2025年4月21日月曜日

新訳で読む

 



文体や使用する言辞には、古びてしまい読むに堪えないってママあります。
今時は「葡萄酒」なんて誰も使わないからやはり「ワイン」と訳して欲しい、、、とか


同じ事は、原典が日本語であっても同じ事。

王朝古典には「現代語訳」版があるのだから、明治や大正期の文学作品でも同じことをやれば、少しは名作に親しんでもらえるように、、、なるかな?

しかし、一葉の擬古文や猫(漱石)を今風文体で読むかと言われれば、、、、



エドマクベインのキングの身代金(87分署シリーズ)に新訳が出ました。

着想なりプロットの斬新さもあり、シリーズ屈指の人気作品

それに黒澤明の「天国と地獄」の原作としても知られる。



ストーリーそのものは今更再説の必要もないが、製靴会社の経営権を巡る争いや人質の取り違い、作品の底にある「格差」なんかは原作のまま。

人質誘拐犯罪で一番難事な身代金の受渡方法に、製作陣は相当に知恵を絞った事が窺い知れます。

しかし、テクノロジーの進化からして、せっかくの苦心のアイデアはいまとなっては生かしようがない。


原作と映画版の大きな違いは、結末部分

製靴会社の株式買占めの成否はさておき、犯人グループの顛末については、、、、原作の展開は相当に不自然だし、映画版は外連味が多すぎます。



アタシが監督ならば、、、


人質となった運転手の子供の命よりも株式買占めの成否の方が大事なので、邪険にも要求は無視

身代金強奪が成功しそうもないため、犯人は人質を解放し、逃亡行方不明になり事件は迷宮入り

しかし、晴れて製靴会社の社長に収まったものの、子供の命を危うくしかねなかった判断からその製靴会社の製品は市場からボイコットされ経営危機。

一転して天国から地獄へ。

犯人であるインターンが今も毎日安アパートから見上げる高台の豪邸は、住む人もなく廃墟になりつつある、、、、



映画は、63年のキネ旬ランキングの第二位(オールタイムベストランキングでも第九位)と秀作の評価なんですが、私家版ならば、更に高い評価が得られる、、、かなあ(^^)




1 件のコメント:

  1. この映画なかりせば吉展はまだ生きていたでしょうね

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