2025年5月10日土曜日

あやめ しょうぶ かきつばた

 


ネットからお借りしてきました3枚の写真のうちの一枚。あやめかしょうぶか杜若か判然としない。
それぞれに花の名前が書いてましたが、並べればどれがどれだか

しょうぶは「尚武または勝負」が連想され宮廷貴族が好むようなものではないし、かきつばたは伊勢物語東下りの段ばかりが有名なだけ。
結果的にあやめが一番の歌題
しかし、あやめの姿形や香りを愛でているのではなく掛け言葉としての便利さでポイントを稼いだ。


ほととぎすなくや
五月のあやめぐさ
あやめも知らぬ戀もするかな(古今 読人不知)

上の句は単なる序詞、あやめも知らずとは「分別のないとか筋の通らない」というニュアンス。人妻とのドロドロとかJKに溺れるなんかを想像してもいいが、初夏に不如帰が鳴き菖蒲が咲きほこる風景なんだから、もうすこし清冽感ある恋を思い浮かぶるほうがいい。

後世の数ある本歌取りから、、、

うちしめり
あやめぞかをる
ほととぎす鳴くや五月の雨の夕暮れ(新古今 良経)

あやめ知らずな戀歌が瑞々しくも爽やかな季節詠にばけてしまった。
品位ある天才歌人はやはり違いますし、原典は未確認ながら「定家仮名遣い」だと「かほる」となる。

どっちが正しいではなく、仮名遣いは多様なの

折角だから「ことば遊び」ではない真っ当な杜若の和歌



勇壮な、、、まるで人麻呂をおもいださせるような....でもあの軟弱な家持の名作なんです。

杜若の花染め....青紫色でしょうなあ、その衣装に着込んだ若者たちがハンティングを「競う」季節になったよ。

でも万葉集学的には、鹿狩りではなく薬草狩りだそうです。やっぱり家持なんだから武ばった歌ではなかったわ。名門大伴一門は尚武の家柄なんだが、ご当主はなよなよした和歌の芸だけに長けているのがよく分かります。


2025年5月9日金曜日

何も事件めいたことが起きないのに、ページを繰る手が止まらない

 



小説なりの批評として、ある種の最高の褒め言葉。
サマセット・モームが「高慢と偏見」を世界十大小説の二番目に選んだ理由をこう言っている。


この「十冊の選別結果」には、objection  と声を挙げたいが、このオースティンの恋愛(今時の表現ならば婚活)小説はこのジャンルの白眉だし、その対極に不倫小説の最高峰の「ボヴァリー夫人」を配置すれば、後にもう風俗小説は要らない。


高慢と偏見は、映像化は勿論、数多の翻案小説がありますが「事件が起きればもっと読者を惹きつける」と小賢しく考えたのが、、、、


P・D・ジェイムス女史の「高慢と偏見、そして殺人」


実に面白い!

アマプラで動画配信があるらしいが、オリジナルの雰囲気なり文体や風俗をそのままに味わう方が良いと思います。

恒例の舞踏会の前夜にダーシー一家の大邸宅(ペンバリー館)の敷地の一角で悍ましい殺人事件が発生する。

地縁血縁の中での因縁ありげなさまざまな登場人物の愛憎の関係は、オリジナルを読んでいる事を前提としていますから、全くの白紙状態だと面白さの奥底は分かりにくい。


ミステリーのネタバレはマナー違反だから、あまり語ることはない。

ダーシー家の女主人はベネット家の次女エリザベス

三女のリディアはエリザベスの元カレのウィッカムと駆け落ちの果て、不仲ではあるが幼馴染みのダーシーの金銭的支援で正式に結婚。

二人はペンバリー館に出入り禁止だが、夜中にウィッカムの友人のデニーを連れて押しかけてくる途中に事件は起きる。

被害者はデニー

ウィッカムは最有力容疑者

貴賤都鄙が注目する中、裁判が始まる、、、、



To be continued 




2025年5月8日木曜日

器もお値段のうち

 



なんでも値上げが当たり前の昨今、供給する側も当たり前って悪びれない感じが苛立たしい
来月からこんだけ上がります報道は聞き飽きたし不愉快になるから、一年前から価格据置の商品はこれです!!
なんでやらないのかねえ?


