2023年5月31日水曜日

花鳥風月、、、、鳥のこと

 




なんといっても、王朝美學の世界の鳥は


子規....を双璧にして、あとは雁(帰雁)程度


花は視覚に芳しいが、鳥は聴覚のようだ。

視覚的に美しいのは、鶴とか、、、燕だってあのアクロバティックな飛翔の様は実に素晴らしいのだが....


ところが、八代集には燕は登場しない。

万葉集には、たった一首


燕来る 時になりぬと 雁がねは 国偲びつつ 雲がくれなく


万葉集巻19、作者は家持ですが、明らかに、主役は雁

蘇武の故事もあるし、折口信夫先生の「マレビト」の世界観が倭人の琴線に触れるのかな?

それに、雁の鳴き声のもの悲しさにも心打たれるのかもなあ(燕の鳴き声は騒がしい)

つまり、、、ここでも聴覚の世界なんです。



現代に至り、倭人の感性にも変化が、、、


高い空から教えてよ 地上の星を
つばめよ
地上の星はいま 何処にあるのだろう・・・・


かの歌姫の「地上の星」ですが、他にも
サーカスの歌(たびのツバクロ さびしかないかい)
チェリーブロッサム(つばめがとぶ 青い空)
越冬ツバメ     


しかし、最近は燕さんを見ることが少なくなった
古来、稲作時の害虫駆除の益鳥として大切にされてきたし、街中でもツバメの巣のある家は安全であるって言われてきた。
餌となる害虫が少なくなり、巣作り用の泥や枯れ草の入手が困難になったからか・・・飛来数がへってきたのでしょうか?

小松左京の「日本沈没」のあるシーン
かの黒幕の鎌倉の男が、地震学者の田所博士に尋ねる...

今年はツバメが来なかったが、なんかの変調かね?


レイチェル・カーソンが「鳥たちが鳴かなくなった春」ということで環境問題に警鐘を鳴らしたのは、62年のこと
もう、半世紀も前のことです。
鳥の声はますます聞こえなくなっています。

つばめさんが、いなくなったのは「地上の星」が既にいなくなってしまったからもあるのでしょう。

2023年5月30日火曜日

波紋

 なんともハチャメチャな荻上直子さんの新作。

主演の筒井真理子さんにはじめ、クセのある、、、じゃなくて個性豊かな(顔はわかるが芸名までは知らない)脇役陣。


次々と訪れる災難は筒井真理子の心象風景を歪めていく。

百花繚乱のお花畑の庭は枯山水へ

怪しげな新興宗教にのめり込むし(かなり毟られてる雰囲気)ご近所さんとは険悪だし、パート先の常連客はまことに理不尽.....

おはなしの雰囲気はこの予告編を(^^)



薬石効なく光石研が死去した事で吹っ切れる筒井真理子。家族だけで野辺送り(新興宗教信者も折り合いの悪い近所の奥様も誰も来ない)

春雨の降る中、赤の長襦袢に正喪服姿で唐突にフラメンコを踊り出す筒井真理子の怪演はあっぱれとしかいいようがない。


フラメンコは情熱的なダンスと言われるが、けだし歓喜も苦悩をも全身で表現する。

俗に言う「吹っ切れる」ってこういう事なんだ。



2023年5月29日月曜日

花鳥風月、、、花のこと

 意味は?と問われればあまりに当たり前すぎて絶句します。

倭人の血肉に浸潤した美意識ってもんです。

英語だと..... Beauties of Nature   とでも


四文字熟語だが、中華由来ではなく無論韓国起源説なんかありはしない。

しかし、文献上の初出は、世阿弥の風姿花伝らしいとは、思いの外新しい用語なんだ。



世阿弥の「演劇論」です。

自然美にことよせた詩歌管弦の遊びの様は具体的にそれらしく演じなさいって、、、まあ上品なさまはリアルに、そうでないのをあんまり実際的に演じれば見苦しいと言うことだそうです。


さて、、、倭の美意識のトップは「花」

春は桜に秋は紅葉る木の葉、夏は百花繚乱なんだが、花橘と菖蒲杜若に代表される。

冬は枯れ野で何にも無い、、、と思うなかれ

倭の美意識の果ては枯れ野に幻花までをみるのです。



To be continued 






2023年5月28日日曜日

あまりにもテクニカルかな?

 


今更国論に二分するような議論にエネルギーを割くべきなのかねえ?


