2015年2月28日土曜日

折◯博◯の「それから」



当時は飛ぶ鳥落とす勢い。
特異な経歴もあいまって、異能の経営者って持ち上げる向きも多く、
誰でも知ってる有名政治家とのツーショット写真なんかが出回り、
金で買った・・・という言えば言葉が過ぎますが、褒章まで頂戴し、
某経営団体の理事まで・・・あの若さでねえ。

しかし、当時のヒステリックなマスコミ論調によれば、介護保険の不正請求と
派遣労働者の生き血を吸うような手口と、ド派手な私生活をかきたてられた結果
凋落敗残の身。
小器用に海外逃亡を行い、優雅な老後らしいが、日本での復権はまあありませんねえ。しかし、瑣末な不正を叩きまくって、一時の溜飲を下げても、内在する本質問題は悪化こそすれ、なにも改善出来ていないってことにフォーカスを当てないから
大マスコミは尊敬されない。

そんな義侠心・・・かどうか知りませんが、エンタメの力で肉薄しようとしたのが
このオトコ・・・かな


ハナマカアキ・・・・ペンネームでしょうが、性別不詳(笑)


ちょっと話題になった、まあミステリー仕立てな「ロストケア」
映画化の噂は聞いてませんが、この起承転結では、話にしにくい。

内容的には、タイトルの通りケアビジネスの闇の部分。

かの経営者を彷彿とさせる介護ビジネス会社の幹部社員
その同窓生で「正義」の代紋を背負う検事
介護現場で肉体と神経をすり減らして行く従業員
介護されるものとするもの
最後に・・・被害者と加害者


見たくもない現実を見せられるが、そんなことは分かっている。
必要なのは現実解としての解決策
法律は無力だし、神の言葉だって、気休めかも・・・・
あのような「解決策」にも、一定の合理性は、口に出してはいけないが
あるって、心の片隅が囁く。


未だに行きつ戻りつの「リビングウィル」レベルでも救済はできない。
だって、いま議論されているレベルとは、生命の末期状態で如何に人間らしく有るべきか・・というテーマであり、問題は肉体的には末期状態でなくとも、精神的に崩壊した状態が、人間的存在で有るかどうかって議論である。
植物状態である場合はまだしも答えは簡単かもしれませんが・・・・
認知症状態って、肉体的にも精神的も崩壊しているかどうかって
判別が難しい。








2015年2月27日金曜日

合衆国の一番長い日




青島くんが力説しても、事件は現場じゃなくて、やっぱり「会議室」で起きるのです(笑)


スポーツビジネスあるいはシステムとしてヒトザルが持ち得た最高峰がNFLの「格差解消システム」である。
トマピケティ先生も驚愕するに違いない。
スーパーボウルに進むあるいはロンバルデイトロフィを勝ち取る秘訣は、
均等にしかなりようがない戦力を効果的に鍛え上げ、バックオフィスの知力で勝ち上がるしかない。


この巧妙なドラフトシステム・・・過度にショーアップされている感じがしないでもないが、
駆け引きとネゴ・・・GMやスタッフの知力が試される世界である。
籤運がいいとドラフトで有力選手をゲットできるなんて・・・長閑な倭の風景(笑)
これでは、熾烈な国際社会の謀略戦に勝てるはずがない。


アメリカンフットボール映画の最高峰は「ロンゲストヤード」
個人的には「ネバーギブンサンデー」が大好き。
これらはいずれも現場のお話
しかし、会議室のバトルを素材にする映画とはねえ・・・・本当に脱帽します。
映画人の至高の職人技。
オスカーには縁遠いが、歴史に残る印象作です。


主人公は、クリーブランドブラウンズのGM
このチームは、フットボールの歴史そのもので有り、弱くてスーパーボウルに出れないが、
熱狂的な地元ファンに支えられている。
弱いがゆえにドラフトの指名順位は上位。
選り取り見取り・・・なんですが、かかるが故にオーナーも含め外野がうるさく、
GMの心労は極致に達する。
NFLのルールでは、チーム間でドラフト指名権の交換ができる。選手のトレードを絡めても構わない。


