2016年1月14日木曜日

贋作師の「欲望」

芸術的願望って・・・自己顕示欲の言い換えでしょうって。
自己顕示欲をさらに因数分解すれば、物欲と自己実現欲

特段、金銭欲があるわけじゃない。
あってもいいが、それは二流のなせる技。
金は唸るほどあってもいいが、札束でホッペ引っ叩かなくとも、
ギラギラした自己実現欲だけでもオンナなんかが擦り寄るって、これぞ、芸術的願望。

オランダだったかベルギーだかのメーヘレンのエピソードは、かつてネタにしました。
生涯で、贋作で数十億円は稼いだらしい。
意地汚い犯罪者に過ぎないが、ゲーリングにフェルメールの贋作を売りつけたことで一躍英雄になってしまった。
贋作者とは言え、芸術家の端くれ。
歪んだ形とは言え、芸術的願望はある。

しかし・・・・マークランディスの場合はどうなのか?
世の中、メクラ千人って良くわかりますなあ。
彼は30年あまりの間、全米の数十箇所の美術館に自家製造の贋作を寄贈し続けた。

さもしいものですねえ
篤志家の寄贈品と思えば、ろくに鑑定評価もしない。
キューレーターだか、アートアナリストの技量たるや、おはこが知れます。
でも、いったいどこで贋作の技術を身につけたのか・・・疑問まみれ。
単に素描の模倣ならば、ある程度訓練すれば誰でもできそうだ。
贋作となれば、その当時のキャンバス、絵の具なんかをかきあつめ・・・
これって大変な労力であり、画力以上のものが求められる。

マークのやったことは犯罪なのか・・・すこし微妙。
美術館を詐惘したことは事実だが、寄贈ですから、不当に金銭を詐取した訳ではない。
美術館の権威を毀損するような・・・・偽計業務妨害(かなあ)
検察が、やれるものならば、やってみればいい
でも、立件は難しいし、可罰性があるとも思えない。

リュパンシリーズの「奇巌城」では、人知れず窃取した数多の美術品が登場しますが、
美術館サイドは盗難に気付かない。
オチは、美術館には模倣品が掛かっており、観衆は贋作を堪能している(笑)

贋作師とは、物欲だけで自己実現欲を喪失した存在
その物欲まで喪失した、マークなる老人はいかなる存在なのか?


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