2016年9月7日水曜日

三悪追放


江戸は某区に、貴賎都鄙が門前市をなす保育園があるらしい。
聞き及ぶに、天才児、秀才児を育てる実績に定評ありだとか、
それが、港区とか杉並、世田谷ならさもありなんとおもうのですが、なんとまあ......
生活保護世帯比率の高い区ですから、けだし、辺境にこそ芳薫に文化は育まれるのです。

いかなる教育方針かは詳らかにしないが、
編成されたクラスの名称はありきたりだが、表記が...


杜若
躑躅

かなり、ショックだ。・・・・(読めない!)
加えて、四文字熟語の読み上げをやるらしい。
保育士が掲げるプレートを間髪入れず園児達が一斉に唱和する。

ガイシュウイッショク
カリョウビンガ
キコクシュウシュウ
カンギュウジュウトウ

更にショックだ(笑)・・・・(まったく書けない!)

漢字という表意文字の特性を表すようなエピソードだと思いますし、
表意文字に幼い頃から親しむ事の効用をいみじくも物語る。
正確な漢字の定義を述べるほどの知見はないか、康熙字典なり、諸橋大漢和に
正字として掲載された文字がそうだと思っている。
圀とか朕は、漢字オタクな武則天の創作文字であり、厳密には漢字と言わない。
鐵は正字だが、鐡は俗字である。鉄に至っては和製の略字。
それ以外にも、正字にはない漢字がある。
倭の場合、国字と言うが、峠、榊、裃とか.........

とかなんとか、あわせてざっと五万字とも六万字とも、
ヒトザルの通常能力で手に負える限界を超える。
その一割程度が使いこなせれば、いや、知り得るだけでも漢検一級は稚戯に等しい。


三悪追放と言う懐かしいスローガン。
麻薬、梅毒、なんとか党は、単に援用したにすぎない。
元来は魯迅の発言。
彼は、阿片と正字が中国近代化の大きな障壁だと喝破した。
いまひとつはなんだったか、まだ思い出せないが、さて置き
この提言に飛びついたのが毛沢東の漢字の簡体字化。
中華文明にひれ伏してきた周辺国は、それに盲従し、朝鮮は完全完璧な漢字追放路線真っしぐら。
倭国も、さすがに当用漢字制は断念したものの、常用漢字表の制定と略字化の推進となった。
まあ、国家体制の大変革の都度、漢字全廃やら英語あるいはフランス語化を
識者が唱えるものだから始末に負えない。

障礙
障碍
障害
障がい

漢字狩りあるいは言葉狩りは、此処まで文化を破壊したのですよ
一番正確な表現は、一番目。
ちょい難しいから略字を使えば、二番目ですが、常用漢字表にないから、やむなく三番目
害の漢字が差別的と言うことで、いまや、薄汚い混ぜ書き。

魯迅先生のご指摘を間違いとは言わない。
中国ならば致し方ないともおもうが、
ルビ書きと言う朝鮮民族発案の知恵を、朝鮮、倭国は活用し、
漢字制限と言う愚考を犯すことなく生きてきた訳だし、いまやIT技術は、難解漢字のハンドリングを容易にする。

中華四千年の文化文物を捨ててまで、採るべき路線とは思わない。
因みに、テツは鐵「カネの王なる哉」って書く。
カネを失う事ではない。
国家の基層素材である事の歴史的意義は正字でないと理解不能である。


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