今年の一巡目指名権の代わりの来年の一巡目指名権とこの選手を売り飛ばすとか・・


オーナーの圧力に負け、GMは、下馬評第一位の人気QBを一位指名するために不利な交換条件に応じるが・・・
彼は土壇場で、予想外の「意中の守備の選手」を指名し、全米がパニックになる!
以下、なんだかんだの駆け引きが有り、GM冥利に尽きるような有史以来最高のパフォーマンスとなった。


さあ、シーズン開幕
会議室の勝利が現場の勝利につながるかどうか・・・


--

興行的に惨敗したようです。
あまりに趣味的で予定調和的で、加えてNFLの宣伝臭さが前に出すぎたか?
本当のところは、頭脳戦って映像になりにくいのですよ。
比較的うまく描いたと思うのですが、観客の知的水準を読み違えた。







2015年2月26日木曜日

此の世をば ほなおいとまを センコウの 煙とともに ハイ さようなら





吾未だ生を知らず、況や死・・・・


孔子さまのお言葉
解釈は様々。
リアリストのチャイニーズですと「現世利益」しか興味がないから、
死後の世界なんか話題にしても宗教として受けるはずがない。




しかし、涅槃図を見るに・・・
釈尊の死に場面では、山川草木生きとし生けるもの全てがまわりに集まり
嘆き悲しむではないか?
苦の根源である輪廻からの解放の様なのに、悲しんじゃいけませんよね(苦笑)

斉の国の桓公(戦国の五覇)は、亡くなったあとで跡目闘いの結果、
いつまでもお葬式を出してもらえず、蛆虫だらけになったらしいが、
これはこれで末期としては見苦しい。



倭人は、悲しんでいるかどうかは知らないが「誰かに看取られながら死んでゆく」確率が
高いらしい。つまり病院での死亡率が高い。
自宅死の多い西洋と一線を画す。
どうも末期医療についての立ち位置の差が大きく影響しているようです。



さて、最近話題になるのが・・・


孤独死(イメージが悪いですなあ)
孤立死(これまた同様)
自立死(こう言えば、主体性を感じます)
尊厳死(ここまでくれば崇高な感じさえする)
安楽死(なんか評価しにくい・・・言葉)


どうも、倭人は「涅槃図」の呪縛の中で、一人で死んでゆくことをネガティブに捉えるようだ。
誰かに看取られながらって、そんなにいいもんですかねえ?
一人で死んでゆくこととどんだけの違いのあるのでしょうか?
しかし、ヒトザルは社会的存在なもんで一人では行きてゆけないが、
唯一「死ぬときだけは独り」である。
三途の川を渡る際には、最初の恋人が手を引いてくれるって・・・単なる中世説話である。
なんせ、普通一度しか経験できないことだから、どっちがより自分の人生の幕引き場面に
相応しいか・・・よく考えておこう。
















2015年2月25日水曜日

身を守るのは契約書でもセキュリテイ対策でもなく・・・






下級審ですが、実に面白い判決が出ました。
事案は・・・
 
原告は、ネット通販会社
被告は、原告と業務委託契約を締結しているITベンダー

脆弱なセキュリティ対応に起因する顧客クレジットカード情報の漏洩により、
なんだかんだと一億円程度の損害が発生した(・・と原告は主張)

被告は、そもそもそのようなユーザー仕様(要件定義)は不知であり、
債務認識がない以上、債務不履行に該当しない。
一連のシステム開発での受託金額は数百万円のレベルであって、
仮に損害賠償事案であっても、その上限は受託金額までと定められている。