輿論も内閣法制局の解釈も自衛権は当然の権利であり、そのための装備や組織も当然認められると考えているし、現実に存在する

何処までが許容範囲か?と言う具体論は憲法条文には馴染まないし、それは個々の法律論なり行政の裁量の範囲。


こんな「無駄」な議論を延々とやる理由があるとするならば、いつなんどきとんでもない政権交代が起きて「非武装中立」なんて妄言を吐き、国家の存続を危うく事態への予防措置だけだ。

歴史は繰り返します。ある日突然国会答弁で「自衛隊合憲」を口走った総理がいたでしょう。

だから、アタシは「予防的必要論」の立場だと(^^)


かかるが故に九条のワーディングには興味がないし、どう文言を弄ろうとも「平和遺産」紛いの条文ですから国民的な総意になるような気がしない。

そこで、コロンブス的アイデア(何処かで見た微かな記憶があり、独自のアイデアとも言えないが)

つまり第九条をそのままにしながら、自衛権と自衛隊、防衛省を憲法的に合目的化するってやり方。

これが政治ってアートだし、、、


....

第六十五条 行政権は、内閣に属する。
第六十六条 内閣は、法律の定めるところにより、その首長たる内閣総理大臣及びその他の国務大臣でこれを組織する。
 内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。

中略

第七十二条 内閣総理大臣は、内閣を代表して議案を国会に提出し、一般国務及び外交関係について国会に報告し、並びに行政各部を指揮監督する。
第七十三条 内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。
 法律を誠実に執行し、国務を総理すること。
 外交関係を処理すること。
 条約を締結すること。但し、事前に、時宜によつては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。
 法律の定める基準に従ひ、官吏に関する事務を掌理すること。
 予算を作成して国会に提出すること。
 この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること。但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。
 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を決定すること。
.....
憲法の内閣の章です。

改正素案として....
第七十二条 内閣総理大臣は、内政及び外政並びに国防を司る行政各部を指揮監督するとともに内閣を代表して議案を国会に提出し、また行政の執行について国会に報告する。

ついでに、第七十三条に八号を追加する
国家の非常事態事における統治全般への緊急対処


2023年5月27日土曜日

ゆくえ定まらぬ....浮舟

 





八の宮の三番目の姫御子は「浮舟」という。本来ならば、大中小で、、、小君のはずだが哀しいかな妾の子。
妾といっても六条御息所クラスだとさておき、受領階級だとねえ・・・・
ゆくえ定めぬって感じが名前にもでます。
一般の民草からすれば富裕層なんですが、王朝貴族はカネより地位。
高位の貴族にはカネモ以外に能の無いノンキャリの受領階級が押し寄せ、財を散財して下働きに汗をかきます。さすれば、人事異動の際にはしかるべき地方官にありつける。

受領倒れるところ草をもつかむ(笑)
人民の膏血を搾り取り、これ蓄財に励む。

さりとて浮舟の父親は親王。

それなりの美貌なんですが、
ファッションセンスは田舎風だし、

ピアノもヴァイオリンも弾けないし、

気の利いた歌も読めない・・・じゃ、軽く見られる。
とどのつまりは、遊ばれて、捨てられて・・・・
川に身を投げるか出家の道が関の山


浮舟にとって幸いしたことは、法華経の教え。
最高の仏教典かどうかは知りませんが、山川草木悉皆仏性。
罪深き悪人だろうが女人だろうが、誰でも仏になれる、救われるというところがミソ。

還俗して、どなたかの愛人稼業で浮世暮らしもありうるが、所詮は穢土の地。
弥陀の本願ですがって生きようってことでお話は唐突に終わる・・・ようにみえるのですが、
実は非常に計算されているって思う次第。

2023年5月26日金曜日

宇治十帖をつらつらと

 




さて、ヒカルの異母兄弟に八の宮なる剥落した親王殿下がおられた。
名前からして末子だし、有力なパトロンもおらず、妻も亡くし、、、世を儚み、宇治って言えば憂し
寒村芒居にお暮らしになられているが、いやしくも、ミカドの血脈につながる典雅優美を絵に描いたような美人娘二人と同居。
女たらしがほっておくわけがない。
長女が大君、次女は中君。
であれば、もう一人って想像するのですが、ある種の伏線です(小君のはずなんだが理由があり別名)


可愛い娘達の人生をしっかりと考えて、しかるべく行く末を指示しておくのが親の務めなんですが、なんとも無責任、無気力、自己中なオヤジ。
自分の出家しか頭にない。


そこにやってきたのが、浮世離れという点では人後に落ちない薫大将。
オトコ同士勝手に意気投合するのはいいが、姉妹まとめて丼で面倒みてよって一言頼めば....... それじゃドロドロメロドラマにはならない(笑)


