2017年6月30日金曜日

明月記をよむ




二千年に及ぶ倭国韻文詩、つまり和歌ですが、
この世界の巨峰といえば、

万葉の時代 人麿
古今の時代 貫之
新古今の時代 定家

あとは、大胆に言ってのければ「その他」
近代以降は、進行形ですからいま時点の断定は無理ですが、断定出来そうな時期まで
歌道の伝統がもつかどうかは判らない。
案外しぶといとも思いますが、そのしぶとさを下支えしたのが、かの定家だと。


彼が生きた時代は平安末期から鎌倉初期の八十年
病弱の割に長寿でした。
なかなか筆まめであり、ほぼ生涯にわたり日記(明月記のこと)を書き連ねた。
しかし、都合よくも不思議とビックイベントの時期の記事は失われている。
子孫がなにか忖度したか?と勘繰りたくなる。

それに日本文芸史上の最大歌人であるにも関わらず、歌作の真髄は語られない。
様々な歌論書なるものの多くは偽書らしい。
かの明月記には超一流の歌人の姿は見えず、うだつがあがらず困窮する
愚痴と猟官に明け暮れる二流貴族の日常風景しかみえてこない。
しかしながら、つまらないイベントや噂話を事細く書き綴る神経と
狂言綺語を駆使した前衛歌人がどうしても重ならない(^^)
彼がエキセントリックな和歌を世に問うたのは、20歳代半ばから十年間程度。
若気の至りみたいなものですが、そこそこ才能が枯渇もせずに・・・
その後は、新古今の撰歌とか歌合戦のレフリーとか、作家というより評論家ですよ。


最後は正二位権中納言まで上り詰め、ノンキャリが本庁の局長になったような
ものであるっていうかそれ以上。
複数回の出勤停止という重い懲戒処分を受けた割に、ウンツキに恵まれました(๑˃̵ᴗ˂̵)
そんな事よりも、自宅謹慎の有り余る時間を、平安期の歌集や書物の写筆に
費やした。
彼の労力と御子左家(現在の冷泉家)の文書管理の辛苦のおかげで
失われてもおかしくない古典が原型に近い形で今に残ったのです。
本当に足向けて寝てはいけないとおもいますよ(キッパリ!)

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明月記原文は真名ですので歯が立ちません。
とりあえず、堀田善衛さんの明月記私抄で読んだつもりって事でご勘弁ください。
倭人の漢文って変に読みにくいのです。

2017年6月29日木曜日

誤解を招きかねない表現


言葉は生き物
時代と共に字義やニュアンスも変化する。
あの「遺憾」という熟語。
感情移入に乏しい単に残念程度の言葉であるが、
外交用語として使われる場合は、本来あってはならない事がなされた!と
非難の意味が込められる。
しかし、政治用語としては、同様の語義であっても反省や謝罪のニュアンスには乏しい。
されば、この言葉はどうなんだろう?



日本語に対する感度は、いささかエキセントリックかもしれないが、
人後に落ちないと自負しています。
最近特に違和感あるいは齟齬感のある表現が....

誤解を招きかねない表現(ですので、撤回します)

お立場によっては「綸言汗の如し」とも言われますが、
涼しい顔してなかったことにしますからって、言葉を扱うものとして安直である。
が、言葉尻を捉えて、猛々しく騒ぐのも大人気ない(^.^)ものの
大臣ともなれば、立場は軽くはない。


しかし、大臣とは言えヒトザル。
暴言、失言はあるだろうから、
程度問題はあるものの、好ましくはないがなかった事にして欲しいのは分からんではない。
しかし、もののいいようが如何なものか?

誤解を招く...なる言い方!

誤解するのは発言者本人ではなく、聞き手である。
撤回するのは当然発言者自身。
この倭語を蝸牛庵風に読み替えれば...


あなた方が私の真意を正しく理解出来ないと判断しましたから
今の発言はなかった事にします。
過ちは私の真意ではなく、聞き手の方々の理解力です!


いかがでしょうか?
普通は「誤解」とは内容に間違いがあるという事ではなく、
内容を間違って受け止めるという趣旨で使われる。
この読み替え自体が誤解を招きかねない表現かな(笑)


2017年6月28日水曜日

やっぱり「根付」かなかったか・・・





あんまり悪口は言いたくないが、この一年半で我慢の限界を超えた。
こんな使いにくいスマートフォン(スマートって「賢い」という意味の筈だが)はもうやめた!
なんだか「なんちゃらタイマー」も刻を刻み始めましたし(笑)

そろそろ社用のiPadやiPhoneも返上しなきゃねえ・・・
という事で、iPhone7plus にリフレッシュ!
旧の二台のデータ(無論パーソナルデータだけ)やら環境を移行し、快適な・・・って訳にはなかなかいかない。


古典的なアップルのアイコンの上にドコモのアイコンが乗っかり、画面上がすっきりしない。
動画の移行は大変だし・・・
時間かけて整理するしかないわなあ
どう見ても倍以上の手間がかかりそうだわ。


ところで、スマホカバーですが、iPhone6plus のビニールカバーが使えない。
ストラップの取り付け穴があるし、手軽な透明感がお好みだったが、
サイズは同じなんだが、カメラのレンズ位置が微妙に変わってしまった。
ところが、ストラップの取り付け穴があるのは、チョット重装備なカバー。
これじゃ折角人気の「赤色」買った意味がない!
ブックカバータイプは好きじゃないもんでねえ・・・


根付


江戸時代から倭国伝統のファッションアイテム。
洋装の発展とともに廃れ、好事家の蒐集の趣味の対象となってしまった。
むしろ海外で人気が出たって話もあるが・・・さてどんなものでしょうか?


ガラケが必需品となったころ、だれのアイデアか「ストラップ」が大流行で全国を席巻した・・まではいいとして。
根付が現在に生まれ変わったって、一部に持ち上げられたが、
今や本流ではなくなったところがファッションの底浅さってことかも?
単に余りに和装との親和性が高すぎるからかもしれない。
根付が海外で人気っていうが、海外であまりストラップを見かけた覚えもない。

まあ蝸牛庵は凝り性ですから「太地で譲ってもらったクジラの奥歯」なんかを使っていました。
スマホ時代から、一転ストラップが廃れる・・・
単に「飽き」が来たってだけのものでもないと思うが、よくわからない。


一方で、いまや「ブックカバー」時代
これまた受ける理由がわからない(苦笑)
本を大事する必要性からブックカバーって、あんまりそんなことは考えたことがない。
人前でさらけ出すのが恥ずかしいような本は読まないし
むしろ、これ見よがしに・・・(笑)


高度成長期の通勤電車の中の定番は、朝は兜町新聞、帰りは文庫本
なんか、先祖帰りでもしたのかしらっていうかノスタルジーの表れか・・・




2017年6月27日火曜日

デンマークについて知っている事(2)




国家や国民の幸福度なるものを非科学的と斬ってしまうのは簡単だが、
その論者は基本的立論がおかしいのですよ。

そもそも「幸福」とはなんですか?(^.^)

古今東西を問わず幸福論は哲学や宗教の最重要命題のひとつである。
歴史に名を止める大先生や宗教家が様々な事をおっしゃる事自体
最大の難問と言う事だ。
概念規定を曖昧にしたままで、その辺の統計処理に長けただけの連中の解なんか参考にもならない。


敢えて一番ましそうな定義は「絶対に手段になり得ない(究極の)目標」だと
思われます。
が、これでは具体的でなく解にならない(笑)

社会通念的には、高収入、高福祉と言われるノルディック諸国(アイスランドやデンマークを含め)が
幸せ度が高いとされますが.....


