆無に近く、議案の大半は無修正可決だそうです。

唯一の役割は国政選挙の際に票集めをする陣笠機能くらいかな?


だったら、地方自治法に則り「議会を廃止して町村民総会による直接民主制」を条例で可決すればいいのだが、間接民主制ですら参加意識が希薄なのに、ましてや、、、とても機能するとは思えない。


しからば、、、細部設計はさておき、立候補者が定数以下の場合には「有権者の中から抽選指名」をできるように法改正をする方がまだ現実的。

しかし、町長や村長を抽選で選ぶのは少し乱暴だ。そん時は議会の賛同を条件に知事に指名させるかな。


来年は統一地方選挙。

それまでに、法改正ができる、、、、訳はないなあ。

2026年3月7日土曜日

逝きし世の面影

 


一番バイアスがかかる専門書系は歴史だ。
唯物史観史書が如何程、日本の行く道を歪めたか、、、昨今は多少呪縛から逃れたが、その先には、難儀で偏狭な国家神道史観。さらにタチが悪い。


江戸期は人民圧政苛斂誅求のこの世の地獄だと左翼史観史は書きます。

白土三平さんの「カムイ伝」もしかり。良質な漫画なんだが、日共的闘争方針一辺倒なんだわあー。

実際にそんなに酷い時代ならば、細やかながらも人口増なんかあり得ないし、ひとえに明治期の史学者のペンが歪めたのです。暗黒の江戸期を明治政権がリブートしたって(^^)


「逝きし世の面影」


ベストセラーよりもロングセラー

平凡社ライブラリーで刊行されてはや20年。毎年のように重版されています。

今となっては忘れ去られた江戸期の文明や文化を、たとえようもない哀惜の念での記述。

これは自分のお財布で贖う価値がある。

己れの文明文化を「再発見」してくれたのは異邦人なのはよくあるはなしで、それを教えてくれたのは在野史家の渡辺京二さん。

江戸期のやまとの国もまた然りであり、開国前後に到来した異人たちの「未知との遭遇」の記録には、眼から鱗、、、どころではない。

今時の日本人の美質の原点の全てが語られ、それが世界を驚嘆させたのです。

いつまで残るかは、、、考えたくない


中味をとやかく論述はしない。

あまりにも多くのものを失ったという諦観な気持ちと、失う事で得られた「近代日本」との引き裂かれた感情だけが、、、久方ぶりに読み返しても変わらない。




2026年3月6日金曜日

指サイン

 



指数えの文化的差異はあちこちで話題になる。

ミステリーの謎解きに使われてもいいが、あまり適切な事例がない。そもそも視覚的だから文章向きではなく、むしろ映像向きだ。


ゲイリーオールドマンにオスカーをもたらした「チャーチル」映画
有名なVサインが登場するのですが、最初は手の甲を相手に向けていた。これは侮蔑表現であり、秘書にやんわりとたしなめられますから、貴族社会にはなかった慣習だということだ。

イングロリアスバスターズでは、ドイツ人に化けた英国スパイが、3の指数えがドイツ風でなかった為正体がバレました。
大脱走にも同じ様なシーンがあるらしいが...記憶にない。

ハンガーゲームでは、反体制派の決起のサイン。

ミャンマーやタイでも、抵抗のサインで実際に使われています。

人差し指から環指までをたてる、、、これってアタシの指の作動範囲では苦しい。

所詮、アタシって似非反体制なんだ(^^)




このあたりくらいまでは、丹念にググれば何処に書いてあります。
孫引きまみれだと沽券に関わるので、まず知名度のない話題を

聖なる指(あるいは手)

グロリアスハンドなるものは、黒魔術の小道具として
使われますが、これは処刑人の片手を酢漬にしたもので、西洋の宗教画やその流れをくむ肖像画に登場します。

しかし、実際に見た事ないし、使い方も知りません。

2026年3月5日木曜日

花 三題

 