薫は大君に言い寄るが、折角の玉の輿を中君に譲ろうと策を講じた結果、、、
人違いの匂宮に掠め取られ、とかなんとか、大君は悲嘆のあまり夭折。


シェイクスピアの喜劇を思わせる展開ですが、
摂関家一門の頭中将の孫(実の父親は柏木)は、ここでもヒカルの孫にしてやられるという展開で、宇治十帖は最後のドタバタ劇に突入。



はやい話が、源氏物語とは降下した皇家(ヒカル)と摂関家(頭中将)の暗闘劇。政治向きだと生々し過ぎますからオンナの取り合い(^^)


頭中将の愛人だった夕顔をモノにするヒカル

二人の間の玉鬘を養女として掠め取るヒカル

ヒカルの正妻三宮に強制性交を仕掛けたのは頭中将の息子の柏木


宇治十帖に至るまでの正篇では、ヒカルの勝ち越しでしたが(しかし「一盗」の失態ですから、勝ち負けの数以上のダメージだ)このシリーズでも負け先行(^^)

2023年5月25日木曜日

隠し場所

 よくあるネタなんですが、最後は「首尾よく」であるが故に徒労に終わるとか(^^)



オリジナルはコリアンムービー。

各国でリメイクされました。そして最近は倭國でも。

細かいプロットの違いの前に.....




後年ハリウッドでリメイクのシリーズ化。

かなりゴージャスな仕立てになりましたが、このシナトラ一家のオリジナル版の味わいが良い。

カジノの売上金窃取は成功して埋葬予定の棺桶に隠匿したが、なんとまあ!土葬ではなく火葬に(^^)

当時のハリウッドのヘイズコードからして犯罪の成功なんか許される事がなかった以上の工夫だろうと想像しますが、、、でも60年台のアメリカンの火葬比率はいまの倭国の土葬比率並みだったと思われますから、かなり無理な設定です。


さて今回も交通事故の遺体を亡母の棺桶に隠匿するというのはオリジナルもリメイクも同じなんですが、コリアンの火葬比率は高まったとは言え倭國には遥かに及ばない。



コリアンの葬祭の段取りは知らないが、倭國の一般例では蓋棺は葬儀の一番最後でそのまま火葬場へ、、、

数時間後の骨揚げの際に頭蓋骨が二個出てくれば、これは紛れもない「事件」


いくら絵空事なつくりものでも、多少のリアリズムってあるだろう。

オリジナルがあるが故にひねりをさまざまに加えて工夫の限りを尽くした努力は分かりますが、何事も「過ぎたるはなお及ばざるが......」

映画としてはオリジナルの方に一票!


2023年5月24日水曜日

タケシタケイコさん

 誰がこんな戯言を口走ったんだ(^^)

ググるに、荒船清十郎が対談で軽口を叩いたらしく、無論本気ではないようだ。


一躍話題になった戯言だから、それなりの希求力が彼女にもあったということ。

なんといっても「才色兼備」が一番、、、とは言わないが条件から外せないものの、それだけじゃなあ(^^)



賀茂の祭(葵祭)が終わりましたから、晴れて斎王代の話題を

斎王とは祭神に仕える巫女のことで、歴史的には内親王の役目だが、戦後「その代理」として一般女性が歳代わりに斎王代として務めてきた。



歴代斎王代の一覧です。

個人情報の宝庫ですが、新聞に掲載された内容ですから、再利用は許される、、、という事で(^^)


実のところ、候補者要件や候補条件、選考委員や選考過程の一切が闇の中

かなりな憶測を交えれば、、、


才色兼備はもとより

代々の京町衆の末裔(三代京都に住んでも田舎者扱いだし、御所界隈に住まいがなければホンモノの町衆ではないとまで....)

親の額力も必要(ウワサでは斎王代さまの装束一式は自弁だとか)

それから「才」の中には、倭國の伝統芸の素養も含まれるそうです。


一体そんな女性が何処にいるんだっていいたいが、多分ですが、生を受けた時から二十年後の斎王代になるべくトレーニングが始まっているに違いない。


ということで「お嫁さんにしたいナンバーワン」は彼女達。

しかしなあ、、、したいと欲するのは勝手だが、オスザルはむしろ選ばれる側だと思うべきであり、とてもじゃないが高嶺の花ですから、二番手以降で我慢するのが現実的ってこと


タカラヅカ音楽学校出身

KC卒業生


困った事に二番手以降はその輝きを失いつつある。

タカラヅカはいまや「JKT」と言われるキャンセルカルチャーの的だし、KCは中高一貫なんだが、出来のいいのは皆さん外部の高偏差値学部に行くから、下からの大学卒業生は、、、まあなんと形容しましょうかねえ(^^)


そうは言ってもまだまたブランド力はありますから、狙うのならば、、、、

2023年5月23日火曜日

世界平和度指数

 

ヒロシマサミットも終わりましたから、、、

広義の意味での平和の程度の評価マップであるが、評価項目とその重みづけでランキングは多少はなんとでもなる。





まあそうだろうなあ、、、って国が平和度指数が最悪クラスであることはさておき、

平和度が高い❣️って....実のところ(あまり確信はないが) Objection !