ノルディックノワール或いはミステリーの事は何度もネタにしますが
何故に世界的に人気なのでしょう?
三本の予告編を並べましたが、毎度の映画話題じゃありませんよ。
デンマーク産のミステリー「特捜部Q」の映画版
シリーズで数冊、ハヤカワから全て邦訳がでてますし、
刊行順に映画化もされてます。

過去の捜査で部下が殉職し、心に癒しようのない深い傷を負った
警部補が、新設の猟奇的未解決事件を社会常識が欠如したかのような
スタッフと解決する組織のリーダーとして「活躍」するストーリー。

毎回事件は後味の悪いまま解決するのですが、これをハッピーエンドと言うのか。
幸せ度上位の国での不幸せな捜査陣と犯罪者の葛藤劇と言うのが
シリーズのコンセプト。
これが人気と言う事は、不幸を他人事のように楽しんでいるのがある種の幸福感だと言うことです。
卑しいヒトザルのこころとはそういうものなのか?
確か、ビアスの悪魔の辞典の「幸福」の定義がそういう感じだ。


2017年6月26日月曜日

暗証は、一万年の • • • 愛



香港映画なるものは、安っぽいアクションだけの大衆の慰安と娯楽。

剣劇
カンフー
チョットひねれば・・・香港フィルムノワール



大衆娯楽だけでもバカにしたののではなく、ジャッキーチェがオスカーの名誉賞だって(笑)
映画演劇界への長年の功績・・・と言うことだが、

ローレンバコール
ピーターオトゥール
ケーリーグラント
ハワードフォークス
メリーピックフォード

とかなんとか、本来ならば当然もらっていたはずなのになんの手違いか・・・とりあえずの残念賞あるいは御免なさい賞
と言うものである。
チェンに多大の功績があったかどうかは知らないが、所詮は「大衆娯楽賞」ですから、目くじら立てるものではない。


その中で、突然変異としか言いようのない、そしてその遺伝子を継承されることのない香港映画の奇観が・・・
ウォンカーファイの一連の作品群
九十年代の約十年間にどうしてあげなものが生まれたのか謎とも奇跡とも・・・
ほんの数本(多めに数えて10本弱)の全てがスタイリッシュなカーファイワールド。

蝸牛が無人島に持っていきたい10本の映画に選ぶような作品もある。
この「恋する惑星」ではないが・・・

たわいない恋愛ごっこにすれ違い劇・・と言ってしまえばそれまで。
が、ストーリーにもならないエピソードを音源のチカラでとことん見せる。

夢中人
夢のカリフォルニア

どっちも使い捨てのようなポップスにすぎないが、この映画のお陰で後世に名をなすのです。
本当にアマゾンプライムは有難い!




2017年6月25日日曜日

愛国者の日





独立戦争に因む州レベルのイベントの日。
毎年四月の第三月曜日。
ボストンでは伝統ある恒例のマラソン大会が行われる。

テロリストにとっては格好のソフトターゲットであり、残虐な爆弾テロが
行われた。第2の911とも言われるが、違いは陰謀論が囁かれないこととスピード解決。


事件の経緯はウィキに詳しいが、ほぼ忠実そうに映像化したのが、この映画。

恐怖を覚え
怒りを感じ
捜査の進展に一喜一憂し
事件解決に喝采

典型的な愛国プロパガンダ映画です。
エンドマークと同時に観客全員が立ち上がり、National anthem を歌いかねない(๑˃̵ᴗ˂̵)
よく出来た実録版。
骨格が太い割りにローバジェット
しかしながら、興行的にはイマイチ。
要因はよく分かりません。

テロリストに対する憎悪感の醸成不足なのか、
悪質化したテロ行為に比べての麻痺感
ハリウッドに最近多いチャイニーズ迎合表現がワルさしたような?


主要な登場人物は実在するようですが、主人公は合成キャラ。
ボストン出身の素行不良で警察のお世話になること数限りなしなマークウォールバーグが
演じるのはご愛嬌(^.^)
まあ、最近はかなり成長しました。


テロリストの妻を「尋問」する不思議なチームが登場します。
捜査のヘゲモニーを握るFBIですら引き下がる威圧感。
ウィキにも記載がない。
事件解決から四年も経ちますが、妻はまだグアンタナ拘束されているそうな。
どうやら、大統領直属の超法規的なテロ対策チームのようですが、
委細は知りません。
HIGと言う略称だけはなんとか調べた。

後は継続調査中

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アメリカの情報機関、捜査機関に於いては拷問は禁止されていますが、
強度な尋問はそれに当たらないと言うのが公式見解。
ウォーターボーディングも尋問の一種とされます。

先の大統領は例の如く就任早々と斯様な尋問の禁止を打ち出しますが、
結果はこれまた例の如く。
この映画でも、ミランダ警告不要の指示が出たという事で
現場が動揺するシーンがあります。


911の後間髪入れずに合衆国憲法修正条項に抵触しかねない
米国愛国者法がサンセット条項付きで成立。
二年くらい前にサンセットとなりましたが、一部は恒久条文として
残ったようです。
つまり、共謀罪の比ではない強権的な愛国者法でもボストンテロを
防げなかった!と言う論を見たことがないのですが、
これからしても反対派は相当に勉強不足だ(笑)
防御は出来なかったが、リカバリーが早く失点が最小限(NYが次のターゲットだった)であったのは
この法律のおかげだから、都合が悪いので引用しない、、、ならある種の見識(...かも)








2017年6月24日土曜日

不正のトライアングル



コンプライアンス研修や人事管理マニュアルには必ず登場する
余りに分かりやすい概念。
しかし、蝸牛庵が声高に唱え出した頃は非常に「新鮮」だったらしい。
つまり、大衆的認知度が低かった。
特段こ難しい事ではなく「そうなんだよなあ」って事を
体系的らしく言っているにすぎない。

口先三寸とはよくいったもの。
現実を解釈するだけで、具体的な変革のプログラムは
自分で身の丈にあった持続性あるプランを考えなさいと突き放す^ ^
まあ、汗もかかずに難問がお手軽に解決出来るはずもないから当然と言えば当然。
そして、どんな醜聞もうまく整理してくれる(笑)



学歴エリートの典型のような座布団バッジが、ハラスメントと傷害事件を
起こしたらしい。
早々に離党し、謹慎のフリして嵐の通過を待つのでしょう。
元秘書が告訴したのかどうかは知らないが、示談書に「寛恕」の文字が
あれば、多分起訴猶予。
しぶとく検察審査会にまで引きずりだそうとまではしないだろうが、
次の選挙の結果は判らない。


議員と秘書の関係は仄聞するにヒューマニズムと縁遠い隷属的だとか。
密室での二人きりのやりとりともなれば、究極の罵詈雑言となる「機会」は
十分にある。
しかし、名門御三家女子校だけあって、ユニーク暴力表現が多いですなあ。
北野武の893映画の台詞なんかおよびもつかない(笑)

次に「動機」は優れて分かりやすい。
女性の超エリートとして三人目の事務次官を目指したが、
自他共に目が無いことが分かり、永田町に転身。
自分のチカラというより、保守回帰の追い風に乗っただけ、、程度の自覚はあり、
不安神経症状態だったらしい。
霞ヶ関、永田町と二連敗となれば、もう後がない。
仕事にミスはつきものだが、些細なミスを過大なまでに咎めだす。
あそこまで追い込まれているなら病的だ。

最後に「誠実性の欠如」
所詮、必要とされる資質の著しい不足ですから、リーダーには向かない。
選んだ主権者の顔が見たい(^.^)

カエサル曰くの上に立つ者の資質

「知力」 これは偏差値とは別物
「説得力」 弁明記者会見もしないまま逃亡は卑怯
「肉体的耐久力」 これはよく分かりませんが、打たれ弱そう
「持続する意志」 ネチネチと何時迄も苛む事とは別物の資質
「自己制御」 今回の件で論外だと証明されました。






2017年6月23日金曜日

熟議を重ねるということ





時間をかけて長々と議論をすれば良いってことでもない。

あの「テロ等準備罪」ですが、衆議院の法務委員会では30時間以上も審議したらしい。
これを「も」というか「しか」と思うかは立場次第。
世の中には、拙速を尊ぶとも、なんとかの考え休むにしかず・・・ともいう。


米国愛国者法(USA PATRIOT Act)は、2001年10月26日に大統領が署名発効しましたが、
なんと議会に提案されたのがその三日前!
きっかけは9月11日の「テロ」ですから、なんとも拙速です。
よくぞ短期間でこれだけのことが・・・(事前に準備していたとか陰謀論も・・)
一番時間がかかったのが、法律名称のごろ合わせだったに違いない(笑)
多くの市民が騙されたような・・・俗に「米国愛国者法」と言われますが、

2001年のテロリズムの阻止と回避のために必要な適切な手段を提供することによりアメリカを統合し強化するための法律  が正式な名称。

英語原文だと

Uniting and Strengthening America by Providing Appropriate Tools Required to Intercept and Obstruct Terrorism Act of 2001

USA Patriot Act とは、単語の頭文字の羅列である(なかなかよくできてますし、国民の琴線に触れる)
幸いにしてというべきか不幸にしてか・・・は微妙ですが、この法律はサンセット条項付きでしたので最近失効したはずです。
まあ、物議をかます法案はどさくさに紛れてというのが鉄則ですので・・・


治安維持法に比定するってのが反対派のおなじみの論調ですが、
この法律の経緯に関してよく知らない向きが多い(実は蝸牛庵も誤解していた)
一般に教科書的に言われるのは「普通選挙法成立との抱き合わせ」ですが、
これは間違いとは言わないがきわめて不正確。
正しく言えば関東大震災の際の勅令「治安維持令」を法律にしただけです。
この勅令は9月7日に発令されています(この程度が災害発生の六日後ですから時間かかってます)
流言飛語防止等社会の安寧のための緊急措置(治安維持法が施行されるまで有効だった!)ということになっていますが・・・
これがなんとも立憲政治にももとるひどい内容で


治安維持ノ為ニスル罰則ニ関スル件(正式名称がこれ)

