2025年8月3日日曜日

新しい階級社会

 


橋本健二氏(早稲田大教授)の著作(講談社現代新書)をつまみ読む。多岐な統計データの解釈(解説)本であり、雑誌記者ならおどろおどろしく雑文にするのだろうが、さすがにアカデミックの矩を越えることはない。つまり、堅苦しくて読みにくいのです(^^)


で、アタシがかいつまんでサミングアップしてみてもいいのですが、、、熟読に値しますから買うなり借りるなりする方をお勧めします。しかし、辛気臭くて気が滅入る内容ですから、お手軽に要約ポイントを



とまあ、要点3の後段はともかくとしてこんな感じ


世の中には必ず「ブルジョアとプロレタリア」が存在するし、どちらも必要な機能の存在だ。

資本家だけ労働者だけでは経済は回らない。

問題は、世代間階級移動がそれなりに行われているかどうかである。それなりには行われているが、高度成長期終焉以降その移動が停滞し、階級の固定化が顕著だと著者はいいます。若い世代はそれを皮膚感覚で感じ取り「親ガチャ」と諦観と卑下感をもって共感するのです。


バブル全盛期、フリーターと称する新しいワークスタイルを持ち上げた連中はその罪万死に値する。自由な働き方とは不安定な働き方であり、労働組合も労働法制もろくに守ってくれず、悲惨な労働条件に甘んじざるを得ない。結婚も出来ない子供も持てないとは生存の再生産すら許されない存在だと、、、これはマルクスエンゲルスすら想像出来なかった事であり、それがアンダークラスとして無視出来ない規模となっている(更にそのアンダーにガストアルバイターが二百万人もいます)


政治はアンダークラスを支援してるんだかよく分からないが、少なくとも彼らの政治参加度は各階層で一番低いらしい。だから、政治を見捨てた有権者に政治は冷たいことからして想像はつきます。


憲法をどうするか?防衛政策の有り様は?、、なんてはなしは甲論乙駁。口角泡を飛ばして議論すればいいが、格差の固定化が、持続可能な社会にとって良いわけがない事には論をまたない、、、筈だが

難儀な事に、昨今は「新自由主義的右翼」が跋扈し

自己責任論を振りかざし、それを甘やかす一定勢力がいるから始末に負えない。

倭國の背骨とはマスとしての健全な中産階級であったという歴史的事実すら忘れてしまったのか


案外、新自由主義的右翼はアンダークラスは生存再生産が出来ないのだから、早晩消えてなくなりその穴はガストアルバイターで埋めればいいとでも楽観視しているなら、とんでもないはなしだ。

彼らは排外主義者でもあるから、排外主義が跳梁すれば、ガストアルバイターは他の国に行く。

国際的な「資源」の争奪には人材も含まれます。

高い頭脳の留学生を好条件で釣り上げる事を悪いとまでは言わないが、下層の3K職種の担い手だって居なくていい訳じゃない。

それをアンダークラス以下に搾取したりすればソリャ犯罪にだって走るし、そもそもロクな人財が来るわけがない。




1 件のコメント:

  1. この本はこうなった原因についての記述はあるんでしょうか?
    野口悠紀雄さんが「戦後日本経済史」を上梓してますが、これも原因究明がイマイチ…
    先の大戦と同じく、経済戦争において大本営が「過ち」を繰り返し続けたことによる官製不況と考えています。
    不動産融資総量規制と量的・質的金融緩和のふたつが最たるもの。その間に絶妙のタイミングで消費税導入、税率UP等々。お蔭でまた3等国に成り下がりました。

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