平和であるという意味の理解なり確信の違いだから、この結果に「反対」だとは言わないが、意見の表明は構わないでしょう(^^)


アタシとしては「平和」とは、、、対外的な国家安全保障についてならば(国内的な社会の安寧やらは別)


治に居て乱を忘れず、脅威、国難には身を挺して家族や友人(一応国家も)を守る意識なり総意とそのための具体的なアクティビティの質量


で評価すべきと思っています(アタシは老兵だから何もできないが)

かような観点で高い評価を受けるならば、実に嬉しいのだがなあ、、、、

しかし、数年後にはランキングは確実に下がります。

軍備の整備増強はランクダウンの要素ってことですから😢

そして、近未来の悍ましい事態発生の蓋然性には配慮していない、、、ように思えます。

だって、平和度ワーストクラスの核保有国に囲まれているのですよ。


全体としては「平和な国家」という評価には.....かなりどうなんだろう?

あるいは倭國はアタシがイメージする以上に世界的な相対感からすればまだまだ「平和」だという事で、それをお花畑云々はいささか自虐ネタかな?



2023年5月22日月曜日

TAR

 過日は「イントロ」という事で観てもいない映画「批評」を、、、(^^)



実際にみてきましたので「本篇」です。

サイコロジカルホラー(ドラマ)と分類されそうですが、ウィキの概略説明だと.....



なんだか最近聞いたようなお話しみたいでして「性的虐待」を加害者目線で映像化したと言えなくもないが、アタシとしては、かなり高度な音楽理論(アタシには判らないレベル)や表現力がてんこ盛りで実に興味深い。

一方で、かなり外連味たっぷりです。

使われる楽曲は、マーラー五番、エルガーのチェロ協奏曲、バッハ平均律、、、誰でも知ってるけだし「のだめカンタービレ」テイスト



冒頭のインタビューとジュリアードでの講義シーンと結構な長回しから始まります。

その間に難解な音楽概念をあれこれ披瀝しながらって事ですし、指揮の見事さはそれこそオスカーレベルの演技力。


とどのつまり、スキャンダルの果てに欧米のクラシック音楽界から追放されでタイだかベトナムに流れ流れて、、、それでも音楽に取り組むスタンスの崇高さや厳格さはかける事がない。

ラストのコンサートシーンでリディアがタクトをふるのはこの曲

残念ながら、音がでる前に映画は終了。

聴いてみたかったなあ(^^)



いつものように....聴こえないくらい小さな声でいいますが、真の藝術や藝術家は道徳や規範を超越するのですし、それが許され、、、、、


2023年5月21日日曜日

忘れた頃に水害

 


梅雨はじっとりシトシト降るもんだが、昨今は...
川が溢れ地が裂け山が崩れるとは杞憂めいた比喩ではなくて歴史的な事実。




アタシの寒村陋屋あたりの川向こうは二本の大河の合流地点なので堤防のない時代は氾濫は当たり前。床下浸水程度は災害とは言わない。さすがに床上ともなれば、、、まあ一センチも一メートルも同じ事。

アタシの下駄履きアパート界隈は六甲山系の風光明媚な....なんて不動産屋のセールストークに騙されてはいけない。


日本書紀以来の史書には度々の災害が綴られている。
花崗岩質ですからあまり強固な地盤ではない。
1938年の阪神大水害(谷崎の細雪にも登場します)以降は治山治水と開発規制の結果、災害はあるものの大惨禍には至らない。
しかし災害は忘れた頃にやってくる。
心構えとしてはその通りだが、緊張感は長く持続するものではない。
惨禍に会い財は胡散霧消するもんだって思う事だ。
ユダヤ人の知恵を借りれば、持って逃げれるものを財産にせよ。

絵画はクルマのトランクに入るサイズまで
ダイヤの原石ならばソーヤブル
金ならば鑑定の不要な金貨....とかなんとか

しかし、そんな虚飾な有形資産よりも、カエサルだけが持ち得たと言われる五つの資質「知力、説得力、肉体的耐久力、持続する意志、自己制御」のうち全ては到底無理だから、二つか三つくらいは身につけておきたい。