真っ向からの対決ですが・・・
裁判所の判断は、三割程度の被告の過失相殺を認めた上で、二千万円強の損害賠償を命じました。



さて、判決内容記述からすれば順不同ですが、広範囲な「損害」が認められています。

顧客への謝罪関連費用
顧客からの問い合わせ対応関連費用
本件に係る調査費用
会議費用(出席のための交通費まで)
認定可能な売上損失

以上合計額の七割相当(三割は上記過失相殺)
原告の請求の半分以上は売上損失。クレジットカード決済ができなかったことにより
喪失した売上高の論理的な証明ができなかったために、請求の10%以下となってしまったところが
代理人の腕の悪さ(苦笑)
それを除けば、ほぼ満額勝訴(過失相殺は別として・・)



次に「損害賠償額の上限規定」ですが・・・

これは毎度受託者と委託者の間で論争になる内容ですが、
不可解一方的な経済産業省のモデル契約書なる存在が物事を複雑にしている。
損害賠償に特段の合理性のないキャップをはめることは公序良俗違反である。
過失程度ならば、交渉に応じる場合がありうるが、
故意重過失だと青天井!を譲らないというのがIT社長の立場です(キッパリ!)

今回の事案では、面白くって、やはり「上限規定」があります。
ところが、契約書全文を見ないと、判断しにくいのですが、

25条 ・・・本契約内容に違反すれば・・・すべての損害を賠償する
29条 乙(今回は被告)は故意または過失により・・・個別契約の定める契約金額の範囲内において・・・

なんとも奇妙なんですが、賠償条項が二つもある(笑)
ありうる話としては、一般的な場合は「上限付き」であるが、特定の義務違反は青天井。
そうであれば、明晰に書けばいいが、どうも粗雑な企業法務屋が作ったみたいです。
本当にそう読めるのかどうかは別にして、裁判所は、情報漏洩に関しては「青天井」と
判断しました(・・・どうなんでしょうねえ?)

次に裁判所は、故意または重過失の場合にまで「上限規定」を適用することは、
著しく衡平を害するって断じています。
その上で今回の場合・・・重過失に該当すると判断しました(29条が無効ということ)
これは、当然の判断です。
契約書に書いてあれば、なんでも通るって思うのは馬鹿な法務屋とIT屋だけです。



さて、本論です。
いったい何が「原因」で情報漏洩が起きたのか?
どうやら「SQLインジェクション攻撃」を受けたらしい。
事件が発生した時期には、この手のハッキングは大流行だったらしく、
当然ながらディフェンス対策も一般化しており、常識的なセキュリティ対応さえしておれば
なにも問題が起きなかったと推認される古典的な事案である。

要するに、被告(ITベンダー)は、機微な情報(クレジットカード情報)を取り扱う以上
それにふさわしい適切なセキュリテイ対策を講じたアプリを提供するのが債務の本旨に合致する
履行だと裁判所は判断するのです。
これまた当然の判断です。


 
ところが、ケチな委託者がまともな開発費を払ってくれないケース。
当然やるべきことをやろうとしても原資がない。
そういう場合には、きっちりと「費用をかけて装備しないと危険です!」って
説明(できれば文書で)しておかないと、自分の身が守れないってことです。
今回は、原告サイドに多少の危険認識があったので三割程度は過失相殺がされましたが、
この程度じゃ身を守ったことにはならない。



色々とためになる「事件」です。
東京地裁ともなれば、ちゃんとした裁判官もおいでになるようです。
残念ながら、かような名裁判官には遭遇したことがない。
まあ「名裁判官」って、一般的には「勝訴判決」を書いてくれる判事のことですがね(笑)


ところで、これって確定判決でしょうか?
ボクならば・・・絶対に控訴ですよ。結構物議かます判断があります。













2015年2月24日火曜日

相変わらずな「周回遅れ」に加えて毎度の「ある傾向」






◯●■バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)
◎--アメリカン・スナイパー
◎-■6才のボクが、大人になるまで
◎--グランド・ブダペスト・ホテル
◯--イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密
◯--セルマ(原題)
◯-■博士と彼女のセオリー
◯-■セッション


