妾の子だって正式な婚姻からの嫡出子だって「法定相続分は同じ」という不可解判決が
出ちゃったもんだからってことでもないのですが、すっこしばかり法律的に遺言について考えてみよう。
まず「ゆいごん」とは言わない・・・・はず。「いごん」が法律用語としては正しい。
まあどうでもいいことだが、英訳すると、本ブログタイトルになる。
本人の最終意思
神聖なる契約・・あるいは約束
なんだか粛然としますねえ。
日本国民法だと、死後の法律関係を定めるための最終の意思表示なる法制度ということである。従って、財産分与の指定を記述した文書って思っているうちは、それは欲目だけという。死後の法律関係を定めるといえば
祭祀財産の継承
負の遺産・・負債の負担 なんかについても意思表示をしなければならない。
自己居住の住宅は嫡出の次男に与えるが、そのローンは、私生児の長女が負担するって
理屈上あり得ることだから、そう書くと面白いですよねえ(笑)
遺言制度は、なかなか面倒ちっくで、要式行為である。法律の定める要件に該当しないと無効とされる。
たいそうな額でもないのに親族間で血を流さんばかりの争いってみっともないとしか言いようがない。統計的に巨額遺産よりも少額遺産の方が紛争が多いらしい。
べつに金持ち喧嘩せず・・・ではなく、遺言制度を正しく活用していないことによるみたいです。
通常の方式は、自筆証書遺言ですが、自筆手書、署名、捺印、作成年月日が必須なんて常識だと思うのですが、結構紛争になるらしい。もっとも、偽造、変造、紛失の危険があるので、公正証書遺言の方が、死後の紛争になりにくい。
遺言状無効の事由には、意思能力の欠如とか民法90条違反なんかも含まれますし、解釈に疑義を招くような表現も紛争を誘発しますから、公証人役場で作成してもらうのが一番。
相続財産の額と相続の内容で、手数料は多岐多様になるが、死後の紛争解決費用に比べると安いものです。
もっとも、公正証書遺言の場合、相続利害のない証人2名が必要ですから、機密が保持されるかどうかは保証できない。
遺産相続をめぐるドラマほど面白いものはない・・・・部外者にとってですが。
殺し合いをするほどのものかどうかは分かりません。
十億の単位で貰えるか貰えないかって事になれば、多少は考えるかもしれません。
百億ドルの資産を有する大富豪には、ロクデナシの複数の離婚妻とその子供達がいる。
鵜の目鷹の目で、遺産を狙っており、それぞれに専門の代理人が手数料目当てに控えている。均等分割でも十億ドル。代理人手数料が20%だとしても・・・・
弁護士はグリードでないとやってけない。
死期が迫った大金持ちの唯一の趣味は頻繁な遺言状の書き換え。
その度に大仰な儀式。
正常な精神状態であることを複数の医学者が表明保証した上で、法律文書として遺漏なきように専門弁護士が書き上げる。
その度に・・・・一喜一憂。
そして、最後に大富豪は、未知の私生児たる辺境で布教活動を行う女性に全額を
遺贈してしまった。
そもそも、そのような女性は存在するのか?
存在するとしても被相続人よりも長く生存しているのか?
生存しているとしても、相続の意思はあるのか?
ところで、その女性はこの地球上のどこにいるのか?
良くありげな相続人の連続殺人事件なんかよりもはるかにスリリングです。
さすがにジョングリシャム。
法廷シーンも見せ場ありですが、欲目の全くない宣教師に百億ドルを受け取らせようって
いうネゴシエイトが見せ場・・・・かな。
違うなあ・・・彼女って相続の意思表示前にマラリアに罹患しちゃうんですよ。
最近の作品は映画化権の対象になっていないわけでもないのでしょうが、とんと
スクリーンにかかりません。
このリーガルミステリーもアマゾンの大湿地帯の風景だけだと
ちょっと苦しいですねえ。
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