カウンターの真ん中に座り、板前の技を鑑賞する、、、これもお値段の内数

ならば、器だって然りだ。


いきつけ、、、というにはあまりにもエクスベンシブな小料理屋さん

呆れ返るほどの「器持ち」

きっと、自宅には専用のお道具部屋があるに違いない。






右上の小さな器の蓋は兜です。

下は、和弓の矢羽様式



今時ですから、杜若や端午の節句テイストの器

月替わりな御献立でも、この時期にしか使えない器が登場します

本気で、一年でこの一週間しか出番がないって小道具に凝るのが板前の羽飾り(キラキラふりがなでは、ココロイキ)


さて、アタシの今の時期は花水木柄のピンクのネクタイ

でも、そもそもネクタイを絞めなくなったから、出番の日数云々以前だ



2025年5月7日水曜日

エンジニアリングの魂が、なくなったとき

 


If it's not Boeing I'm not going


まだ、資本主義が牧歌的な時代

ドイツ移民の若者であったボーイング君は、シアトルの地で、材木業で小金を貯めてヨット製作から黎明期の飛行機製造とエンジニアとして事業の拡大をはかっていた。

安全性の高さや厳格な品質には定評があり、航空機業界の雄としてその地位は盤石となり圧倒的な顧客の信頼、、、ロッキード社は民間機からは撤退。マクドネル・ダグラス社を吸収合併、、、したまでは良かったが、それが間違いの始まり。

どういう策謀があったのか知らないが、庇を貸して母屋を取られてしまった。


MD社もエアークラフト会社としては一流なんだったのだが、経営陣がウェルチ教の信者ばかり。

今時、GEのジャックウェルチを最高の経営者と持ちあげる経済学者はまずいないし、ウェルチの経営哲学を信奉して会社を潰した例は数多あり、肝心のGEがダウ銘柄から転落する有様。エジソン以来のものづくりの会社が金融で手っ取り早く利益を出すような事に腐心するようになれば、末路は見えたようなもの


ウェルチ教信者のCEOに牛耳られたボーイング社は、エンジニア気質でアットホームで闊達なファミリー体質を失い、、、、


ロビイングで面倒な規制を緩和

厳格な開発手順の手抜き

おざなりな品質管理

異を唱えるクラフトマンの放逐

金融工学的テクニックでEPSの嵩上げ


その結果、泥縄開発の737MAXで連続しての墜落事故が2018から2019年に発生した。

新興国での事故の為、操縦ミスやらなんやら機材に不備はないと強弁したが、、、天網恢々

しかし、いろんな力学が働いたんでしょう。

未だ現役機として、運航中(当然不具合は補正しているとボーイング社は言ってますが、、、

疑心暗鬼にかられる乗客からは未だに、搭乗手続きの際に機材の確認を求められるらしい。


If it's Boeing I'm not going


さらりと斜め読み。

真剣に行間まで読むほどのものでもないし、築地の嫌日新聞社の記者の著作だから、中身のある部分は懐疑的

そういえば、御巣鷹山の悲惨な事故もボーイングの機体欠陥と整備不良だったんだって?

昨今話題の「陰謀説」は歯牙にもかけないが、わざわざ国会で取り上げると、さらに売れるじゃないか


not going っていいたいが、いまや民間機のエアークラフトは世界に二社しかないんだよ。






2025年5月6日火曜日

一滴でもカラダに悪い

 



さまざまな研究報告では「百害あって一利なし」と決めつけています。

しかし「百害」とは言葉の使い方として不正確極まりない。


倭人の死因は、癌、心疾患、老衰、、、が上位ランキングだ。飲酒量に関わらず癌発症リスクは高くなるとされる。

しかし、死亡原因である癌の割合は全体の四分の一に過ぎず、酒を呑むと心疾患や老衰リスクが高まる、、、なんて聞きたことがない。

それにもはや癌は死病でもない。

早期発見早期治療を心掛けないから、助かる命が助からないだけのはなし。


また、酒と煙草は付きものだが、いまや倭人の喫煙者は四分の一だし、非喫煙者は飲酒量と癌発生率の因果関係は認めらないという報告もあるそうだ。



加えて「一利なし」もあまりに乱暴な話し。

いまや無視できない「社会的孤立」

オックスフォード大の研究チームの報告では、、、


定期的にパブに出没する御仁は、社会的ネットワークが広くて生活満足感も高い傾向にある


定性的なはなしだが、皮膚感覚では実によくわかります。

立派な研究報告なんだろうが、読み方を間違えると誤謬を生む。



例えば、、、陶淵明の「勧学」なる有名な漢詩の全文。一般には最後の四節だけが知られています。

曰く、、、寸暇を惜しみ勉学に励めよ!