本当に良い季節です、
しかし、爛漫な花びらの競演なんて「誤解」していませんか?
実は「薫りの饗宴」を味わうのが美の至高の極致。

ヒトザルは外部刺激の八割は視覚に依存しますし、嗅覚のような原始的な感度は、進化の過程で劣化しちゃいましたから致し方ないのだが、、、


アタシだって、

ロバの耳

鉛の舌

なんちゃらの鼻ですから、、、世人と変わらない


実は、それぞれの薫りは明確な「違い」があります。

だっから、、、正しい愛で方ってそういう事を理解してから


桜は、葉の香り

梅は、花の香り

桃は、実の香り


桜は桜葉にくるまった桜餅を食するが一番だし、

桃は摘花の後色づき始めた桃の実の畠の散策に如かず

梅はいまさら口にはしない。




2026年3月4日水曜日

魔除け

 




桃の節句に因んで、、、

天平勝宝年間、越の国に赴任した家持主催の桃李園の宴の際の艶麗無比の絶唱については何度もネタにしたから今年はパス、、、はせずに「裏読み」の話題

世間には邪悪な狐狼がたくさん居ますから、身を護るには桃の魔力。
古事記によれば、伊奘冉が黄泉の国から逃げ帰る際に、黄泉比良坂で「桃の実」を黄泉の醜女に投げつけて難を逃れた、、、と
古来、中華では元旦に桃符(桃の木で作った魔除の護符)を門扉に飾る習慣があったらしい。
書かれている呪文のような文字は「タイザンイシガントウ」とよむようだが、由来や意味はよくわからない。

美しい乙女たちよ
桃華を浴び身にまとい、魔物から身を護れ。
邪悪なものよ、桃華護符にひれ伏し退散せよ

というのが真意
雛祭りって、上巳の節句とも桃の節句ともいいますが、単に季節の華を愛でているのでなく結構奥深いのです。この桃符はアマゾンでも買えます(本当に桃の木かどうかはわかりません)

大枚はたいてお内裏さまを贖うついでに、大事なお嬢様の為にこの護符も。このお値段で身が護れれば安いもの

2026年3月3日火曜日

花鳥風月

 



日本的美学あるいは日本人の美意識を漢字四文字で表せば・・・名題の通り

この四つが意味するところをあれこれ駄弁を弄するのはやめ、結論だけ、、、


不変なるもの・永遠なるものより「移ろうもの・虚ろうもの」に心引かれる心象風景の持ち主が我々のご先祖様たちであった、、、という事は言えそうです。

花・鳥・風・月のいずれもが、朽ちてもまた蘇る、来たりてそしてまた去りゆく 


なんか日本文化史上の大発見みたいな言い方ですが、毎度の狂言綺語ですから、反証はいくらでも(^^)


中国古来の麻雀ゲームの役満に「花鳥風月」なるものがあるらしい。

特定の牌によるトイトイ役とのこと。

花は、五筒
鳥は、一索
風は、聞いたが忘れました
月は、一筒

それぞれの形が、花・鳥・風・月に似ているからの命名。
さすれば、熟語の原典はチャイナなのかな・・・?
どうも日本固有の美意識表現という卓見のメッキがはげたみたいな(滝汗)



一方で「雪月花」も日本美の定型表現ですが、これは白楽天の漢詩が出典です。

しかし、原典を読めば、単に季節の代名詞程度としてか使われていません。
日本に伝わった際には「美の代表例」と誤解釈され、万葉人は、次のように歌った。
あまり出来はよろしくない。


雪の上に 照れる月夜に 梅の花 折りて 贈らむ 愛しき児もがも


しかし、13世紀ともなれば、日本人の美意識はここまでの高みに達しました。


春の花 秋の月にも 残りける 心の果ては 雪の夕暮(良経)


ということは、チャイニーズの博打遊戯のアガリ役程度が日本に伝来して以降に高度に精神性が高まった・・ということにしておこう。