2019年4月12日金曜日

2011.7.22(ウトヤ島)



これでも学士(法学)の端くれだし、なんの権威もない
学位だが、最低限の刑法理論くらいはまだ覚えている。
曰く...

疑わしくは被疑者の利益に

このプリンシプルから演繹すれば

一事不再理
罪刑法定主義
遡及処罰禁止
残酷な刑罰禁止

くらいは当然だと百も承知だが、こればかりは...


ノルウェーのウトヤ島の惨劇は...あった事は知っていたが、
まず、犯人の極右主義者はオスロの政府政庁爆破テロをやり、
二時間後に湖中のウトヤ島のキャンプ場を襲撃。
犠牲者はリベラル政党主催のイベントに参加した若者たち77人。

この国は「先進」国ですから、死刑制度はなく、禁錮刑も温和
労働刑はないはずです。

これだけのことをやらかしても、最短十年、最長でも二十年程度の収監という不定期刑
きっと刑務所も施錠のない三食昼寝付きに冷暖房完備のカンタファタブルに違いない。
50歳くらいで晴れて釈放でしょう。
公判中も、反省も悔悟の念も示さず
今同様の移民政策を継続するなら、再び...と公言していたらしい。


テロリズムに対する法秩序の敗北だと知りつつも

特例死刑制度を復活
一事不再理も遡及処罰ルールを排除
車裂きかノコギリ引きで、公開処刑

なんて世論が巻き起きたりしないのが「先進国の民度」なんですなあ。
アタシって民度低いから声を大にして言いますがね。


映画的には、72分間の惨劇を90分のワンカットフィクションに
仕立て上げた。
カメ止めの40分のワンカットを絶賛するのは...
余りに鑑賞力が低いのです。
この手の素材は調理方法が難しい。
犯人の狂気を描いてもいいし、
死屍累々たるスプラッター仕上げも可能
なにが起きているのか?犯人は誰か?全く分からないホラーテイストもあり。
無論、不条理な悲劇が王道

若い女性が、行方不明になった妹を
逃げ惑いながらも探し出そうとし、
やっと再会しそうになって射殺される...

だけのワンカット映画です。
犯人はかすかな遠景だけて、絶え間ない銃声だけの
緊張感を保たせるのはかなりな力量
民度が高いとテロリズムへの憎悪を殊更にかきたてるような
作り方もしない。
だから、犯人の顔も名前もまだしらない。


その程度の民度のアタシが、四月十四日の能舞台では、
理不尽にも若い漁夫を惨殺した佐々木盛綱の役柄で
悲嘆にくれるその老母に向かって....


あら不憫やな
今は怨みても 甲斐なきことにてあるぞ
かの者の跡をもとむらい...


なんてぬけぬけとさとすのですよ(^.^)
激情にかられた応報的なパニッシュメントをおこなえば、
犯人は英雄になりかねないし、テロリズムが根絶される訳でもないし、
失われた尊い命が帰ってくるわけではないが...

ずっしりと重みだけを背負わされたような映像作品は
苦手だなあ。



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