2017年2月20日月曜日

カジノの会計基準



IFRS(国際会計基準)に合致させることが正しいかどうかは別にしても、異なる会計基準で比較論証しても意味がない。
カジノ(賭博)の市場規模が会計基準の違いで大きく様相が変わるのであれば、ある意味で大きな問題ではある。

あちこちでまともっぽい論文が散見されるのですが、引用する側が無知なのかあえて眼を背けているのか知りませんが
どうも、導入推進派には後者が多そうに見受けられる。
曰く、パチンコの市場規模(20兆円とか25兆円とか)に比べるとカジノは「一桁少なく」影響度合いは少ない・・・・云々。
しかし、これは市場規模=売上高の認識の差異を無視した議論であって、同じものさしで比べるととんでもない世界が見えてくる。

売り上げとか売り上げがよってたつ原価の認識とはそう簡単なものではない。
簡単に言えば

グロス主義
ネット主義

の二つがあり、チップ(玉貸し料)の出払い額をもって売り上げとするのが前者で、
払戻金を控除するのが後者。
日本は伝統的に前者(企業会計基準の原則でもある)であり、ホールはもとより(建前は玉を貸し出す遊戯施設ということですから)
公営ギャンブルもそういう基準を採用している。
しかし、欧米のカジノは後者である。
したがって、どの程度の払戻金があるのか知りませんが、仮に80%とすれば、パチンコの「市場規模」なるものは4ないし6兆円に過ぎない。
逆に言えば、カジノの市場規模とはとんでもなく巨大なのです。


国際会計基準導入に際して、いわゆる「商社」がパニックになったのは、
古典的な商社のトレーダー事業とは「売り上げとは認められない」ということに尽きる。
理屈からすれば「売り上げよりも利益だ!といっても長年の習性は変わらない。
売上高の規模が営業マンの人格の優劣だと刷り込まれてきた以上、急に意識は変わらない・・・・
変わりたくないもんだから「売り上げあっての利益」なんて理屈にもならないことで弁明を始める(笑)

ホール経営者からすれば、我々は遊技場であって玉を貸し出すのが営業ですというだろうが、実態は三店方式による「合法的」出玉換金ビジネス
少なくとも顧客の90%は換金目的で「遊戯」をしているといわれている。
換金行為の合法か違法かに無関係に会計基準の原則からすれば「実態を見る」ということですからこの理屈は本当は通らない。

http://www.ptb.or.jp/06-pdf/ptb_accounting_st.pdf


さてカジノですが、基本法ができただけで、運営の細部は今後の立法に委ねられるが、そのころにはCPAの団体がちゃんとした基準をだすんでしょう。
そのときのルール次第ですが、IFRSに準拠となれば(少なくとも運営元は海外で実績あるカジノ業者ですから)、
既存の「合法」賭博業だって無関係とは言っておれなくなると思いますよ。





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