しかし、全体を鳥瞰すれば、誤読だとすぐに分かります(^^)

この詩は「斗酒聚比鄰」の句がいのちです。

勉励って、一生懸命に勉強しろではなくて「近隣を集めて大酒を呑むことに励めよ」ってことなんですよ







2025年5月5日月曜日

AIが判決を書く

 



近未来の判決支援ロボットがもたらす葛藤とか恐怖をテーマとするお手軽ミステリー



煩雑な事務手続と膨大な件数の果ては慢性的な要員不足から来る司法現場の疲弊と、長期化する裁判に付き合わされる被告やら当事者だってたまったものじゃないし、それらは無駄で多大な社会コストだ。
民事にせよ刑事にせよ大半は争点のない単純なもの。
だからと言って手抜きが許される訳はない。
かかるが故に、論点整理なり判決文を書くまでの作業をAIにサポートしてくれればどんなに有難いか。
一歩踏み出せば、罪状如何ではAIに判決を書いてもらってなにが悪い(その結果の是非判断は裁判官がやる、、、はずだから。あくまでもダカラ)

お手軽ミステリーだから、オチも単純
東京地裁が採用しようとする判決AIの名は「法神」
明らかに中華っぽい
中共製ITはバックドアが仕込まれていると考えるのが常識なんだが、意図的な廉価商法に騙される馬鹿が後をたたない。

裁判所よ、オマエモカ(^^)

現実には、そんな時代がいつ来るとも想像がつかないし、、、幼稚程度のIT化でも甲論乙駁で時間ばかりが、、、

憲法記念日での最高裁長官談話では、AI活用に積極的のように聞こえますが、実際の発言は「非現実的ときって捨てて」ます。



そんな事よりも、規範力のない民事の判決の実効性をなんとかせんかいな。

賠償判決がでても実際に回収が出来ない現実は法治国家にあるまじきこと。

刑事罰としての罰金や科料が未払いだと、労役場での強制労働が課せられます。同じ事を民事でもやればいいだけのことなのよ。

ローマ法には、ちゃんと債務奴隷って概念がありました


2025年5月4日日曜日

ふたりの「式部」

 




和泉式部と紫式部は、上東門院(中宮彰子)に仕える住み込みのキャリアウーマン仲間で親しくしてはいたが、実のところは、、、、、誉めながらも結構貶しています。


レディムラサキは、歌が下手だし(アタシは必ずしもそうは思わないが)恋の駆け引きにも敵わないから、余計に辛辣な物言い、、、紫式部日記には、そのように書いてます。



和泉式部のオトコ出入りがどんだけ激しかったのか、、、と言われれば、記録に見えるだけならばそうたいしたことはないんですがね(^^)


正式な夫がいますが、地方官として単身赴任中

その間に最初(?)の不倫の相手が某親王さま。

身分違いなこともあり派手なスキャンダルになったらしい。親王さまは夭折しちゃうのですが、早々にその後釜が親王さまの弟君ですから、さらに輪をかけ、、、、



その二人の贈答歌(後朝の和歌とその御返し)


恋といへば

世の常のとや 思ふらん

今朝のこころはたぐいだになし(敦道親王)


世の常のことともさらに

思ほえず

はじめてものを思ふあしたは(和泉式部)


はじめての一夜の翌朝そうそうに気持ちをこめて一首をオトコからオンナへ、、、が当時の習わし

オンナも返しの和歌を贈るのだが、本歌取みたいに本歌の字句や雰囲気を巧く取り入れるが王道。

当然、当人が詠むものだが、お付きの誰かの代筆もあり得ます。



恋なんてそんじょそこいらに当たり前にあるって思われますが、アタシの今朝の気持ちはいいようのない切なさなんですよ


オンナが喜ぶように詠むのは当然ですが、だからってアタシもそうなんです、、、なんて返しは歌人の名折れ

世の中の恋ってどんなんだかアタシってよく知りませんの。なんちゃってこんな気持ちって初めてだし、、、


ウブを装って白々しくよく言いますねえ

分かりきったことながら、こんなウソにオトコは弱い。



和泉式部の晩年はよくわかりませんが、十一世紀はじめ頃に逝去

正式に再婚をしており、二番目の夫は歌人よりも武人として名前が知られます。

この夫も地方官を歴任していますが、和泉式部は丹後の国までくっついて行った、、、新鮮な鰯をたらふく食べたかったからだろうって

下魚である鰯が大好きって、はしたないと言われるのですが、式部は大好き。

でも、同じ式部でも、紫式部って説もあります。


2025年5月3日土曜日

世界史の教科書

 


