2016年10月1日土曜日

改めて「WAVE」を




ハンナアーレントが、20世紀で最も重要な思想家に名を連ねるのは
全ての個人性(人間性或いは個性)を圧殺する全体主義は、自由を担保する法の支配を排除し、
テロルとイデオロギーを基層とする事を論証したことにある。
更に言えば、全体主義とは、ファシズム(ナチズム)のみならずコミュニズをも含めたことにある。
今ならば、そうなんだ!っていう論説であるが、1950年頃というのが、天才たる所以である。

たかが大衆娯楽批評に、ハンナアーレントを引用するとは大仰ですが、
かの映画を見た後、ネットの映画批評を拾い読むにいささか危険な匂いが......

こげな映画を見ようとか映画批評をかこうなんて「意識高い系」にきまっているが、
一番タチが悪くて、社会悪を流布させるのも彼らである。
啓蒙と称して、ライトにもレフトにも大衆を誘導する。

ヒトザルには、支配欲もあれば、帰属願望もある。
支配しながら帰属もしたいから、上下の支配従属階層社会が居心地がいい。
誰もが、ヒトラーにもヒムラーにもなり得るというのが昨今のナチズム映画の特徴だが、
スターリン、ベリアに置き換えても通用する。
加えて、毛沢東、周恩来でもいい。
が、誰もそう言わないだけだ。

60年代のアメリカのハイスクールでの実話らしいが、若干映画的脚色が激しい。
実際のところは、キャンパス内に蔓延したマインドコントロールの嵐は、瞬く間に消え果てたらしい。
実習の最後にナチスのドキュメンタリーを見せた事で、一気に熱は冷めたとの事。

しかし、短期間で燃え上がるある種の熱気のような空気の発生は絶えず繰り返される。
映画のように犠牲者を出す前に、

耳触りの良い情報操作には一歩立ち止まり、
数字で検証可能な事実のみを理性と論理で自己評価するって

悪意と不信のみが横行するこの忌まわしき世界よ......

プライムだと無料ですから、暇つぶし程度にはいいかも。
そんなに深刻な作りではなく、ホラー映画レベルである。

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