出版通信其ノ他何等ノ方法ヲ以テスルヲ問ハス
暴行騒擾其ノ他生命身体若ハ財産ニ危害ヲ及ホスヘキ犯罪ヲ煽動シ
安寧秩序ヲ紊乱スル目的ヲ以テ治安ヲ害スル事項ヲ流布
シ又ハ人心ヲ惑乱スル目的ヲ以テ流言浮説ヲナシタル者ハ
十年以下ノ懲役若ハ禁錮又ハ三千円以下ノ罰金ニ処ス


政権にとって都合の悪いことはなんでもかんでも投網でしょっ引けるって建付けです。
この勅令は「緊急勅令」ですから、次の議会で承認が必要であり、どの程度「熟議」されたか知りませんが承認されました。
この時に廃止でもしておけば、治安維持法があの形で法律となっかかどうかは・・・わからない。


要は、objectionってタイミング次第で有効ですが、そうでないなら単なる時間の浪費だということです。


2017年6月22日木曜日

いまどきの本屋さん




足しげく通うのだが、このコーナーはなあ・・・
100年ぶりとかの債権法の大改正。
国民的な関心あるいは影響は共謀罪の比ではないはずだが・・・うまくかわされてしまった。
あの勢いで個人連帯保証条項の廃止とか、法定利息の一層の引き下げなんか、メディアスクラムを組めば、国会審議でなんとでもなったのに・・
野党やメディアの罪は重い・・・って思います。
所詮その程度の連中だ。
対決法案と重要法案の軽重が分からない。


まあ、決まったことはしょうがないので、債権法改正解説本を吟味しに大型書店に出向いたが、
なんとなんと、ろくに解説本がない!ではなく、まだ店頭に並んでいない。
二年も前から準備できてたはずだが・・・
かの商法大改正の際には、改正の中心人物執筆の解説本がどんだけ売れたか・・・
弊社でも、個人的に買い求めたスタッフ含め未曾有の購入冊数に比べて、個人レベルのリーガルマインドの低さよ。
絶望のあまり・・・でもないが、法律関係書の棚を久方ぶりに眺めるに・・・実に面白い。
司法試験受験専門単行本コーナーがある。
昔は、碩学と言われる大先生の法律別の概論書だけだった。

憲法:宮沢
民法:我妻
刑法:団藤
刑訴:平野
民訴・・・・・これが全く興味がもてなくて(笑)


なもんで、冥土の道連れにと思い、じっくりと棚を眺めるに、なんだね?

要件事実・・・の解説本

この概念って昔からありましたかねえ?
ボケてはいないし、それなりに専門概念語は知っているつもりだ。
民訴解説とか講義とか色々ページを繰るが、記述がない専門書が多いし、
あっても素っ気ない。
主要事実の別表現とつまらなげにかいてあったり

一方この手の本が・・・それもあの物議をかます某高裁判事の著作が幅を利かしている(笑)


釈然としないまま、ググるに・・・

要件事実とは、一定の法律効果が発生するために必要な具体的事実をいう。
民事訴訟において、各当事者は、自分に有利な法律効果が認められるためには、
その要件事実を主張・立証しなければならない。
民事訴訟法学上の「主要事実」とほぼ一致するが、主要事実という語が主に学問上使われるのに対し、
要件事実という語は裁判実務で利用されることを念頭に使われることが多い・・・・だとさ


まあ、どうでもいいが、訴状あるいは答弁書の論述の論理構成ってすごく理性的で論理的で素晴らしいのですよ。
もっとも、真っ当な弁護士の場合ですがね(笑)
かの三島由紀夫が、訴訟法の体系に宇宙秩序を見たって、蓋し彼の天才を垣間見る。

まず・・・

請求:何が要求なの?
主張:請求を理由づける事実はなんなの?
立証:主張を事実立てる論証はどうなの?


ビジネスでの企画書の立論と同じですよ。
まず本丸に肉薄する!
そして後は三段論法


かようなトレーニングを散々積んでるはずなのに、
どうして多くの弁護士の訴状なり答弁書は意味不明なのかねえ・・・(^ ^)

手ぶらで帰るのもなんなんで、要件事実入門(岡口基一著)を買いました。



2017年6月21日水曜日

やっと林住期(笑)


本当に嫌ですなあ。
この女々しさ。
この音楽家の良さは別にあるのですが、ウケるのはこのような世界。



社長職を引いた後は、いままでも「天下の素浪人」と称しておりましたが、本当にそうなりました(^ ^)
今日の日付で「常勤顧問の委嘱を解く」...だって。
念の為に、先例はないらしいが辞令を発行させた。
まだまだ働け!と言われるのも嫌だ。
やっと、出家ができるのですよ。


銀行口座に報酬が振り込まれる事はもうないのだ。
難儀な頼まれ仕事は、ヤバイから現金だなあ(笑)
ゴルゴ13はスイスに口座があるみたいだが・・・
ビットコインでもいいが、こんなの使っていると犯罪収益のマネロンか資産隠匿疑惑だと思われる。
配当金と年金振込だけの銀行口座ってスリルも美学もない。


しかし、なにもかも所謂「企業の傘」が無くなると大変らしいですねえ。
ナンチャッテ定期券のありがたみが身にしむらしい。

とはいうが、実感がないし、特段なにも今は感じないが・・・・
肩書がないのは不便だ。
今は最低資本金の縛りがないから、名目だけの会社でもつくり、
代表取締役とでも名乗るか(^ ^)
いまからつくるならば、お手間いらずの合同会社
個人的なCDとDVDや書籍が社費で買えるように定款を工夫もしたいねえ(笑)


代表取締役報酬はもらわない。
毎月の株主総会やら監査役非設置会社とか取締役任期10年とか(そういう法務局が絶句する機関設計の会社)で
報酬がわりにラグジュアリーワイン一本と決議させる。
確か、石田礼助さんの国鉄総裁報酬がそうだったらしい。


粗にして野だが卑ではない
チョットカッコイイかなあ(笑)





2017年6月20日火曜日

サスペンス映画原作者



見知らぬ乗客
太陽がいっぱい
リプリー
アメリカの友人
ギリシアに消えたウソ
キャロル


観たことはあるが読んだことがないって小説家としてどうなんでしょう。
一応のあまり名の知られない文学賞は幾つかもらってます。
多分ですが、印税より映画化の権利を売る方が儲かる。
しかし、小説家としてのプライドは相当に傷ついたらしいパトリシアハイスミス
結構多作ですが、映画化本以外はまずもって認知度がない。


これも彼女の原作サスペンス。
殆んど話題にならなかったのはお気の毒ですが、そうひどくはない。

バスストップで発見された他殺死体は、書店の主人の妻
疑惑の目は夫に。
一方、精神状態に不安を抱える若い妻は建築家の夫の浮気を疑い諍いが絶えない。
同じバスストップで事件とも事故とも判別し難い状況で
妻の遺体が発見される。

自殺か他殺か?
他殺なら夫が犯人か?

二つの事件が交錯しながら終焉しますが、若い妻の事件は
宙ぶらりんのまま。
雰囲気的には自殺みたいですが、、??






2017年6月19日月曜日

よくある誤解


あんまり詳しくはいま時点書くべきではないが....


珍しい程ひねりが効き過ぎた過激な展開なんですが、
三年くらい前の韓国映画(殺人の告白)のリメイクだとか!

時効制度を上手くあしらっていますが、多くのドラマ、映画は制度の誤解をしてます。
刑事上での時効とは、公訴時効ともう一つ何ちゃらがあるがコレは略。
つまり、警察が逮捕や送検しただけじゃダメで、
公訴=裁判所に起訴状を提出しないといけない。
犯人を逮捕したが、取り調べがモタつき時効成立なんて聞いたことがないが、
理屈の上ではありうるのです。
実際にあったが公表しなかったかも(^.^)

韓国刑事法では死刑に相当する犯罪であっても時効が成立します。
日本の場合は、人を殺し死刑に相当する犯罪には時効がないと法律改正が
なされ、アメリカ並みになりました。
実効の程は疑問がありますが、お天道様の下を堂々と歩けないという
心理的圧力を死ぬまで味わせる効果は認めてもいい。
お陰様で、迷宮入り事件捜査を舞台とするようなドラマが作れるようになった。

韓国の時効制度も公訴時効ならば、オリジナルは明らかに解釈を間違えたオチです。
残り14分じゃ逮捕も出来ない(逮捕令状がないし、映画の状況だと現行犯に相当しません)
一方、リメイク版は、殺人が公訴時効廃止が施行される前日でなく
当日であることが証拠だてられるという展開は座布団一枚!
と言いたいが、蝸牛庵にはすぐにオチがバレバレ(観客の多くは知りませんよ)では
作る方の底が浅い。


なのりでた真犯人が、告白本を出版しベストセラー。
聞いたような話だが、売れると思えば飛びつく版元は幾らでもいる。
チョットイケメンなもんで、ファンクラブは出来るしサイン会は大盛況。
軽薄なご時世の描き方はけだし今風。
当然ながら、出たがり達の犯人処罰運動も起きる(笑)
なにかにつけて、ウケ狙いな劇場型社会の縮図を見せる、、、まではいいとしても。


