2017年2月22日水曜日

あの「黒い巨塔」のまえに・・・





医療関係者は「白衣」で、法曹界は「黒衣」
理由は様々らしいがさておき「巨塔」と名がつけばそれは権威である。
権威は、何かと批判の的になるが「雑音」なぞと切って捨ててはあまりよろしくない。
仰ぎ見るような権威であればあるほど、謙虚でなければならない。

衒学癖のある蝸牛は、ここで「晏子の御」なんかを得々と引用するのですが・・・これもさておき(笑)
裁判官・・・とりわけ最高裁判事の身分は手厚く保護されてますって、憲法を読めば読むほどそう思います。
それが良いことかって言われれば、ちょっと違うと思うのですよ。
なんちゃって一番強いのは国民自らの手で絶えず選ばれたり引きずり降ろされたりする権力の立場のことです。
参議院議員が衆議院議員の風下に立ち、総理大臣が慣例的に衆議院議員から選ばれるのもそれが所以である。
最高裁判事だって十年ごとの国民審査で罷免される事になっているが、複数回の審査の洗礼を受けたことも
罷免されたこともなく「形骸化」とはこれを言う。
真の司法権の権威の確立には、この部分の憲法改正が必要であり、焦眉の急・・だと力説するのは
蝸牛を筆頭にサイレントマイノリティだけである。

そうそう、裁判官弾劾裁判制度もありますが、これまた弾劾例は戦後では10件にも満たない。
それに・・・少女猥褻とかロクデモナイ。
そんな事案で弾劾される前に辞任しろよねえ・・・ヒトザルとしてのプライドも矜恃すらないんだなあ。
訴追請求は国民であれば誰でも出来るらしいし、結構な件数とも言われるが、つまらんチクリには興味がない。
裁判官の弾劾という以上、己の良心を偽った、独立して職務を遂行しなかった、憲法擁護に懈怠があった
なんて重大な規律違反が訴因じゃないとなあ。


三権としての司法の独立が担保されているのかどうかは・・・・部外者にはよくわかりません。
政権にとって致命的な違憲判決を出すと言うことがその証ならば、残念ですがそうとも言えなくもない。
怒鳴る奴の大統領令に反旗をひるがえすアメリカンの地裁高裁。
最高裁はどうかは知りませんが、それなりの司法の矜恃だという声が高いが...


リーガルミステリーや法廷小説は数多あります。
しかし、司法のシステム自体をマトにするフィクションは少ない。
作家の怠慢あるいは怯懦なんでしょう。

その意味で「法服の王国」は画期的だった(その理由は様々で、過去のブログでも見てください)
そして・・・・「黒い巨塔」
でも、なんだか読む前にオチが分かるって感じもしましてねえ・・・それにまだ廉価な文庫本がないし(笑)
とりあえず、同一作者の新書エッセイでネタにします。




瀬木比呂志

略歴からしてもトンデモナイ司法エリート(退官してますから過去形)
旧司法試験現役合格
赤門大学卒業
東京地裁配属
アメリカ留学
最高裁事務総局
最高裁調査官

あちこち地方の裁判所を転々ともしてますが、なんとも煌びやかな職歴
たった四十名位の実質最高裁判事である最高裁調査官をやれば
確実に偉くなれるのに、どうして大学教授に転じたのかなあ?
言いたい事が山とあるからって言う新書。
そんじょそこらの外野の売文の徒じゃないから
迫力あります。


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