2019年4月27日土曜日

ヌーボーロマン



つまり「新しい小説」なのですが、
新しいと言っても50から60年代の事です。
今となっては古臭く...じゃなくて、現代的な小説の技法として
当たり前のように使われています。

時間軸を無視し、心理描写が失落した実験的前衛的な小説。
だからといって読みにくいわけではない。
古典的なフランス恋愛(つまり不義密通反道徳)小説は
理屈が多くて、ある意味こっちが食いつきやすい。

しかし、実存主義を背景とする不条理文学は、
サルトル、カミュなるスター作家のお陰で、一世を風靡して.!.
いまは跡形もなく消えた。
カミュは嬉々としてノーベル賞も貰い、
サルトルは、憤然と辞退。哲学者を自負する以上、
オンナコドモの読み物の栄典に輝く訳にはいかない...らしい。
ともあれ、昨今は誰も読まない。

他方ヌーボーロマンは、思想的背景があるわけではなく、
単に新しいというだけで、ヌーベルバーグ同様に時代のファッション
両者はクロスオーバーする事が多く...というか
ロブグリエやデュラスなんかは両刀遣い。
映画のおかげで、ヌーボーロマンの盛名がもっているようなもの。

二十世紀の文学は、ノーベル賞作品(作家)はスルーに
如かず...ですから、歯牙にもかけてもらわなかった
ヌーボーロマンとやらも、遅ればせながら読んでみた。


消しゴム(アランロブグリエ)


ある種のフレンチノワールロマンです。
今時のハードボイルドではないが、異様な乾度

疑惑の要人連続変死事件を背景に、特捜調査官の登場
教授は暗殺者に射殺...されたか負傷だけか?
実は自殺かも(あるいは自殺未遂?)
教授の「死体」は行方不明に
検視した主治医の不可解な行動
近所のカフェの主人は何を見た?
地元警察署長は、地道に真相の糸をたぐる...

なんて感じのありふれたひとつの事件ですが
何度も重層的に楽しめる。
どうして映画化しなかったのか不思議な作品である(未公開なだけかも?)

フランソワ・オゾンなんかが監督をやれば面白い。

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