気に入らないのが「本当の」真犯人像
リメイク版では破天荒にエッジを効かせすぎてリアルじゃない
あまりにやり過ぎですが、毎日正義ヅラしてるその裏側、、と言いたいなら
まあ我慢しておきます。
映画は作り物ですが、あまりにリアリズムを無視している。






2017年6月18日日曜日

時間銀行





昔からSFモノが好きでした。
サイエンスフィクションじゃなくて、スリル&ファンタジー(笑)

世の中には「在庫出来ない商品」がある。
兎に角貯蔵が出来ないから、ひたすら消費するしかない。
更に言えば、それが有限ならば無為無駄無節操に浪費してはならない。

有意義に消費すべき最たるものは....時間

某誌で見かけた「時間銀行」なるSFっぽい用語というか概念
貯蔵出来ないものを在庫しようという試み。
有り体に言えば、時間の貯蓄であり、老人介護に関わる循環型社会システムの
制度設計である。

今はどうなっているのか知りませんが、将来必要になった場合に備えて
若いうちに献血しておきましょうというキャンペーンが過去にはあった。
最近はそう言う呼び込みの声は聞かない。

さて、この時間銀行なるものがスイスで始まったらしい。
委細の情報に乏しく、想像するに若いうちに老人のお世話なんかを
率先垂範して行なえば、招来その分が貯蓄の引き出しのように
自分の介護の為に利用出来るものらしい。
なんと利息も付くとやら。
程度の差こそあれ膨張する老人福祉費用の有効な軽減策。


世代間給付システムにある意味で似てはいるが、
カルバンを生んだ国らしく、自分のことは自分で!と言うストイックさ。
あっと、正確には彼はフランス人ですが、スイスに亡命し生涯を終えました。


色々と妄想をたくましく出来ます(笑)
親兄弟でもない他人の面倒見る時間があれば老後の介護費用を蓄える方が良いって
一つの選択肢。
時間を蓄積するか貨幣で貯めるか、、、人生観だから適否は論じない。
でも、どっちも選択しないグウタラが必ずいるんですよ。
其れを自己責任で切り捨てるかどうかは、なかなか判断が難しいが、、、

でも治安コストだと思えば、教育と社会福祉の費用はやすいもの。
だからと言って縮減する知恵は出さなくても良いと言うことではない。





2017年6月17日土曜日

アマンダンチウム






大昔は長閑なもので・・・エイトマンの鋼鉄の肉体なるものは「ハイマンガンスチール」
合金鋼で確かに強度は高いが、無敵ってほどのことはない。
マンガン含有率が10パーセントくらいだったかな。
細部まで確認しなかったが、ニッケルやコバルトの合金鋼は輸出貿易管理令で輸出許可が必要ですが
高マンガン鋼ならば、形状や用途が特殊でもなければ、その辺のバカ板同様に輸出できそうです・・・・
要するに今となってはそうたいした特殊金属ではないということ(技術革新のおかげです)


ファンタジーやアメコミ等では、色々登場しますが、アマダンチウムとかオリハルコン。
後者は、アトランティスに存在したらしい銅合金。
どうも真鍮もどきみたいで、物凄い切れ味とか防御能力は疑わしい。

他方、アマダンチウムは、ダイヤモンドなみの強固な物質らしいから、これぞ最強ですかねえ?
しかし、あまりに強固すぎれば加工も出来ないってことですから実用性はない。
硬いけれども弾力もありって事が重要なのですよ。
スチールが最たるものですが、汎用性が高いのはいいが、お値段がねえ・・・
工場出し値は「もやし」と変わらない(鉄鋼メーカーが儲からないはずです)
やっぱり普通鋼の世界では「玉鋼」が一番。




ウルヴァリンことローガンはアマダンチウムの爪を持つ最強のミュータント(?)
人間兵器として作られたようですが、兵士として必要な命令服従の意思に乏しく、これじゃ失敗作。
XMENシリーズのスピンオフとして三作制作されましたが・・・とうとう最終作(この映画の最後で死んじゃいますから)
強靭にはつくられたが不老不死ではない。
人工的につくられたものですから、そのクローン(これは命令に忠実ですから完成品)や
ローガンの遺伝子を受け継いだ女の子なんかも登場します。
ヒュージャックマン主演作は終焉しても、その女の子であと数年すれば再度スクリーンに登場するかも?


この少女、なんとローガンの進化系ですから、両手にアマダンチウムの爪・・・だけでなく両足にも(笑)
どういう寓意なのか、メキシコに秘密工場があり、人種的にはメキシカン。
逃げのびた仲間と共にアメリカに逃れ、更に北の国へ。

2017年6月16日金曜日

サンアンドレアス



フォッサマグナは日本の中学校で習っただろうし、カリフォルニアのスクールでは・・多分、絶対に教えるはずだ。
カリフォルニア州を南北に走る大断層


1989年の秋。
なんと蝸牛庵はピッツバーグの高級ホテルで、サンフランシスコへの移動の準備中でしたが、大地震発生に付き
パニクり状態。
飛行機は飛びましたが、予定は全てキャンセル(但し仕事は・・・と但し書き付き。遊びは予定通りです)
94年にもサンフランシスコでは地震が起きてますが、所謂「大地震」と言われるのは、1906年地震。


06年の被害額の現在評価で1兆円強
当時の資本蓄積の度合いからすれば、いまなら凄まじい規模だと思われます。


ここからがあまりよく知られていない「黒歴史」です(よく知られていないもんで史料的確認不足もありますが・・・)
十九世紀以来多くの東洋人(まず中国人そして日本人)が廉価な労働力として西海岸に大量に送り込まれた。
大陸横断鉄道建設や金鉱山の採掘はチャイニーズの白骨の山の結果だとか・・・
更に低賃金で勤勉な倭人はプワーホワイトの職を奪い非難と憎悪の的にもなったと言われている。

1906年の大地震の際には日本から多額の支援(世界で一番)がなされたが、感謝なんかは全くされず、
さらなる排日システムが作り上げられるに至った。
しかし、この辺はアメリカンを非難する立場にはない・・・って、台湾からの最大規模の地震支援に対して
国民的な感謝の表明を見える形でやってませんから。
北京政府もモンゴルも相応の支援をしていただきました。
その他の近隣国については、よく知りません。


さらに加えて、混乱に乗じて東洋人が略奪暴行を集団的に行おうとしているとの流言蜚語が飛び交い
逆に多くの倭人が悲惨な被害に遭う事例が多発したとされる。
どっかで聞いたような話なのですが、程度に差こそあれ、民度にもよりますが
不安が一杯の非常時にはあってはならない混乱や暴発は不可避だと言うことだし、
例外だろうが他人の不幸に祝意を表明する人非人や
それを咎めようともしないそれなりの数の犬畜生もいるのだ。
蒋介石だったか、怨に恩で報いる と言ったのは・・・しかし、恩に報いるに怨とは犬畜生以下


この映画って・・・確か見た記憶があるが、スクリーンかDVDか?
プライムではないと思う。
評論家の評価は低いのですが、多分実体験がないのだ。
経験をしたことがあれば、一定の理解をするだろうレベルです。








2017年6月15日木曜日

Web log あるいは Web essay





国語辞典的に言えば「日記と随筆」は明確に違う。
大字泉によれば・・・・

日記:毎日の出来事や感想などの記録。
随筆:自己の見聞・体験・感想などを、筆に任せて自由な形式で書いた文章。

起こりえたことの事実とそのついでの感想という枠の縛りがあるのが「日記」であって、多くは時系列的な身辺雑記。
ところが、事実を基層にしつつも自己意識において再構成されると「随筆」になる。


一方で「ブログ」なるもの・・・・本来表現は「weblog」らしいので、随筆よりも日記に近い。
実際上は書き手の主観なり意図によりネットエッセイタイプも多い。
ここからは、ドナルドキーンさんの「百代の過客」の受け売りですが・・・・
西洋人の「日記」はいわゆる「日記的」だが、倭人は「随筆的」らしい。
命名者が西洋人だったもので、weblog であったわけで、これが倭人ならば webessay と名づけたに違いない。
つまり、実際に起きたことは適当で(意図的な捏造も多々ある)、思想感情を創造的に表現している・・・とのこと。
端的に言えば(このことは高校で習ったと記憶している)芭蕉の「奥の細道」と同行した弟子の道中日記の内容には、相当な差がある。
土砂降りの日に中尊寺を訪れて・・・

あらとふと 青葉若葉の 日の光  ・・・って、これはあまりにも写実ではない

土佐日記に至っては、オンナの振りして・・・って、完全に虚構の世界である。
紫式部日記の記述に史料的価値を見出して、源氏物語の作者の「証拠」っていうのも・・・・実のところは疑わしいと思うべきだ。


