2017年6月23日金曜日

熟議を重ねるということ





時間をかけて長々と議論をすれば良いってことでもない。

あの「テロ等準備罪」ですが、衆議院の法務委員会では30時間以上も審議したらしい。
これを「も」というか「しか」と思うかは立場次第。
世の中には、拙速を尊ぶとも、なんとかの考え休むにしかず・・・ともいう。


米国愛国者法(USA PATRIOT Act)は、2001年10月26日に大統領が署名発効しましたが、
なんと議会に提案されたのがその三日前!
きっかけは9月11日の「テロ」ですから、なんとも拙速です。
よくぞ短期間でこれだけのことが・・・(事前に準備していたとか陰謀論も・・)
一番時間がかかったのが、法律名称のごろ合わせだったに違いない(笑)
多くの市民が騙されたような・・・俗に「米国愛国者法」と言われますが、

2001年のテロリズムの阻止と回避のために必要な適切な手段を提供することによりアメリカを統合し強化するための法律  が正式な名称。

英語原文だと

Uniting and Strengthening America by Providing Appropriate Tools Required to Intercept and Obstruct Terrorism Act of 2001

USA Patriot Act とは、単語の頭文字の羅列である(なかなかよくできてますし、国民の琴線に触れる)
幸いにしてというべきか不幸にしてか・・・は微妙ですが、この法律はサンセット条項付きでしたので最近失効したはずです。
まあ、物議をかます法案はどさくさに紛れてというのが鉄則ですので・・・


治安維持法に比定するってのが反対派のおなじみの論調ですが、
この法律の経緯に関してよく知らない向きが多い(実は蝸牛庵も誤解していた)
一般に教科書的に言われるのは「普通選挙法成立との抱き合わせ」ですが、
これは間違いとは言わないがきわめて不正確。
正しく言えば関東大震災の際の勅令「治安維持令」を法律にしただけです。
この勅令は9月7日に発令されています(この程度が災害発生の六日後ですから時間かかってます)
流言飛語防止等社会の安寧のための緊急措置(治安維持法が施行されるまで有効だった!)ということになっていますが・・・
これがなんとも立憲政治にももとるひどい内容で


治安維持ノ為ニスル罰則ニ関スル件(正式名称がこれ)

出版通信其ノ他何等ノ方法ヲ以テスルヲ問ハス
暴行騒擾其ノ他生命身体若ハ財産ニ危害ヲ及ホスヘキ犯罪ヲ煽動シ
安寧秩序ヲ紊乱スル目的ヲ以テ治安ヲ害スル事項ヲ流布
シ又ハ人心ヲ惑乱スル目的ヲ以テ流言浮説ヲナシタル者ハ
十年以下ノ懲役若ハ禁錮又ハ三千円以下ノ罰金ニ処ス


政権にとって都合の悪いことはなんでもかんでも投網でしょっ引けるって建付けです。
この勅令は「緊急勅令」ですから、次の議会で承認が必要であり、どの程度「熟議」されたか知りませんが承認されました。
この時に廃止でもしておけば、治安維持法があの形で法律となっかかどうかは・・・わからない。


要は、objectionってタイミング次第で有効ですが、そうでないなら単なる時間の浪費だということです。


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