最初の・・・

◯:日本公開予定(あるいは予定未定)
◎:日本公開済

次の●は、オスカーの作品賞受賞
最後の■は「主要部門(監督・主演俳優・助演俳優)」の受賞作



さて、今年のアカデミー賞ですが、毎度の予定調和な結果に終わりました。
エキセントリックな役柄(病的あるいは病人・精神疾患等)が、俳優賞の近道って今回も健在です。


ベストアクター :ALS患者
ベストアクトレス:認知症患者

ベストサポートアクターも「病的に暴力的な音楽家」って設定になっています。
これを思えば「ロザムンド・パイク嬢のサイコパスキラー」なんかカワイイものです(笑)
残念ですが、捲土重来を期待しましょう。


作品賞の評価は・・・半分は見てません(・・というよりこの段階で毎年恒例の未公開)ので
なんとも言えませんが・・・

公民権運動を背景とする「セルマ」は、昨年「それでも夜はあける」なんかが
作品賞に輝いたもんで・・・二年続けてニグロものはないわなあ。
6才のボク・・やセッション、グランドブタペストホテルは、映画の骨格的に作品賞になじまない
西海岸は「青い州」ですので、アメリカンスナイパーは、共和党的ってことで
嫌われたんですよ。

・・ということで、消去法的に行くと、こういう時に有利なのが「バックステージもの」
まさしく予定調和で「バードマン」になった。
特に、落ちぶれた役者の話って好きですからねえ・・・




ところで「日本アカデミー賞」ですが・・・
ここは、ノミネートされるだけで「優秀賞」と呼ばれる。
その「優秀賞」のなかから「最優秀賞」を選ぶって仕組みらしい。
なんだか、インフレ化したお手盛りの「賞」のバラマキみたいですなあ。
ちなみに、その「最」の発表は、二月二十七日でNTVでライブ放送されるらしいが、
誠に僭越なものいいですが、貴重な電波の無駄使い・・・・だと思っています。




















2015年2月23日月曜日

まさか本当に変えるとは思わなかったねえ(笑)

まさか本当に変えるとは思わなかったなあ・・・(その1)


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民法第404条の規律を次のように改めるものとする。

利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときはその利率は当該利息が生じた最初の時点における法定利率による。
法定利率は、3%とする。
法定利率は、3年ごとに、3年を一期として・・・変更される。

中略

商法第514条を削除するものとする。
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百年に一度の「大改正」ともなれば、懐かしい「民事法定利率とか商事法定利率」という言葉を
死語にしてしまった。
特段の当事者合意等がなければ、民事は5%、商事(商取引)ならば6%って利率が
3%に統一され、なかんずく三年ごとに見直されることとなる・・・らしい。
いつからかは分かりませんが、細かい端数はつかず、2%とか4%になったりする。


どうして「5%」という法定利率を明治の賢人たちが決めたのかは知りません。
しかし、トマピケティ先生の「r(資本収益率)=5%」という仮定・・・
正確に言えば、19世紀の資産家の資産平均利回りがその程度であるということは、
西洋的常識であったことに起因し、その知見がお雇い外人からもたらされたと思われます。
江戸時代の高利貸しは更に高利で運用していたようですので、その辺との折り合いが
商事法定利率(6%)という制度設計になったと勝手に想像します。


しかし、彼の「r>g」の煩雑な説明によれば、
r=5%という仮説は、21世紀でも通用する経験則的公理らしい。
そういう文脈の中で、民事商事の統合も含めて、法定利率改正の意義はあるのでしょうか?
改定ルールの詳細は省令で決まるのでしょうが、委細は不明。
日銀の貸出金利リンクって案があったようですが、多分市中実勢金利なんかをベースにするのでしょうが
法定利率の利率を「貸金の金利水準リンク」だけで決めていいのかって言われれば疑念もある。