以上は、一般論であり、真名書きの日記(男性貴族の手になるもの)は、完全に日記。
・・・というよりも「有職故実の備忘録」
故事来歴の知識の量でしか自己実現ができない貴族にとってはまあそうなんでしょう。


明月記なる藤原定家の長年にわたる「日記」がある。
彼はいうまでもなく王朝和歌史上最大の職業歌人であると同時にうだつの上がらない二流貴族。
明月記とは、猟官運動に明け暮れる哀しい貴族の生態記録であり、彼の優れた和歌制作の秘密なんてまったくお呼びではない。
当然ながら「真名」で書いてますので、とても原典には歯が立たない。
堀田良衛さんの随筆でお手軽に読んでます(苦笑)



ところで、徒然なる「朱庵日乗」ですが・・・これは「webessay」です。
同じ日乗でも「断腸亭」のほうは・・・・日記なんでしょうねえ?
玉の井の女郎との「交歓記録」を隠語で克明に記録するって、これはフィクションじゃないでしょう。

2017年6月14日水曜日

希少生物の誕生を祝いつつも




ケメ子さまによれば、某日朝の放送はパンダの赤ちゃん一色(^.^)
希少生物の数が増えることは望ましいが、それほど重要なイベントですかねえ。
パンダに興味がないから冷淡なんですが、
炎天下行列を作り、それでもパンダを見てほのぼのした気分で
家族一同が帰路につけるのであれは、とやかくは言わない。

早速、経済効果算定なんか公開する理論経済学者も現れ、
なんと280億円くらい。
どんな計算式か知らないが、側聞するに、初めて上野にパンダが来た際の
諸数値を使っているようだが、それは過大評価だ。
あそこまでのフィーバーはあり得ない。
まあ、よくてはなし半分だ。

最近知ったが、パンダはチャイナからのレンタルだそうな。
日中友好のシンボルならコアラのように贈与だろうとおもうがねえ。
その費用、ざっと五千万(年間かな?)
よく一億という数字を目にしますが、きっとツガイだ!

餌代が五百万円くらい。
施設費や飼育人件費が分からないが、コリアが余りの費用にビックリして
断念したらしく、十数億だとか。
一時費用とランニング経費を一緒くたにしたメディアの記事も困るが、
概数は分かる。
なんにしても、十億くらいの一時費用に一億から二億のランニング経費を
かける経済効果があるかどうかということになる。

レンタルですから、産まれた赤ちゃんの所有権はチャイナにある。
チャイナに返すか更にレンタルするか...判断は微妙。


政治は無垢な生き物すら外交の道具にする。
ただ喜んでいるだけなら、それはすこしちがうのですよ。

2017年6月13日火曜日

映画のオリンピック





オリンピックの映画って、最近は全く流行りません。
開催国には作成が義務付けられていますが、一般公開の気配すら・・・・
なもんで、オリンピック映画話題はやめて「映画オリンピック」話題に・・・引き出しが多いと臨機応変多岐多様(笑)


映画のオリンピックは普通なんとか映画祭と言われます。カンヌ、ベニス、ベルリン・・・
でもこれらはオリンピックという競技会というよりも、

映画ビジネスの場(興行権売買とか)
セレブの社交場(EU圏の高級娼婦が商売のために行列してやってくる・・・らしい)
野心的な俳優の卵の売り出しの場(アランドロンはここでホモ癖の製作者の目を引いた・・・んだっけ?)

グランプリの選出はおまけみたいなものです。
よって、本当の映画のオリンピックは・・・・

アカデミー賞外国語作品賞

オスカーの作品賞とは英語映画が対象(正確には英語でなくともいいが、ロサンゼルス郡で劇場公開されたことが条件)ですから、
英国とその植民地だったアメリカンの映画作品が主たる対象です。
言ってみれば「国体」ですよ。
一方で、外国語作品賞は英語以外(英語圏国でも英語以外の言語ならば対象)の作品が世界中から集まる。
最近ではざっと80タイトル以上。
各国が国内選考のうえで出場。オスカー事務局が候補作を絞り込み決勝ラウンドに残るノミネート作品は五本。
アカデミー会員であればこの五作品を全て見れば投票権あり・・・
そんじょそこらの映画祭のグランプリよりも評価が高くてしかるべきですが、どうも人気にかける。
全米で公開された事を選考作品の要件にしないと言うことは広く作品を集めるうえで優れた方法だが、
後々の興行を考えるともう一工夫があってもいい。

現在の選考システムになったのが1956年。
もう還暦ですよ(笑)
ノミネート作品の傾向分析をやれば、世界の映画動向がある程度把握出来る。
以下、誰もやってくれてませんでしたから・・・結構労作なんです。

⬛️国別のノミネート延回数及び受賞回数(カッコ内の数字で内数表示)⬛️

フランス: 36( 9)
イタリア: 28(11)
東西ドイツ:19( 3)
スペイン :18( 3)

以下ロシア、スエーデン、デンマーク、日本・・・・


所詮「オスカー賞」って白人男性の遊びの世界みたいですねえ。
最近は世界的な広がりを見せ、新興国も頑張る。
映画的にも多様がキーワードになりつつある。
我々も「黄禍論」と畏怖されるくらいに世界を席巻しませんとねえ・・・
アニメにもたれていては、世界で戦えない。



2017年6月12日月曜日

風呂敷





朝方のお散歩の途中で、登校中の眉目秀麗な中学生集団に出会うのですが・・・
阪神間の羨望のシンボルは、六麓荘の豪邸は別格としても、

馬糞帽
白風呂敷
ジャバラ制服

と決まっていた。
知らなかったが、馬糞帽の学校も白風呂敷、ジャバラ制服の学校は黒風呂敷だった
時代もあったらしい。

いまや白風呂敷は通学鞄に取って代わられ、甲陽中学はほぼ100%がバックパックである。
ごく稀にショルダー鞄の生徒さんも見かけるし、バックパックの色や形もさまざまなので、自由化が進んでいる。
他方で、灘や六甲はどうだかまでは知らない。
六甲は、未だに制服だが、灘は制帽は無くなったらしい。


思うに珍しがって口にするようなものでもなく、昔は革鞄なんてハイカラのきわみで高価だった。
ランドセルは、明治のころの軍装のなごりであり、
都会の富裕層だけが使っていたもので、全国的に普及したのは高度成長期
思えば、結構なお値段だと思いますし、昨今では親御さんのご負担も大きい。
しかしぴかぴかの一年生のシンボルだと思えば無理もするだろうし・・・
タイガーマスクがプレゼントしてあげる気持ちってその辺を忖度した上でのことでやっぱり尊いのです。


風呂敷はいまやファッションの一部であり、官僚や法曹の世界でも廃れた(・・・・らしい)
先様にお中元なんかを絽だか紗の着物を身を包んでご持参する際には、
三越さんの紙袋よりも真結びにした風呂敷のほうが
心がこもっているように思ってもらえる。
お作法としても、結びを解いて中身だけを差し出すって優雅でもある。
いくらなんでも風呂敷に包んだままお渡しするってないわなあ(๑˃̵ᴗ˂̵)
紙袋だって、そのまま渡すのは失礼って教えられたものだが、
いままでもらった事例で言えば、皆無に近い(苦笑)


風呂敷の文化的な雑学はいまさらいう必要もないが、
九尺二間長屋では、風呂敷を敷いた上に布団を敷くのが常識だった。
床下からの隙間風対策ってこともあるが、いざって時にはそのまま風呂敷に布団を包んで逃げるって生活の知恵である。
従って普通の風呂敷は、一反幅だとおもいますが、最大級は二間四方ってことになる。

鞄が「入れる文化」ならば風呂敷は「包む文化」だといわれるが、それがどうした(笑)
四足をすみからすみまで活用する立場になかった以上、皮袋にワインを「入れる」とかって発想になりそうもない。
当然ながら、差異であって優劣ではない。

しかし、ブランドの革製品ってどうしてあんなに高いのでしょうか・・・?
もっとも、用途に応じて、様々なサイズ・素材(木綿、絹等)で定紋と家名を入れた風呂敷一式をそろえれば、
ルイヴィトンって案外安いのよね(笑)
















2017年6月11日日曜日

デンマークについて知っている事






デンマークはノルディックの範囲だとされる。
イメージ的にはドイツ圏なんですが、映画文化・風土的にはジャーマンではない事は確かです。
認知度は低いが質的には映画大国だと思ってください(キッパリ!)

