2018年2月10日土曜日

本当は恐ろしい「呉越同舟」



百家争鳴の時代
素晴らしい教説も賛同者がいてのこと。
説得し賛同させるには修辞学の知識が欠かせない。
巧みな比喩こそその最たるもの。

呉越同舟とは、利害は怨讐を超えるの比喩であるが、
実態はそんな生易しいものではない。
守株....待ちぼうけと言えば長閑だが、韓非はそんなお伽話をしたわけではない。


春秋時代
呉国と越国は代々血で血を洗う諍いを繰り返して来た不倶戴天の仇同士
利害が一致なんてあり得ないが、韓非によればありえたらしい。


圧倒的劣勢に立った呉国
呉国のある重臣が、密かに越国の大臣に密書を送る。
曰く

狡兎死して良狗烹らる

今では史記の韓信伝で有名な成句だが、斯様な比喩は中華の伝統
呉国はこのままでは滅亡する。
滅亡すれば貴臣は不要として駆逐されるは必定
我が身の為と思って助けてくれ
なんとも己達の利害の為にはなんでもあり(^^)
国家目標よりも保身が大事
相手の保身を教唆しつつ自分を守る狡猾さ
事実どう君主を騙くらかした知りませんが、首皮一枚で呉国は助かります。

後日談に
最終的には後年越国の勾践王の代に呉国は滅亡
勲功多大な謀臣范蠡は、さっさと辞表を書いて夜逃げ同然に逃亡します。
名を陶朱庵じゃなくて朱公と変えて商人になり
天寿をまっとうしたとされます。
多額の褒賞をもらっても、一族郎党獄門晒し首じゃ割りが合わない。

まあ分かりやすい話で、東シナ海に波風が立てば、海自に予算が回る。
893が跋扈すれば、オマワリが蔓延る。
敵対勢力は適当に転がしておくのが、飯の種(^^)
正義感に駆られて粉骨砕身努力なんかしないのが、
世渡り上手ってもんです。

部下って所詮はそんなもんですから、
上に立つ者たるやくれぐれもご用心。

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