2015年9月9日水曜日

偽善者あるいは露悪家もしくは偽悪者



狡猾なくせに善人を装う不逞の徒
心優しいくせに敢えて悪人を装う屈曲した心根の持ち主

いまどきどっちも流行りません。
とりわけ偽悪家に至っては・・・そもそも的に漱石の世界に登場する
人物像。
西洋と東洋の狭間の葛藤での悩める魂が生み出した精神構造
哲学しない現代人には無関係なライフスタイル。
ちょいワルくらいを想像するのが精一杯ってところが、けだし今風(笑)

優しすぎる心の痛みを鎧兜で覆い尽くしって容易に想像がつくが、あえて・・・
連帯を求めずして孤独を恐れず・・・とは、チャンドラー言うところの
ハードボイルドなのです。

ブルックリンに独り住まいのビンセント。
正確には同居人は白猫だけ。
ベトナム戦争の英雄だったが、いまや、酒に競馬びたりの偏屈者
隣人として引っ越してきたのは、いじめられっ子の小学生

分別臭い年寄りにこまっしゃくれたガキと小動物
単体でもおぞましい素材がセットで登場する。
後は、デブの母親に妊婦ストリッパー・・・・
そうそう、十年近く認知症で夫の顔も忘れた主人公の妻も登場します。
ここんところの交流は泣かせます。
張芸謀の「妻への家路」に匹敵する。

異化同化とはよくいったもの。
映画要素として一番嫌いな、笑いと涙と感動・・・・の小品

お勧めはしませんが、ウォームハートになりたいって「偽善者」は映画館へ・・・


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