なんせあのカール・ドライサーを生んだ国。
無人島に持っていきたいあの「メランコリア」の監督さん、ラースフォントリアの母国。
そうそう「バベットの晩餐会」もそうだ。これも無人島持参候補
あとは・・・・ペレとか、

その他佳作秀作傑作あまた・・・ってくらいにスクリーンにかかります。
というか、選んでそういう作品ばかりを日本市場に出しているのかも(笑)
そういえば、マッツ・ミケルソン(カジノロワイヤル、ローグワン)もデンマーク出身の至宝ともいわれる俳優さん。


某日・・・・女性に優しい意識高い系の場末の映画館
出し物は

幸せなひとりぼっち
ヒットラーの忘れ物

なかなか洒落たカップリング。
観客の多くは気がつかないかもしれませんが、どちらもノルディックフィルムと同時に89回オスカーの外国語作品ノミネートなのです。






2017年6月10日土曜日

制限選挙の功罪






国民主権を前提すれば、性別や納税額等で選挙権や被選挙権を制限することはあってはならないとされる。
年齢による制限も「抑制的」であるべき・・・ということも良識的な判断らしい。

然し乍らって事が、今日のお題。
年齢による制限を廃止するってどうでしょうか?
もっとも、赤児に投票しろって無茶な話ですから、親権者の代理投票です。
未来の国家を支える子供の意見が代理投票とは言え、投票に反映されるって素晴らしいと思いませんか。
と同時に、高齢者で、投票所に足を運ぶのが困難とか投票判断に問題ありげなお年寄りも、御子息に
投票代理を委託できるようにしてバランスを取ることも必要です。

当然反作用もあるはずですが・・・なんかあるのかなあ(ちょっと思いつかない)
つまりは、多くの良識ある判断ができそうな多くの人の意見をより忖度しましょうってことです。

ところで「良識ある判断」ができる要件とは実に難しい。
まずもって学歴でないことは確信をもって言える。
学歴は学力(大好きな表現だと「知力」です)を保証しない。
性別・・・・儒教的には養い難しは「婦女子」であるが「小人」も同様とされるので
これは考慮すべきではない。
長い人生でアホなオンナは山とみたが、馬鹿なオトコは其れを上回る。


資産の多寡あるいは納税額・・・
これは微妙だ。
例の「恒産あれば恒心あり」と訳知り顔にいうほど傲慢なつもりはない。
原典を正確に書けば「恒産なくして恒心あり、若もそれ民に恒産なければ、因りて恒心無からん」
出典は孟子だということですが、さすがにって思います。
つまり・・・
あるべきは、財産や収入に関わらず高い志を持つべきであるが、現実は・・・過度の期待ということです。

リアリズムに立てば、一定以上のクラスにのみ選挙権や被選挙権を与えることは「合理的」なのです。
選挙に参加したければ、這い上がってください。
生活保護に何時迄も無自覚的に甘んじるような真似はよろしくない。


他方で・・・以下加藤陽子先生(あの赤門建築学科卒業生の女子高の先輩です)の著作の勝手引用です。

明治の頃、初めての国政選挙の参加資格は納税額15円以上だった。
ところが、日露戦争前にこれが10円に改定され、有権者は倍増した。
改定理由は想像するに血税(徴兵)の対価として民草に投票権をよこせって声に押されたのでしょう。
日露戦争の戦費は凄まじいものであったようで、許容限界を超える課税をよぎなくされ、
まあ国民も耐えたという事です。
非常特別税法なる税制により、加藤先生の比喩的表現によれば、年間納税額を二回払ったという大変な負担だったという事です。
勝つには勝ったが、賠償金は手に入らず・・・国家財政を破綻させないためには
臨時税制のはずが恒久税制にせざるを得なくなった。
これは酷い話ですが・・・・
結果・・・有権者はさらに倍増し、投票の風景は異次元状態となり・・・
まあ一般的には政党の声が強くなり、より「民主的」になったというのでしょう。

普通選挙法(選挙権の資産制限の廃止)が実現したのが1925年。
歴史にIFはご法度ですが、大戦景気(通常は第一次世界大戦後のバブルを意味します)の際にどうして
超過利潤税を課して、財政再建を果たしあの臨時税制を元に戻さなかったのかって思うのですよ。
さすれば、一発で国政の景色は変わった・・・・かもしれません。
後世にとってそれが良かったどうかについては論評しませんが、
徒花のような大正デモクラシーやその後の政党政治の腐敗堕落を見るにつけ、
歴史の曲がり角でハンドル操作を誤ったのではなかろうか・・・という判断を捨てきれない。





2017年6月9日金曜日

ブルックナーとアランフェス




アランフェスはともかく、ブルックナーなんて退屈だし、
そもそも蝸牛庵は、クラシック音楽は古典派(バッハを含みます)がお好みです。
しかし、ケメ子様が定期演奏会会員なもんで、チケットを押し付けられ止む無く・・・
演目は、交響曲第6番。
ヴェートーヴェンの田園に似ているって言われますが・・・・
まあそんなこんなで、演奏時間の大部分は、毎度の「パトロンになってあげてもいいかな若手演奏家の品定め」
もっとも、向こうから断ってくること必定ですから適当に切り上げ・・・真面目に(笑)
ブルックナーは史上最高クラスの交響曲書きらしいですが、如何せん大衆人気に欠ける。
理由は簡単。
映画とかに使われない(監督とかの教養レベルの問題ですがね・・)
あとは、サブタイトルがない(マーラーなんかもっと難解なのに、なんだかサブタイトルがあって得してます)
でも、プロ映画鑑賞家の矜持にかけて言っておこう。
あのヴィスコンティの「夏の嵐」にはブルックナーの七番が使われています。
ミラノの公爵家の末裔は・・・・本当に凄い。


次なる演目は、アランフェス協奏曲のハープヴァージョンとは珍しい。
元々は人気のギター曲だが、どっちも撥弦楽器という共通点があり、三味線や和琴もその仲間
楽器としての表現力の豊かさからすれば
絶対にハープだが・・・知る限りあまり話題にはならないのが不思議(和琴や三味線ヴァージョンなら納得しますが・・・)
むしろ有名なのはこれ (本当に名盤)



ライブでハープを聞くのは何年ぶりだろうか?
演奏は、吉野直子さん。
よく存じ上げませんが、倭人のハープ奏者として第一人者かどうかはともかくも有名どころ
倭国の音大教育に背を向けて、眞子さまの先輩です。
こういう音楽家って好きですねえ(千住真理子さんもどっかの文学部)
ハープ弾きにあるような典雅なマダム(夫がいるかどうかは知りません)で、実に素晴らしい
当然ながらオーケストラとの協演ですから、グランドハープです。
ゲスは直ぐに

重さは?
値段は?

って思っちゃうのですが、ピアノのようにホールに常設しているはずがありませんので、
演奏会の都度、吉野さんは日通だかネコ大和のお世話になっているのでしょう。
ステージには、マッチョなホールスタッフが運んできましたから、運べない重さではないが
ハープ奏者がやることではなさそうだ。

ダブルアクショングランドハープの値段なんか想定も出来ませんが、
ベーゼンドルファーのグランドピアノよりはお安いと思います・・・レクサスLXくらいかな?

思いの外響きが届かない。
大ホールで、オケラと協演するにはちょっとしんどい
弦五部も、台数を減らしてですが、音量に負ける。
楽器は優美ですが演奏はタフですねえ。
ペダルがピアノ以上にあり、音を伸ばすとか切るって機能じゃないみたい。
一番びっくりは、ハープを右肩にもたせるんだ!
指揮者とのアイコンタクトを考えれば・・・まあそうかなあ、でもねえ・・・


肝心の演奏評価がありませんが、驢馬の耳にそのようなものを期待してはいけない。
リンクのユーチューブでもご覧ください。
マイルスデイビスの名アルバムはさておき、よくフィギアなんかに使われる第二楽章の演奏は川井郁子さん。
吉野さんと同じお年のようです。
美形ヴァイオリニストの配偶者が大学の整形外科医なんてメロドラマ風ですが、ドラマらしく最近離婚されたようです。
本論とは無関係ですが、蝸牛庵は女性週刊誌ネタが好きのなのです(笑)








2017年6月8日木曜日

ゴールドに憑かれたカメレオン


90年代の実話(カナダのBre-X社事件)の映画化らしいが、事実なるものをよく知りません。

山師と言って悪ければ鉱堀探索業者の一山当てる話
実際は一山当てるよりも当てた!と称する詐欺話の方が多いらしい。

映画の主人公(シテ)は代々の採掘業者
ワキは、ある種エキセントリックな地質学者もどき・・・ここ掘れワンワン屋
その二人がインドネシア(開発独裁のヤバそうな国です)で金鉱山開発に命の限界までの挑戦。
首尾よく未曾有の高品位の鉱脈を掘り当てるが・・・


かねもうけの匂いに擦り寄りハイエナ達
身ぐるみ剥ぐことも厭わないが、剥ぎ取られれば剥ぎ取り返す。
目には目を、歯には歯・・・
が、栄光の頂点で知る驚愕の事実


資本市場では儲かりますあるいは損はしませんというのが常套文句
世界中で原発開発が出来るとか、飛ぶとは思えない国産ジェット機に大量注文・・・まあいろいろ(笑)
どっちも、詐欺とあまり変わりがない。