この「目から鱗」らしい編纂方法の著書は、現役の高校の先生、ユーチューバーで人気が出たらしくとうとう書籍刊行まで。

地方公務員って「職務専念義務」があるはずだが、、、、まあ許可を取ればなんら問題のない副業の範囲だ。


こんなお手軽をウリにするような書籍は普通は絶対に買わないアタシ。

たまたまブックオフで、安く見つけましたから(^^)


辛辣に言えば、アタマの良い中学生相手ならば実によく出来ています。彼らならば「一度読んだら」忘れないだろう。無論、アタシだって目から鱗って史実や視座もありましたから、感謝はしています


確かに「世界」史の教科書って構成が難しい。年代輪切りする通常のやり方は、縦軸である地域の史的動きがわからなくなる。かと言って、、、エリアごとの歴史書は、山川が半世紀前から「各国史シリーズ」と称して刊行していますが、あまり話題にならない。


この著書のアイデアは、大航海時代まではエリア毎に、以降は年代の輪切り。

世界史とはズバリ国際的「交流史」だと思えば間違いではない。

しかし、没交渉でも世界とかけ離れた有様はそれ自体が時代の判断になる。だっから「年号が登場しない」って、アタシにはたえがたいし、そもそも年代とか世紀はベンチマークだ。

鎖国だっただろう時代、近松が健筆を奮っていた頃、極西の島国にも大戯曲作家がいたって、、、知れば歴史の偶然だか必然に身震いがする。


歴史の醍醐味は、東西交流のダイナミズムな歴史。

ある先生(京都の大学の史学科の卒業生)によれば先生の母校での大学の残り方で自ずと序列がわかる。

最優等の院生は、東西交流史

優等は、中国史

あとは、、、まあ武士の情けだから口をつぐむ(^^)


かと言って、学問の世界で名をなすのは中国史専攻の先生方。

東西交流史ってとんでもなくハードルが高い。

あの広いエリアに関する言語、歴史、文化等に通じた万能人でなければ、歯が立たない、、、はず。


その意味で、国史(今は日本史といいます)だって他国史(交流の有無に関わらず)に触れないってあんまりだ。

倭國には、北鮮みたいな鎖国の歴史はない。

絶えず、中韓の文物や人的交流、、、影響の程度はさまざまだが、それらを糧にしてきた。

へり下り学ぶことである時期には東アジアの盟主になれたのです。


歴史は鑑だ。

ことさらに「三鑑の教え」なんて言わないが、古をもって鏡とせば興亡を知ることができるのは、時代が変わろうと真理だと信じて疑わない。



2025年5月2日金曜日

マクラさまざま

 


世の中には、枕なしでおねんねされる方もおられるらしいが、アタシには無理。

寝つきは良い方だから、アレコレ枕素材を吟味する趣味もない。適当な高さと弾力性さえあれば、、、、

実のところは、蕎麦殻素材に慣れ親しんできたから、コレが一番なんだが、虫が湧くとかアレルギーだとか昨今は評判が悪い。



漢籍や和古典を眺めていると、、、

木枕

石枕 なんかにも遭遇する。

漱石枕流(西晋の孫楚の故事)なんかは、夏目金之助のペンネームの由来だし、さすがなる副詞に漢字をあてれば「流石」ともなるが、、、アタシは現物を見たことはない。


木素材の枕ならば、、、



王朝古典では「つげのまくら」が登場しますが、これも見たことがない。

アマゾンでは木枕は買えますが、桐、竹、檜、杉、、、黄楊は皆目

しかし、高貴な式子内親王(後白河院の皇女)は


我が恋はしるひともなし

せく床の泪

もらすな つげのおまくら(新古今集 巻十一)


と詠じておられますから、実際にお使いになっておられたのかな?


余計な講釈ですが、アタシはむかしは「しきし」とよんでましたが、塚本邦雄の著作では「しょくし」

また、丸谷才一さんは「のりこ」

高貴な方の漢字の振り仮名は実に難しい、、、、


内親王は秘めたる恋の真っ最中

うまくことが運ばないのだろうか、涙でゆかは水びたし

あたしの枕ちゃんってばあ、あちこちに毎日涙ぐんでるってウワサひろげたり、告げ口したりしたら怒るからね


俗っぽい現代語訳ならこんな感じ

要するに「黄楊と告げ」の掛け言葉がイノチな一首で、彼女にしては普通の出来


逆に、言いふらして欲しいとか伝えて欲しいという意味の「つげのまくら」もあるようです。


ひとりぬる

こころはいまもわすれずと

つけのまくらは

君に知らせよ(古今和歌六帖)


まくらの使い方もさまざま

マクラ営業とかマクラ芸者と言えば、いささかシナサガルが、ひざまくらとなれば、なんだか羨ましいとか微笑ましい