そもそも、金利の定めのない金銭消費貸借って稀であり、
事実上の適用事例は「法律の規定により利息が生じる債権」に限定される。
例えば・・・

金銭債権の債務不履行による遅延損害金
不当利得の悪意の受益者の利息返還義務   等々



返済すべき債務を長々と払い渋り、長期の裁判でやっと勝利し、その間の6%の遅延損害金金利なんか
もせしめると・・・企業法務戦士は代理人と夜を徹して祝杯をあげたものですが、
その喜びが半減する。
債務を早期に回収しておれば、それが次のビジネス原資となり、それこそ「r=6%」の
収益を生んだはずなのですよ。
それが半減してしまうって・・・・釈然としませんよね。


まあ、契約書に想定される「利息の生じる債権」全てについて、約定金利を明記するしか
対応策はないか(苦笑)
















2015年2月22日日曜日

繕い裁つ・・・・



かつてZUKAの大劇場にベルばら(池田理代子作)が翻案上映されると噂が出た時の
ファンの動揺・・・・


たかがマンガが・・・


時代は変わった。
エンターテイメント系の小説が映画素材になることはあっても、
純文学系・・・言ってみれば「芥川賞作品」にはまずお声がかからない。
やせ細った歪み骨格な私小説風では、食指が動かないし、
昨今は心理の襞や葛藤を巧みに描いてくれるコミックに事欠かない。

いまや文芸の大空位時代であり、小説がふたたび君臨することは期待しがたく
むしろ、コミックの時代なのかも・・・
けだし「クールジャパン」なのです。


繕い裁つ人

作者の池辺葵さんは存じ上げない。
作画が匠とも思えないが、そこはかとない味わいを感じないものでもない。
ヒロインは、南市江
祖母(志乃)の洋裁店を切り盛りしているが、仕事の大半は、祖母の仕立て品のお直し
古くからの顧客が三々五々井戸端会議風に訪れては、仕立て物を頼んでいく。
市江の新作は、友人の洋装店で販売されるが、一品物。

それに目をつけたデパート(原作は丸福百貨店)のバイヤー
ブランド化をシツコク勧めるが、ファッションへの姿勢の違いは、永久に交わらない
平行線。
しかし、異化同化作用のなせる技・・・いつしか
この辺のオンナとオトコの機微
名女優の中谷美紀さんは問題ないのですが、三浦百恵さんのご長男には荷が重い。
監督もよくお分かりのようで、原作にはない車椅子の女性(実はバイヤーの妹)が
登場する。
市江は、彼女のウエディングドレスを誂えるという冒険に挑むのです。
このウエディングドレスを美しく着こなした女性を演じるのが・・・黒木華
・・・本当に安心して見れられるなあ


原作は、時代も場所も不明
別に阪神間(神戸)である必要はないし、117から20年たった今である必然でもない
監督が、関西屈指のお嬢様女子大のご出身というだけで、そういう背景設定をしたんでしょう。
そういえば、南市江は「神戸女子学院大学」出身という原作にない設定です。
母校の図書館もロケシーンに登場したらしい。

一品物を仕立て、一生涯お直しをしながら着こなすっていうソフィケイティッドな
スタイルは、阪神間の山の手には似つかわしい。
この映画の最高のシーンは・・・

かつての多くの顧客が、志乃の仕立てた一品物を身にまとい、南志乃の野辺送りに参列するシーン
これが、脚本家と監督の創作によるものであれば、日本映画界の未来も安泰ですが・・・
残念ながら、原作にも登場します。
しかし、コミックのコマ割りよりもはるかに美しく映像化されていたことだけは付言しておきましょう(笑)







2015年2月21日土曜日

蝸牛庵はどうして狂言綺語なのか?