170億ドルが消えた・・・まあ投資は自己責任だし、経営判断は時の運。
ようするに、経営者って学歴も才能もいらなくて、ただ「ツキ」だけだが、
ツキ・ウンも実力のうちです。
司馬さん言う所の東郷平八郎連合艦隊司令官に抜擢されたエピソードが事実かどうかは知らない。
しかし、言い得て妙ってことです。


エンディングのエピソードは、多分捏造だろうが、いち早く売り抜けた奴はいたらしい。
騙された連中が数多と言うことだけは確実。


ヒーローのマヒューマコノヒー
相変わらずのカメレオン役者。
やせ衰えたエイズ患者も呑んだくれのでぶでもなんでもやれる。
ちょっと、風貌がクリスチャンベールに似てますなあ。

投資なり事業に神霊を注ぎ込む起業家には優しい眼差しって結末ですが、
これはアメリカの心情でたぶん事実は違う。
これだと明らかに巧妙な詐欺の共同正犯ですよ。
天網恢々ムニャムニャ、怒りの鉄槌はどうなった。


八千万ドル強の稼ぎならば・・・詐欺横領程度ならばやるかもなあ。
知的な犯罪に手を染めることは別に恥ずかしいとも思わない・・・のがハリウッド流儀

2017年6月7日水曜日

絶望の死




大西睦子さんの記事(フォーサイト)を引用します。
彼女の記事もプリンストンの先生の論文の引用ですから、孫引きになります。
従って引用部分は、彼女の意見というより多くはオリジナルの見解だということです。

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米国の白人中年の死亡率が増え続けている。
原因は、薬物、アルコール、自殺による「絶望の死」である。
絶望の死は、今日では農村部から大都市に至るほぼ全米に深刻な影響を及ぼしています。
最も深刻な地域は東南中央部(アラバマ州、ケンタッキー州、テネシー州、ミシシッピ州)で・・・

絶望の死は、とりわけ高等学校以下の学歴しかない白人米国人を襲っています。
2つのアメリカがあるようです。
1つは、大学に行った人のアメリカ、そしてもう1つは、そうでなかった人のアメリカです
自殺率は、男性が女性よりもはるかに高まりました。
そして、薬物過剰摂取、およびアルコール関連の肝臓病による死亡率も男性の方が高い。
ただし死亡率の高さは、高校までの教育しか受けていない男女に同じ傾向を認めます。

これは長い間米国で続いている問題の、氷山の一角に過ぎないと考えています。
私たちは、これを白人労働者階級の衰退の一部と捉えています。
それらの仕事(ブルーカラーのこと)はゆっくりと崩壊し、より多くの男性が、低賃金で質の悪い、非正規雇用という悪条件の労働市場で働くことを余儀なくされるようになりました。
そのため、彼らは結婚することが難しくなり、自分の子供をもつこともできません。
時間が経過するほどに、社会の機能不全が高まっています。
そして、本来であれば得られていたであろう地位や財産を失ってしまった、という感覚だけが強まっていったのです。
これは典型的な自殺の前触れです。

こうした米国の白人中年の「絶望の死」急増の原因としては、まず所得の低下が考えられるかもしれません。
ただし、白人の平均所得は、今でもヒスパニックや黒人より高いので、所得だけではすべての説明がつきません
もしあなたが何らかの特権を持っていて、それを『平等』『公平』という名のもとに抑制されるとしたら、
おそらく『平等』は『抑圧』だと感じ始めるでしょう。
しかし、白人のそうした悲観主義と比べると、黒人にとっては何世紀にもわたって『平等』は『希望』を意味してきたのです。
黒人とヒスパニック系は、経済状況が悪化したとしても、もともと白人ほどには期待が持てない境遇であった可能性があります。
その意味で対照的に、教育レベルが低かったことで高い技能を持てなかった白人ほど、
人生に失望を感じ、絶望の死を選択するのかもしれません。

すくなくとも欧米世界では、なぜか米国だけで絶望の死が増加している。
英誌『エコノミスト』は、絶望の死の根底的な原因は、米国のセイフティネット、特に健康保険制度の欠如であると指摘しています。

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労働市場の変化の分析とか首をかしげたくなる部分もありますが、
ある種のトランプ現象の解説ですが、一方でオバマケアを廃止しようとすることの論理的整合性がない。
このような相関が成り立つのであれば、

総中流意識の崩壊と上下分化
所得の低下
非正規労働者の増加
未婚率の増加

等々が顕著な倭国こそ自殺者が激増してしかるべきだが、公式統計は逆の傾向を示す(自殺と絶望死は概念が別だが)
バブル崩壊後の奈落の底状態から経済状況が劇的回復を遂げたからか
黒人やヒスパニックのように低位安定状態が当たり前と思うようになったからか、よくわからない。
もっとも先進国の中では際立って自殺率が高いことに定評があり、アメリカンを論う資格はない。
その意味で自殺者が減ったというよりもあまりな異常値が是正されただけなのかもしれない。
また国別自殺率は、所得との相関を強く示すが、国内のジニ係数相関は示されない・・・とかなんとか
実のところ一番効果的な社会政策がなんだかよく分からない。

最近は聞き及ばないが、宗教の戒律の差異なる論には懐疑的だ。
来世や転生を売り物にしない宗教はまず存在しない、というか客寄せにならない教義を掲げる宗教はありえない。
生まれ変われば、あの世なら幸せになれると思う向きには、死とは単なる通過点であり、そう重大な事ではない。

教育程度の高さは自殺を回避するといわれれば、それはそうかな?って気もする。
哲学者で自殺した例は、きわめて稀だ。
古代ギリシアの哲学者でサンダルをきれいにそろえて何とか山に飛び込んだ・・・って、紘子さんの旦那が
芥川賞受賞作品で披露しているが、どうもこれは怪しい。

文学者では結構例があるが、まあ文学って無頼の徒の所業ですから、不思議でもなんでもない。
明確な自殺でなくとも、いわゆる「絶望死」で生涯を終えるくらいでないと、一級品ではないのだ。













2017年6月6日火曜日

極私的アフリエイトビジネス





大きくなったら何になりたいって、質問。
どう答えたか記憶にはない。
少なくとも「作家さん」はなかった。
なんせ、無頼の徒程度に唾棄すべき存在というのが我が一族の家訓と言うか・・・(笑)

そんなこんなな刷り込みの結果、売文の徒に対する冷ややかな目線はいまでも変わらない。
多分ですが、塚本邦雄さんが好きなのは「我が本は五百部の売れれば充分」って暴言に共感したからだ。
でも・・・実際は一桁多くうれてましたって実感ですがね。

我が日乗は、グーグルのブロクサイトをお借りしてますが、一応アフリエイトの設定もやってます。
収益金受け取りの設定は・・・・ほったらかし。
ゼロの数が現時点よりもいくつか増えれば目の色が変わるかもしれないが、今時点は猫またぎ状態。
多分ずっとそうだろうから、真面目にやるつもりもない。
気の利いたサイトならば、全額寄付にクリックってあるはずだが・・・そういう御仁はグーグルをプラットホームにしないらしい。

しかし、グーグルは親切です。
ページビューを増やす十四の方法のご教授・・・・

余計なお世話ってもんですが、まずもって広告サイトにアダルトを入れる事だそうです。
そういうのが嫌だからFC2を使わなかったって事ですが・・・
あとまあ色々と・・・苦笑するしかない。

本気にやるなら・・・なんちゃら◯む◯た◯とかなんとかってサイトに連携しますがね。
が、そこまで品の悪いことに手を染めるほど落ちぶれちゃいない。


しかし、思うのですが、基本はFB経由のアクセスですが、直接日乗サイトにアクセスする方が相当数おられます。
フォロワーは極めて限定的なはずですので・・・よくわからない世界です。
一時期のロシアからのアクセスは、なくなりつつありますが、油断は出来ない。


あんな自己満足の極致のような駄日記って、あまりに傾向的で精神衛生上よろしくないがねえ。
もっともあのダミアの「暗い日曜日」のようなものではない程度には健康的だ。

2017年6月5日月曜日

花の様に華やかだった日々




本来は今月の巻頭の力作のはずが、馬鹿馬鹿しい時事ネタで今になりました。



世紀末を善悪や適否を見極められる年代で通過することはある意味で僥倖かもしれないし、
そのチャンスは人生でまず一回きり。
20世紀の最後の年の最大の収穫と同時代として生きることができた喜び(・・大袈裟ですねえ)
じれったい不倫映画と思う手合いとはスクリーンを共有出来ないし、一生に一回あるかないかの邂逅に気がつかなかった不幸人(笑)


