2016年1月22日金曜日
いまどきの「ゴシックホラー」
雲が重苦しく空に低くかかったもの憂い暗い寂寞とした秋の日を一日じゅう、
私はただ一人馬にまたがって、妙にもの淋しい地方を通りすぎて行った。
そして黄昏の影があたりに迫ってくるころ、
ようやく憂鬱なアッシャー家の見えるところへまで来たのであった。
ポーの「アッシャー家の崩壊」の冒頭の部分である。
今どき「ゴシックホラー」なんかに共鳴するファンも少ないと思うが、
19世紀には人気ジャンルだった。
まずもって舞台装置が大事だ(舞台装置そのものが主役といってもいい)
荒涼たる大地の一軒家
ウサギ小屋じゃなくて、陋屋化した塔のある石造りの洋館(古城)
天候は陰鬱な曇り空の日々
ホラーが似つかわしい季節は「冬」というセオリー通り
広大な屋敷なのに、住人は少ない(一人あるいは兄妹・姉弟)
一体誰が家事をやるんだ・・?というような愚問を持ってはいけない
非日常空間においては生活感は不要。
当然に超常現象が付き物
19世紀は、心霊写真とか今以上にオカルトブームだった。
日本建築ではゴシックホラーには向かない。
開放的で閉塞感がない・・・
従って、和風ゴシックホラーは悉くまがい物っぽい
ゴシックホラーに必要な因子をすべて盛り込んだ「クリムゾンピーク」
あまりに定番すぎて、飽き飽きとする。
今風なのは、すべからく「強い女性」の登場とひ弱なオトコ
ヒロインは「ミア・ワシコウスカ」薬物を盛られて瀕死のはずなんですが、す
スコップを振りかざし、殺人鬼と渡り合う
姉役は「ジェシカ・チャステイン」
ゼロ・ダーク・サーティでアルカイダテロリストを追い詰めたCIAの分析官
没落貴族の末裔らしい雰囲気はさすがさすが・・・
弟役の「トム・ヒドルストン」とは近親相姦関係ですが、ひ弱な弟は悪に徹しきれない・・・
狂言回しは眼科医「チャーリー・ハナム」
どうやらミステリーファンみたいで、心霊写真ファンだし・・・そういえば
コナン・ドイルも眼科医で趣味を同じくするので、多少は化体しているようだが、
ホーズムのように格闘技に秀でているわけではない。
まあ予定調和風な展開で・・・・興行的も苦戦でしょう。
カネ目当てに次々と色仕掛けでオンナをせしめては・・・では耽美な世界が薄汚れる。
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