蝸牛庵


かぎゅうあん・・・と読みます。
とある方から「牛鍋庵」さまと返事が来た際には、さすがに絶句(笑)
単に勘違いと言うより、失礼ながら無知なんだと思いましたねえ。

蝸牛とは、内耳にある聴覚を司る器官の名称ですが、
カタツムリに似ていることが由来らしい。

一般には、幸田露伴先生の雅号として有名ですが、本名は幸田成行。
露伴も号の一つであり、ほかにもたくさんお持ちのようだ。
ヤドカリのように転居を繰り返し、それにちなみ・・・といわれるが、
一番有名な東向島蝸牛庵には十年ばかり住んでいる。
正確な引っ越し回数は不詳であるが、北斎のように生涯で百回近くってことでもなさそうです。
その旧宅は、明治村に保存されていますが、ヤドカリっていうからには
方丈庵程度と思いきや、二階建ての立派なお住まい。


Google検索をかけると・・・

大阪の喫茶店
幸田露伴のウィキペディア
蝸牛庵狂言綺語録

なかなか認知度が高いブログなんです(笑)
そうそう、蝸牛庵日乗というブログを連載しておられる方もおられます。
日記でなく「日乗」をお使いのところが教養です。
永井荷風に「断腸亭日乗」って大部な日記があります。



さて「狂言綺語」ですが・・・四文字熟語辞典なんかだと

道理に合わない言葉や、巧みに表面だけを飾った言葉。転じて、虚構や文飾の多い小説・物語・戯曲などを卑しめていう語

と解説しています。
出典は、白居易「香山寺白氏洛中集記」らしい。
原典を読んでませんが、孫引きによれば「狂言綺語の過ちを転じて、讃仏の因・・・・」とかなんとかと書いているらしい。
虚構・文飾の道からでも仏道にたどり着けると言うのは、いささか個人的な主義主張・趣旨に反する。


ここはそれ、菩薩十善戒に従い、ブログ名の変更を思案中

蝸牛庵妄語綺語悪口両舌録


って、どうでしょうか?







https://m.youtube.com/watch?v=cZnrL8_kFzc







2015年2月20日金曜日

インバウンドマーケティング




倭国に来訪する外国人の数は1300万人強。
仏蘭西国の8000万人にはおよびもつかないが、
極東の島国ってことを思えば関係者の不断の努力・・・っていうより、為替の影響かも(笑)
いくら円安でも、コンテンツに魅力がないと、ヒトザルは集まらない。
円安が下支えしているうちに、より良いコンテンツ開発をやらないと、潮目が変わった時が恐ろしい。
いまや、経済効果は2兆円とも試算されます。


傍若無人で嫌われやすいチャイニーズだって、240万人も来訪。
爆買金額は、3000億円以上とも・・・
背に腹は変えられない。
それに一時の慰安や享楽しか提供しないギャンブルやゲームが支える経済よりは
はるかにマシである。
いまや「インバウンドマーケティング」こそが、国内消費の大きなトレンドである。


しかし「お買い物」しかコンテンツがないのも哀しいことだ。
メディカル・ツーリズムって・・・今の医師会の岩盤規制下じゃ、展開のしようがない。
観光遺産も代わり映えがしない。
自然遺産は劣化の一途
文化遺産は・・・失礼ながら、あの連中の知的水準には似つかわしくない。
クールジャパンで、コミックやヨシモトに頑張ってもらうしかない。


ちょっと古い統計がありました。
都道府県別観光ランキング(2009年)

1 北海道 78.1
2 沖縄県 65.2
3 京都府 64.0
4 東京都 53.6
5 奈良県 52.4
6 大阪府 47.1
7 長崎県 46.1
8 福岡県 44.3
9 長野県 43.6


39 徳島県 30.6
40 鳥取県 29.9
41 福島県 29.7
42 滋賀県 29.2
43 佐賀県 28.7
44 栃木県 28.4
45 群馬県 27.4
46 埼玉県 21.8
47 茨城県 21.5

まあ、さもありなんって感じです。
ただ言えることは、資源の有無・大小もさることながら「やる気とか意欲」です。
外国人観光客の来訪頻度と概ね連動します。

ダメなのは「北関東」ってすっごく共感しますなあ(笑)
上方知的人とはいえ、群馬と栃木の位置関係に相変わらず確信が持てず、
その確信のなさが関西人の共通意識・・・って、土壌をなんとか打破したいって気持ちが
感じられない以上は、まあこの惨状が続きます。