実のところ、ダルいしかったるい。
彼女の主演映画なら「宋家の三姉妹」が一番オーソドックスだが、個人的な波長からすれば「ラブソング」が一番かもしれない。


舞台は60年代の香港
これからの成長と不安の予感の時代
同じ日に同じアパートに引っ越してきた二組の夫婦
男には、外出の多い(夜勤?の多い)妻
女には、海外出張中の夫
なにも起きないのが不思議なのですが、実は何も起きないのです(苦笑)
だからじれったい・・・
お互いに配偶者に不倫された相哀れむ身の上なんだから、さっさと・・なんて単純なしつらえでは奥行きがない。
倦怠感漂うじれったさの中の、いじらしいような心の微妙な触れ合いが「何も起こらないという大きなドラマ」を紡ぎだす。


彼女は絶世のアジアンビューティとまではいかないが、
30着以上と思えるチャイナドレスをあれほどまでに清麗に着こなすに必要な因子・・・

細い首
たおやかな背中
高い腰
しなやかなくびれ

の持ち主であり、チャイナドレスを着こなすためのような美貌と体型に恵まれたのが、マギーチャン
最近は、映画は半ば引退状態で、いささか音程に不安を抱えながらもコンサート活動に熱心らしい。
残念なことだが、これ以上の演技はもはや望めない以上、あの時の余情は、記憶の中だけで充分です。
いまや香港映画は見る影もないってところが、おかれている立場を暗示している。





2017年6月4日日曜日

あらためて大和三山伝説




日本百名山に選ばれているのかどうかは知らないが、セットだと素晴らしい風景を描き出すし、
万葉の時代からの「伝説」も今に伝わる。


香久山は 畝傍を雄し(愛し)と 耳梨と 相あらそひき
神代より かくにあるらし 古昔も 然かにあれこそ
うつせみも 妻を あらそふらしき


三角関係の痴情のもつれは神代の時代からって・・・まあわかりやすい歌(天智天皇御製ということになっています)なのですが、
問題は「雄しあるいは愛し」の部分。
万葉仮名では「雄男志」と書きます。
漢字本来の語義を尊重する場合と単に音だけを借りてくる場合がありますので、字面だけで・・・「雄々しい」って断定できるかどうかは微妙である。

つまり、
畝傍は「男」である。二人の女(香久山と耳成)が取り合いをするということになる。
しかし、畝傍は「女」であり、二人の男が争うって構図も考えられるし、作者の名前を思い浮かべれば・・・

通説がどっちかは知りませんが、ドロドロ劇期待ならば、前者です(笑)
万葉集によく登場するこの類の説話からすれば、後者ってことになります。


お能のテーマにもなりげなお話しで、有名どころでは「求塚」
万葉集にも登場します。
菟原処女伝説ですが、別に上総国でも間々の手古奈伝説ってあるのです。
これは、どっちも男二人に女一人版
他方ではすばり「三山」


観世流では、復古曲ということですが、なかなかの人気曲でたびたび演じられます。
しかしながら、どう思ったのか・・・

香久山:男
畝傍山:女(桜子)
耳成山:女(桂子)

という組み合わせになっています。
男は、最初は二人とも同じように愛していたのですが、そのうちに「華やかさ」に心奪われ、哀れ捨てられた桂子は入水自殺。
本当に表面の美しさにだけ迷う男ってどうしようもありませんねえ。
さて死霊となった桂子は、ウワナリ討ちで桜子に祟るってしつらえ。
失恋の痛手で悶々なんてことではなく、段ビラ振りかざすってのが珍しい(苦笑)

いくら謡本を読んでも、その辺の臨場感はやっぱりに舞台を見るに限る・・・がよくしたもので七月一日に「銀座SIX」の舞台にかかる。
桜子も一方的に打たれるだけじゃ無くて、結構反撃するみたいですから「優雅な女同士の喧嘩」ってこれは見ものだ。
実際は、桜の枝と桂の枝の打ち合いのようです。


秋の舞台の下見がてら東下りでも・・・・


2017年6月3日土曜日

月陽炎の立つ夏の夜の水面


全くそう言うつもりもなく・・・
なんとも、俳句風味なタイトルは、ある種の絶景
歳時記にのせてほしいくらいの絶唱・・・と自画自賛(笑)


GW明けくらいから「クールビズ」だとか言われると・・・夏って「五月から七月」のわけないよねえって(苦笑)
陰暦では「4月から6月」をいうが、まあどっちでもいい。
季節が一夜にして変わるって誰も思っていないからこそ、

片面涼しき風が吹く   とか
目にはさやかに見えねども   って王朝歌人は歌ったのです。
もっとも四季折々に季節の移り変わりを感じるのでなく
冬から春
夏から秋
に限られますってところが多少通俗的。


夏の到来は、暦よりも風物のほうが似つかわしい。
勅撰和歌集であっても「夏歌の巻」は分量的に貧弱である。特段ネタがないわけではあるまい


時鳥

卯花
常夏

五月雨

・・・といっても「古今」だとこの程度。
優雅に一首ひねろうとしても、暑いし、湿気が高いし、やぶ蚊が飛ぶし・・・それどころではなかったし、
活動時間帯の夜が短いから、ろくに作歌時間もなかった。
しかし、辺境美の極致みたいな一首があった!


夏の月 光をしまず 照るときは 流がるる水に かげろふぞたつ(興風)


複雑な技巧を凝らしているわけではないし、縁語掛詞も登場しない。
言ってしまえば「日記タイトル」の通りの幻影的な風景である。
しかし、陽炎は、昼の盛りの照りつける太陽のもとでの光景だろう・・・ってしたり顔に思ってはならない。
歌人の眼にはそういう風景が目に映ったってことが大事なのです。

優れて理知的ですが、古今時代の歌人は「なにもない空間や水底」に幻視を見る。
たびたび引用してますので(またあれかあ!って思われるの癪なので)・・・・貫之の別の歌にします。


影見れば 波の底なる ひさかたの 空漕ぎ渡る われぞさびしき
月影の 見ゆるにつけて 水底の あまつ空とや 思ひまどわぬ


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ウィキをググるに「月陽炎でも陽炎月」では、これしか登場しません。
アダルトゲームソフトらしいが、初耳(当然でしょう・・・)


2017年6月2日金曜日

あなたの人生の物語



原作のイメージを著しく改変することは映画化の常。
優れて哲学的とも言えるSF小説(邦題が日記のタイトル)がファーストコンタクト分野のSF映画になってしまった。
大衆芸術にありがちな人類対エイリアンの存亡を賭けた激闘・・・にならなかったのは、ひとえに予算の縛り(笑)
制作費はたった50百万ドル。
激闘シーンをふんだんに盛り込めばざっと倍以上が必要でしょう。
なんちゃって「ばかうけ」そっくりな宇宙船が何処からともなく12機もやって来たのです。
戦術的にも成功して、興行的にはまずまずのようだし、オスカー作品賞ノミネートし、なんかテクニカルな賞はゲットしました。
この監督は結構才人ですねえ。

なかなか複雑な造りでして、原作の時間論みたいな子難しいストーリー展開はそのまま尊重し、
壮大に見えそうなエイリアンの到着(オリジナルタイトルはアライバル)とコミュニケーションの物語を絡めます。
ヒトザルは時系列の時間意識しか有しないが、時系列のない時間意識も並存しうる・・・って、それがどうした(笑)
その二つの時間意識に沿って並列的に物語は進行します。

後者の分かりやすいストーリーは時系列ですが、言語学者であるヒロインと癌で若くして亡くなる娘の原作の核心部分は
前者の時間意識で映像化され、夫々がクロスオーバーしながら、
その交点の重要部分をエイリアンとコミュニケーションを取ろうとする
チームの理論物理学者(実は夫なのですよ!)が担う・・・・
娘を失った傷心の言語学者が、エイリアンとのコミュニケーション対策チームに招聘され・・・と
思っていたが、実際は後先が逆だった。
でも、本当にそうかしら?

二つの時間軸の存在を前提とすれば・・・とかなんとか、結構難解なのですよ。


今年のオスカー作品賞ノミネートランキングではマンチェスターバイザシーと・・・首の差くらい。



2017年6月1日木曜日

品位の高い日記の「汚れ」だが(笑)



週刊現代の記事なので歯牙にもかけません。
オリジナルを見ずに書くのはいささか問題ですが、ネチズンの視座があまりに
笑えますから....

まず、あちこち探したのですが、ネットでは百人リスト全体は確認出来ません。
山中先生、小泉純一郎、北野武が上位にいるらしい(敬称は略します)
下位クラスランクインの露出の高いタレント紛いをあげつらっています。
確かに、彼らや彼女らを「信用」するほど倭国全体は落ちぶれてはいない。
が、百人も選べば、オブジェクションと言いたくなる御仁は
それなりにいるのが当たり前ですから、
点で面を断罪してはならないでしょう。


一体誰が選じたかが大事ですが、これが信用出来そうもない選者によるリストなんだなあ(笑)
だから、百人全体を見ずしても評価は出来る...からネタにした。


選ぶとは自身が選ばれる対象となることだと思えば、如何にお遊びでも多少の自覚と理性があれば
軽々にしゃしゃりでれないはずだと思いました...が、本日の教訓!